苗坊の徒然日記

読書とV6をこよなく愛する苗坊が気ままに書いてます。 お気軽にどうぞ。

名取佐和子

銀河の図書室 名取佐和子5

銀河の図書室
名取 佐和子
実業之日本社
2024-08-01


オススメ!
「ほんとうの幸い」って、何だろう?
瑞々しく、愛おしく、胸に響く傑作青春小説!
県立野亜高校の図書室で活動する「イーハトー部」は、宮沢賢治を研究する弱小同好会だ。部長だった風見先輩は、なぜ突然学校から消えてしまったのか。高校生たちは、賢治が残した言葉や詩、そして未完の傑作『銀河鉄道の夜』をひもときながら、先輩の謎を追い、やがてそれぞれの「ほんとう」と直面する。今を生きる高校生たちの青春と、宮沢賢治の言葉が深く共鳴する感動長編。

高校の名前や司書の先生に聞き覚えがあるなと思ったら、舞台は「図書室のはこぶね」と同じでした。ただ、図書室にいる伊吹さんと郡司先生は同じですが時代が変わっているのか学生は違う気がしました(覚えていない人)
突然学校に来なくなった風見先輩。なぜ来なくなってしまったのかを「銀河鉄道の夜」から紐解くイーハトー部たち。チカと、仮入部のキョンヘと、新入部員のマスヤス。風見先輩を心配しながらも、それぞれに悩みに直面していて、それがどれも重たくて辛かったです。極度の緊張から高校受験に失敗し、それを引きずるチカ。障害を持つ弟に対し素直になれないキョンヘ。そして、風見先輩に会いたくて野亜高校へやってきたマスヤス。他にも風見先輩のクラスメートの美濃部先輩や、同級生の笠原など、様々な人が登場しますが、みんな個性を持っていてそれが丁寧に描かれているのが好きでした。
「ほんとうの幸い」は何か。この問いは、最近私もずっと考えていたことでした。私はどうすれば幸せだと感じられるのか。今は幸せなのか、幸せではないのか。どうしたら幸せになれるのか。私の場合は自分のことしか考えられていないのかもしれないけど^^;先輩の卒業式でイーハトー部なりの「ほんとうの幸い」のビブリアトークを読んで、私は涙しました。これが答えなのかもしれないと。
周りにいる人たちと、間違いながらも模索しあって生きていって、一生をかけてほんとうの幸いを見つけていく。たとえ人にとっては幸いではなかったとしても、それでも幸せだと思うことをやっていきたい。私もそう思いました。そうだと思ったから、私も涙したのだと思います。
私は宮沢賢治が好きで、一人旅で花巻へ行き、賢治さんを巡る旅をしたこともあります。でも、好きなんて言えるほど、私はそこまでたくさんの本を読んでいないと思いました。私もイーハトー部の皆さんのように、賢治さんの作品を読み続けていきたいです。

<実業之日本社 2024.8>2024.9.9読了

文庫旅館で待つ本は 名取佐和子5

文庫旅館で待つ本は (単行本 --)
名取 佐和子
筑摩書房
2023-12-18


戦前から続く小さな旅館・凧屋の別名は文庫旅館。名物の図書スペース「海老澤文庫」には、今は名前しかわからないかつての常連・海老澤氏が寄贈した膨大な蔵書が揃い、若女将の丹家円(たんげ・まどか)があなた向けの一冊をそのなかからおすすめしてくれることもある。
お客様と同じにおいがする=宿泊者にいま必要な物語が不思議とわかる円だが、自分自身はその「利きすぎる」嗅覚ゆえに小説が全く読めないという。
夫や家庭に縛られてきた妻、同性の幼馴染に隠した想いを寄せる青年、妹の遺した子を育てる姉。訪れる人々の人生と文豪たちの作品が交錯し、道が開けていくその向こうで、海老澤文庫の、そして円自身にかかわる秘密も明かされていく――。

