見えないけれど、どこにでもいる
植物の妖怪とも称されるウツログサ。多くは無害だが人についたものは宿主の欲望を読んで成長することもある。幼いころから傍にある穴。誰にも言えず自分だけが見えることに怖さを感じて――(「アナホコリ」)。ニュータウンのひかり台でウツログサを祓う男と、それに囚われた人々の心のうちをあざやかに描く。
ほしおさんの著書ということで読み始めましたが、いつもとテイストが違いました。
ウツログサという植物の妖怪のようなものが付いている人たちの物語と、そこに登場するグレーのパーカーを着た祓い師笹目のお話。SFとも違うけどどこか不思議な物語でした。
ウツログサが付いていることで人と違うのだと感じ、悩む人がほとんどだったけど、取り込まれることが分かっていてそのまま身を任せる人もいて、どのお話も面白かったです。
そしてどのお話にもコロナ禍が絡んでいて、どこにでも登場するな…と哀しくなったりもしました^^;
瓢箪を背負うウリフネのお話も好きでしたが、最後のヒカリワタも好きでした。未来ある女の子が広い世界を見ることが出来ますようにと思って読み終えました。
<文藝春秋 2024.6>2025.4.26読了