苗坊の徒然日記

読書とV6をこよなく愛する苗坊が気ままに書いてます。 お気軽にどうぞ。

阿部智里

望月の烏 阿部智里5

望月の烏
阿部 智里
文藝春秋
2024-02-22


八咫烏が支配する世界・山内を統べる金烏の座に新たに就いた凪彦。その后候補として登殿の儀に臨むのは、南家の蛍、北家の鶴が音、東家の山吹、西家の桂の花。しかし落女として宮中で働く絶世の美女澄生の存在が-。

シリーズの1番最初の物語「烏に単は似合わない」を彷彿とさせる始まりでしたね…懐かしさすら感じましたが、それでも時代が変わり、四姫の関係性も変わっていました。始めは桂の花の境遇が可哀想すぎて読んでいて辛いと思いましたが、蛍と山吹が一筋縄ではいかない人物であることが分かり3人の関係性が悪いものにならず良かったと思いました。北家は置いておきましょう(笑)
そして凪彦。あせびの子どもだから読む前は印象が最悪だったんですけど^^;当たり前ですけど一人の人としてきちんと意志を持って成長していたので良かったと思いました。奈月彦に似ていますね。
「楽園の烏」を読んだ時に雪哉に同情していた私ですが、今作を読んでただただ腹ただしさしか感じませんでしたよね^^;雪哉は雪哉なりに必死であることは分かるのですが、澄生のまっすぐな言葉を聞くと、私は澄生が想う世界を見てみたいと思いました。前作で澄生はちらりと登場したと思うのですが、やはりでしたね。ちょっと忘れかけていて、相関図を見てあれ?と思ったのですが。
最後の凪彦と蛍の逢瀬が読んでいるこちらにも希望を与えてくれました。「恋こそしておりませんが、苦難を同じくする仲間」という言葉に、奈月彦と浜木綿の関係を思い出しました。凪彦と蛍が現状に抗って新しい世界を作ってくれることを祈っています。
そして、「追憶の烏」の時代とついに重なりましたね。ずっと読んでいたシリーズから20年後の世界を読んだあの時の衝撃は忘れられません(笑)今後もとても楽しみです。

<文藝春秋 2024.2>2024.4.8読了

追憶の烏 阿部智里5

追憶の烏 八咫烏シリーズ (文春e-book)
阿部 智里
文藝春秋
2021-08-23


猿との大戦の後、山内では一体何が起こっていたのか――? 前作『楽園の烏』で描かれなかった山内の“その後”が明らかに!

前作の「楽園の烏」があまりにも衝撃的で、一体何があったのだろうと気になっていました。
予想していたことが悪い形で当たってしまってひたすら絶望していました…。やっぱり…やっぱり…
でもその真実が思っていた以上に残酷で、辛かった。章の中に「遺言」っていうのがある時点でね…
でもその遺言の真意は、一体どういうことだったんだろう…それはよくわかりませんでした。
さらに追い打ちをかけるような展開に及んでびっくりしましたよ。読んでいて「は?」って言葉に出てきてしまいましたよ。
ずっと陰のように存在していた前金烏があんなことを言いだすとは…いやマジで何なん…すっかり忘れていたあの人までこんなところで登場するとは思わなかったよ。この名前正直もう聞きたくなかったよ!久しぶりだな!←
雪哉が「楽園の烏」でなぜあれほどまでに残酷な男へと変貌していたのか、その理由が明らかになりました。どこまで苦しめれば気が済むのだろう…
そしてこの物語のその後も気になります。読むのが怖いけど…

<文藝春秋 2021.8>2021.10.29読了

烏百花 白百合の章 阿部智里5

烏百花 白百合の章 (文春e-book)
阿部 智里
文藝春秋
2021-04-26


人気キャラクターたちの秘められた過去や、知られざる思い。本編では描かれることのなかった珠玉のエピソード。
「オール讀物」に掲載された「あきのあやぎぬ」「ふゆのことら」「なつのゆうばえ」「はるのとこやみ」「ちはやのだんまり」「おにびさく」のほか、「かれのおとない」、さらに書下ろしを加えた全8編を収録。