「海老沢文庫」という図書スペースがあるにもかかわらず、若女将の円は体質で本を読むことが出来ない。しかし、それゆえ鼻が利くため、旅館に訪れる客人に合った本を進めることが出来る。始めは悩める客人に本を勧めて、客人が前を向いて歩いていくことができるハートフルな作品だと思っていたのですが、違いましたね。四冊目の塾生と塾講師の客人の結末がなかなかにヘビーだったので驚いていましたがラストの五冊目がまさかの展開でした。でも読み返してみると伏線は散りばめられていたんですよね。冒頭の円と曾祖父清の会話や客人透馬が見たユーレイが一人は曾祖父なのにもう一人が生きているはずの円の父だと言っているところとか。祖母は曾祖父母の実の子どもではないくだりも。最後にそういうことだったのか…と唸らされました。確かに清がしたことは人の道に反していたし、海老澤は哀れだと思う。それでも苦労したであろう海老澤の息子が「赦して、手放す」と言ったことで救われたのだと思う。海老澤は最期までツーショットで撮った写真を手放さなかった。それは透馬が見たユーレイが2人一緒にいたことからも関係性が分かるな、と思いました。二冊目の則子のその後も分かって嬉しかったです。

<筑摩書房 2023.12>2024.2.2読了

図書室のはこぶね 名取佐和子5

図書室のはこぶね
名取 佐和子
実業之日本社
2022-03-17


1冊の本と、10年前の謎――この世界が愛おしくなる、瑞々しい青春小説!
10年前に貸し出されたままだったケストナーの『飛ぶ教室』は、 なぜいま野亜高校の図書室に戻ってきたのか。
体育祭を控え校内が沸き立つなか、1冊の本に秘められたドラマが動き出す。
未来はまだ見えなくても歩みを進める高校生たちと、それぞれの人生を歩んできた卒業生たち――
海の見わたせる「はこぶね」のような図書室がつなぐ〈本と人〉の物語。
~~県立野亜高校図書室名物~~
1オリジナル検索機「本ソムリエ」
2司書の伊吹さん
3海が見わたせる窓

怪我をしたことでバレー部の引退試合に出ることが出来ず、体育祭にも参加できなくなった百瀬は友人に頼まれて1週間図書委員をすることになる。そこで出会った図書委員の朔太朗とともに10年前に貸し出しされたままの「飛ぶ教室」の謎の解明をすることになる。
百瀬はバレーに打ち込んでいた完全なる体育会系で、最初は読みながらも苦手でした^^;挨拶の仕方とか、「飛ぶ教室」を見て勝手に謎を見つけて解決しようとして個人情報云々のご時世に土足で入り込んでくるような感じが。でも、だんだんそのまっすぐさに清々しさを感じるようになりました。
10年前には百瀬の担任の郡司も絡んでいて、10年前の図書委員も絡んでいて、最終的には大ごとになったイベントに司書の伊吹さんが絡んでいることも分かり^^
人間関係って不思議。いろんなところでいろんな人が繋がっている。それは私たちも同じことで。
私、しっかり”四月病”にかかっているらしくて結構情緒不安定な状態が続いていたのですが^^;百瀬が言った「今はとにかくただ生きてるから生きる」って言葉に泣いちゃったんですよねー…前後の言葉も良かったんですけど長くなってしまうので端折りますが。私も、別に生きてるんだから、生きてていいんだよなって思えて。少しだけ前向きになれました。
百瀬と朔太朗はお互いに出会えたことで前に進めたのなら良かったな。読めて良かったです。
「飛ぶ教室」タイトルは知っていましたが未読でした。読んでみます。いつか(笑)
私、活字中毒になったのが遅いので昔からの名作とか子どもの頃に読む名作とかあまり知らないんですよね。こうやって登場すると読むきっかけが出来るのでありがたいです^^

<実業之日本社 2022.3>2022.4.21読了

金曜日の本屋さん 冬のバニラアイス 名取佐和子5

金曜日の本屋さん 冬のバニラアイス (ハルキ文庫)金曜日の本屋さん 冬のバニラアイス (ハルキ文庫)
著者:名取佐和子
角川春樹事務所(2018-02-14)
販売元:Amazon.co.jp

読みたい本が見つかる駅ナカ書店“金曜堂”。アルバイト店員の倉井史弥は、すっかり店にも馴染み、日々お客様に寄り添って、業務に励んでいる。とはいえ、じつは大型書店“知海書房”の御曹司である彼は、将来についていよいよ考えねばならない時期でもあった。幼い頃に別れた母との再会、イベントごとになぜか浮き沈みする金髪オーナー・ヤスとそれを案じる栖川、南店長への想い…大忙しの冬をこえて、倉井が見つけ出すものは?シリーズ最終巻、ほっこり胸キュンなラストを迎えます!

