お前なら、きっと本を取り戻せるはずだ。
幸崎ナナミは十三歳の中学二年生である。喘息の持病があるため、あちこち遊びに出かけるわけにもいかず学校が終わるとひとりで図書館に足を運ぶ生活を送っている。その図書館で、最近本がなくなっているらしい。館内の探索を始めたナナミは、青白く輝いている書棚の前で、翡翠色の目をした猫と出会う。
なぜ本を燃やすんですか?
「一番怖いのは、心を失うことじゃない。失った時に、誰もそれを教えてくれないこと。誰かを蹴落としたときに、それはダメだと教えてくれる友達がいないこと。つまりひとりぼっちだってこと」
ようこそ、新たな迷宮へ。
「本を守ろうとする猫の話」の続編です。こちらがシリーズになるとは思いませんでした。
以前読んだのが2017年なのでほとんど内容は覚えていないのですが^^;こちらの作品に登場した林太郎も大人になった姿で出てきました。結婚して奥様もいて。名前に聞き覚えがあってニヤニヤしてしまいました←
沢山の名作の台詞が出てくるのですが、特に私が好きだったのは『根拠はなくても、希望はよみがえる。希望とはそういうものだ』という言葉でした。こちらはナナミがあちらの世界に行った時に助けられた言葉でもあります。病弱なナナミだけど、本の世界を知っているからかとても勇敢で優しい子で、なんでそんなにまっすぐでいられるのだろうと読みながら感動してしまいました。父子家庭で育ち病気から我慢することもたくさんあっただろうけど、こんなにいい子に育って、だからみんながナナミを助けに来たし、ナナミが言う荒唐無稽な話も信じようと思う人もいるのでしょうね。
林太郎のように大人になったナナミも見てみたいです。こちらは続編は出るのでしょうか。内容的に出るということは本を読まず、想像力がない人が増えているということだから出ないで欲しいのが正直なところですが(笑)内容はとても好きなのでまたトラネコに会えたらいいなと思います。
<小学館 2024.2>2024.3.28読了