オススメ!
「ほんとうの幸い」って、何だろう?
瑞々しく、愛おしく、胸に響く傑作青春小説!
県立野亜高校の図書室で活動する「イーハトー部」は、宮沢賢治を研究する弱小同好会だ。部長だった風見先輩は、なぜ突然学校から消えてしまったのか。高校生たちは、賢治が残した言葉や詩、そして未完の傑作『銀河鉄道の夜』をひもときながら、先輩の謎を追い、やがてそれぞれの「ほんとう」と直面する。今を生きる高校生たちの青春と、宮沢賢治の言葉が深く共鳴する感動長編。
高校の名前や司書の先生に聞き覚えがあるなと思ったら、舞台は「図書室のはこぶね」と同じでした。ただ、図書室にいる伊吹さんと郡司先生は同じですが時代が変わっているのか学生は違う気がしました(覚えていない人)
突然学校に来なくなった風見先輩。なぜ来なくなってしまったのかを「銀河鉄道の夜」から紐解くイーハトー部たち。チカと、仮入部のキョンヘと、新入部員のマスヤス。風見先輩を心配しながらも、それぞれに悩みに直面していて、それがどれも重たくて辛かったです。極度の緊張から高校受験に失敗し、それを引きずるチカ。障害を持つ弟に対し素直になれないキョンヘ。そして、風見先輩に会いたくて野亜高校へやってきたマスヤス。他にも風見先輩のクラスメートの美濃部先輩や、同級生の笠原など、様々な人が登場しますが、みんな個性を持っていてそれが丁寧に描かれているのが好きでした。
「ほんとうの幸い」は何か。この問いは、最近私もずっと考えていたことでした。私はどうすれば幸せだと感じられるのか。今は幸せなのか、幸せではないのか。どうしたら幸せになれるのか。私の場合は自分のことしか考えられていないのかもしれないけど^^;先輩の卒業式でイーハトー部なりの「ほんとうの幸い」のビブリアトークを読んで、私は涙しました。これが答えなのかもしれないと。
周りにいる人たちと、間違いながらも模索しあって生きていって、一生をかけてほんとうの幸いを見つけていく。たとえ人にとっては幸いではなかったとしても、それでも幸せだと思うことをやっていきたい。私もそう思いました。そうだと思ったから、私も涙したのだと思います。
私は宮沢賢治が好きで、一人旅で花巻へ行き、賢治さんを巡る旅をしたこともあります。でも、好きなんて言えるほど、私はそこまでたくさんの本を読んでいないと思いました。私もイーハトー部の皆さんのように、賢治さんの作品を読み続けていきたいです。
<実業之日本社 2024.8>2024.9.9読了