ついに最終巻を迎えてしまいました…名残惜しかった。でもきっと終わるだろうと思っていたので仕方がありません^^;
この作品は舞台が書店なので沢山の本が登場します。そして出てくる作品に対してこういう内容だという解説があまりないので、読んでいないと悔しい想いをする作品で(笑)それがまた良いんですよね。その本も読んでみようという気にさせていて(と思いつつも結局読まないで終わってしまっているが)
今回のテーマとなる作品は4作中3作が既読でした。でも「100万回いきたねこ」は絵本だし、小さい頃に読んだきりだったので細かく読書会で語られていて改めてそういう物語だったんだなぁと思い出しました。読書会楽しそうですよね。1つの作品を読んでみんなで話し合う。私もやってみたいです。
「スキップ」私も好きな作品で登場した時は嬉しかったです。「ターン」も読んだけどなぜか「リセット」は読んでいないんですよね。これを機に読んでみようかな。倉井君のお母さんが読めなくなったという「スキップ」主人公が凄いという印象が強いです。17歳からいきなり42歳になってしまって、それでも人生を諦めずに前向きになっている姿がかっこよすぎました。そして、結末も意外で。今でも印象的です。
そして「銀河鉄道の夜」今まで何度も言ってますから私の事は省きますが^^;ヤスさんは見た目の印象からは「ザネリ」ですけど、シリーズ4冊目まで行くと違うということが分かります。結末も良かったです。
そして南店長と倉井の展開、そして倉井の卒業後、ふわっと終わってよかったような、もどかしいような…それでもまずは南店長が過去だけじゃなくて未来も見据えるようになれたことが良かったかなと思います。
またどこかで会えると良いな。
著者さんのあとがきの最後の一文がとても好きでした。
「よい読書を。よい人生を。」

<角川書店 2018.2>H30.5.12読了

金曜日の本屋さん 秋とポタージュ 名取佐和子4

金曜日の本屋さん 秋とポタージュ (ハルキ文庫)金曜日の本屋さん 秋とポタージュ (ハルキ文庫)
著者:名取佐和子
角川春樹事務所(2017-08-09)
販売元:Amazon.co.jp

小さな駅ナカ書店“金曜堂”。名物店長の南、金髪のオーナー・ヤスさん、喫茶担当イケメン栖川、そして年上の南に想いを寄せる学生アルバイト・倉井の四人が働く店には、様々な想いを抱き「いまの自分にぴったりの一冊」を求める客が訪れる。ある日、倉井に大学内で話しかけてきた女子学生たちが、ひょんなことから一日だけ“金曜堂”を手伝うことに。けれども、同じ同好会だというふたりの仲は、どう見てもぎくしゃくしていて…。温かな感動を呼ぶ人と本との出会いの物語、シリーズ第三弾。

前回が金曜堂の3人の過去が明らかになって終わりましたよね。
何だか吹っ切れたというか気になった部分が無くなったのでまたうまくニュートラルに読めて良かったなと思いました。
今回登場したメインとなった作品4作で、既読だったのは「ハルさん」だけでした。しかも10年前に読んだから^^;もうさらりとしかあらすじを覚えていなくて残念。店長とかどうして暗唱できるんでしょうか。「ノルウェイの森」は気になってはいるけど未読だし。太宰治の作品も「人間失格」以外読んだことがなく。「女生徒」気になるなー。
倉井君のお父さんの書店に勤める二茅さんの話が特に好きだったかな。社長とお話しできてよかったね。
最後の親子の話も好き。当たり前だけどいろんな家族の形があるんですよね。倉井君もきっと何かを感じたはず。
将来倉井君はどうするのかな。次に恐らく出るであろう冬も楽しみです。

<角川春樹事務所 2017.8>H29.11.21読了

金曜日の本屋さん 夏とサイダー 名取佐和子5

金曜日の本屋さん―夏とサイダー (ハルキ文庫)金曜日の本屋さん―夏とサイダー (ハルキ文庫)
著者:名取 佐和子
角川春樹事務所(2017-02-14)
販売元:Amazon.co.jp

