病に倒れた最愛の父を支えるため、倉敷紡績で働く少女すてら。社長の大原孫三郎の知遇を得、贈られた雑誌〈白樺〉で見たゴッホの絵と武者小路実篤のゴッホについての批評に心打たれたすてらは、「ゴッホが絵を描いたように自分は小説を書く」と、自身の道を定める。19歳で倉敷紡績を退職し、住み込み女中となって富家で働きはじめるが、あることをきっかけに追い出されてしまう。幼い頃から慕ってきた宣教師アリスに励まされ東京へ出たすてらは、やがて師となる流行作家の家に書生として迎え入れられるが……。著者がかつてない熱量で「小説」と「アート」への愛を込めた最新長篇誕生!
文士として生きること、書くこと、書き続けること、生きていくこと、主人公のすてらを通して色々なことを考えさせられました。すてらは12歳で働きに出て、その境遇だけ聞くと大変だと感じる部分もありますが、早々とすてらを捨てた母に代わり、父はすてらを大事に大事に育ててくれ、教会のアリスも自分の子供のように接してくれた。倉敷紡績の社長や夫人にも声を掛けられ、東京でも作家先生と出会い、自分も物語を書くようになる。全てが天のお導きのような気がしてなりませんでした。それは、すてらが人のために奉仕し必死で生きてきたからなのだと思います。
血を滾らせて物語を書き続けるすてらの姿に、何だかこちらも元気づけられました。物語の中にマティスが登場して原田さん色が出てるなと感じたのですが、物語に登場する大原孫三郎と児島虎次郎は実在の人物なのですね。実際に親交もあったそうで、史実が織り交ざっているのがさすがだなと思いました。
私も情熱をもって生きていきたいを感じさせられる、素敵な物語でした。読んで良かったです。
<新潮社 2025.12>2026.3.31読了






