“読みたい本が見つかる”と評判の駅ナカ書店・金曜堂は、アルバイトの倉井以外の三人全員が、地元・野原高校出身者。その金曜堂に、夏休みを前に現役野原高生・東膳紗世が訪ねてきた。「これぞ青春!」という高校生活を送りたい紗世は、卒業アルバムで見た店長の槙乃をはじめとする「読書同好会」メンバーのキラキラした姿に憧れ、会を復活させたくて相談にきたのだという。けれど、大の本好きなはずの店長の反応が意外にも薄くて…。人と本との“運命の出会い”を描く大好評シリーズ、第二弾。

シリーズ第2弾です。この作品は実在する作品がたくさん出てくるので好きです。
特にメインとなった4冊中2冊が既読。「六番目の小夜子」とか懐かしすぎる!
私も大好きな作品です。といってももう内容は忘れかけていますが^^;ドラマもちょっと見たかな。ホラーっぽさもあるけど最終的には青春小説だなぁと思った記憶が。
「夜は短し歩けよ乙女」も青春小説ですよね。ちょっと昭和っぽさがある感じ。実際にこの作品が好きなお客さんの時代にも合っているような感じでした。
今回は連作短編集でずっと書店員の3人の過去が繋がっていました。3人と共に仲が良くていつも一緒にいたジンという男性について。今回ようやくわかりましたね。分かったけど、内容が想像以上に重くて過酷で。8年前のことだけど3人の心にいまだに深く刻まれていることが分かります。最後のお話の記者の女性がしたことは決して許せることではないですね。職権乱用もいいところです。それでもわかってくれる人はわかってくれる。こちらも少し救われた気持ちで読み終えることが出来ました。春と夏が来たんですから、秋と冬もありますよね?待ってます。

<角川春樹事務所 2017.2>H29.4.24読了

金曜日の本屋さん 名取佐和子5

金曜日の本屋さん (ハルキ文庫 な 17-1)金曜日の本屋さん (ハルキ文庫 な 17-1)
著者:名取佐和子
角川春樹事務所(2016-08-09)
販売元:Amazon.co.jp

ある日、「北関東の小さな駅の中にある本屋は“読みたい本が見つかる本屋"らしい」というネット上の噂を目にした大学生の倉井史弥。
病床の父に以前借りた本を返すように言われたが、じつは失くしてしまっていた。
藁にもすがる思いで、噂の駅ナカ書店〈金曜堂〉を訪ねる彼を出迎えたのは、
底抜けに明るい笑顔の女店長・南槇乃。倉井は南に一目惚れして――。
人と本との運命的な出会いを描くハートウォーミングストーリー、開店!

初読み作家さんです。
面白かった!実際にある作品が書く短編集ごとに1冊ずつ登場します。その物語がキーとなって物語が進んでいきます。
「白鳥の歌なんて聞えない」「長いお別れ」「モモ」「家守奇譚」
梨木香歩さんの「家守奇譚」は既読でしたが、もうだいぶ前に読んだのですっかり忘れてしまっていて…って私そればっかり言ってますね。なので、物語の大事なところが今一つ乗れず、悔しかったです。読んでいればもっと理解できたと思うのに!
それでもとても面白かったです。金曜堂の社員さんたちとお客さんとその物語との関わりがとても良かった。最後のお話はその金曜堂の人たちが関わっているお話なので尚更入り込んで読んでいました。
そして地下倉庫!なんて魅力的な場所!私もぜひ行って見学したい!
面白かったですがまだ続編がありそうですよね。
ジンさんの謎は分からないままだし、報われなさそうだけど←倉井と南の恋の展開も気になるところです。そして出来れば私が読んだことが合ってちゃんと覚えている作品を取り上げていただきたい…!←
続編に期待します。

<角川春樹事務所 2016.8>H29.1.11読了
自己紹介
苗坊と申します。
読書とV6を愛してやまない道産子です。47都道府県を旅行して制覇するのが人生の夢。過去記事にもコメント大歓迎です。よろしくお願いいたします。
Categories
Archives
訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

記事検索
Recent Comments
  • ライブドアブログ