前回読んだ新章が衝撃的過ぎて、こちらの外伝を読んで懐かしさを感じました。
「かれのおとない」茂丸の妹、みよし目線のお話。茂丸が泣くなった直後の家族の話が描かれています。分かっていても読んでいて辛かったな…。そして兄と同じく大好きだった雪哉が変わってしまったこともショックだよね…。どうかどうか、嫁ぎ先で幸せに暮らしていけますように。
「ふゆのことら」市柳の物語…えーと、誰だったっけ?って言ったらものすごく怒られますね^m^でも、コテンパンにやられて目が覚めて良かったですよ。良くも悪くも自分の立場が分かって良かったと思います。多分ずっと雪哉には勝てないんでしょうけど。
「ちはやのだんまり」タイトル通り、千早が完全に頑固おやじと化していて笑っちゃいましたね。明留も最初は結とシンの交際は認めていなかったけど、見た目とは裏腹に根性があることに気づいていきます。ホント、素直な良い子でしたよ。千早の代わりに傷だらけになっちゃった明留は不憫だけど、その分なんだか友情が芽生えてそう。最後は丸く収まってよかったよかった。
「あきのあやぎぬ」真赭の薄と明留の兄顕彦の物語…え?本当に兄弟ですか…?っていうくらい性格が違いますね^^;18人?19人?の側室?とびっくりしましたけど、ちゃんと意図があったんですね。呑気な感じしか垣間見えませんでしたけど、きっとそれだけじゃない部分があるんですよね…きっと…きっと…←
「おにびさく」「鬼火灯籠」を作る職人の物語。初めて登場した人かな?師匠を突然亡くし、一人の職人として懸命に努力する姿は素敵でした。
「なつのゆうばえ」大紫の御前の少女時代の物語。このシリーズでは敵ですが、こういう少女時代があったのか…と思うとまた見方が変わってきますよね。好きにはなれないですが^^;
「はるのとこやみ」あせびの母、浮雲の話。いやー…この親にしてこの子ありっていう親子ですね。これは翻弄された人たちが本当に不憫でなりません…。報われたかと思いきや最後に放たれた一言。恐ろしすぎる…
「きんかんをにる」奈月彦と紫苑の宮が金柑を煮るお話です^m^紫苑の宮が本当に可愛い!想像するだけで可愛い!雪哉も顔がほころんでしまうのが分かります。奈月彦と浜木綿と紫苑の宮、3人の暮らしに仲睦まじさが垣間見えてほっこりしたのだけど…。6歳なのに紫苑の宮はなんて聡い子なんでしょうか。3人が幸せに暮らせる日が1日も早く来ることを願ってやみません…来ないのかな…
どうして数十年後に雪哉がああなってしまったのか、気になって仕方がないです。
と同時に「烏に単衣は似合わない」を読み返したくなりました。

<文藝春秋 2021.4>2021.7.6読了

楽園の烏 阿部智里5

楽園の烏 (文春e-book)
阿部 智里
文藝春秋
2020-09-03


シリーズ累計150万部突破!
「八咫烏シリーズ」第2部、ついに刊行開始
「この山を売ってはならない理由が分かるまで、売ってはいけない」
資産家である養父の奇妙な遺言とともに、ある「山」の権利を相続した安原はじめ。その途端、彼のもとに「山を売ってほしい」という依頼が次々と舞い込み始める。この山には一体、何が隠されているのか? その答えを知っていると囁く美女に誘われ、山の内部に入ったはじめは、そこで信じられないものを目にする――。

第1部が終了してから3年ぶりの書下ろしだそうです。
第1部から20年後の世界。読んでいて何だかおかしいなーと思ったんですよね。だって烏と猿の戦いって終わったんじゃなかったかなーって。
そうしたら徐々に明らかになる現在の「楽園」の秘密。
20年後の雪哉が登場しましたけど、おいおいマジかよ・・・と途方にくれましたよね^^;
ガッカリではないんですよ。予想はしていたんですけどここまでとは…
前々から冷酷さも持ってましたよ。ただ実力があるだけの男ではなかったですよ。でも、ここまでになっちゃったんだね…
そしてこの物語の主人公であるはじめ。最初はどうしようもないクズだなと思っていたのですが、やはり一筋縄ではいかない人物でしたね。どうして名前が平仮名なんだろうと思いましたがその謎も最後に明らかになります。
でも、まだまだ気になる謎は残っています。「幽霊」は一体何者なのか。そして、若宮と浜木綿はどうしているのか…何となく最後予感がありましたけど…。
そして頼斗ですよねー。いやー正直気持ち悪かったですよ^m^雪哉の崇拝具合が凄くて。
国をまとめるためには聖人君子でいられるわけはないんですよね。
これからどういう展開になっていくのか楽しみです。

<文藝春秋 2020.9>2020.10.8読了

発現 阿部智里4

発現
阿部 智里
NHK出版
2019-01-30


物語は時空を超え、常識を凌駕する。
累計100万部突破「八咫烏シリーズ」のベストセラー作家・阿部智里が、構想3年、満を持して書き下ろした最新長編小説。
平成と昭和、二つの時代で起こった不可解な事件。真相を求めて近づこうとする者たちを嘲笑うかのように謎は深まり、ほの暗い闇がひたひたと迫りくる。運命に導かれるようにしてたどり着いた先に待ち受けるのは、光明か絶望か。
鬼才・阿部智里の圧倒的な筆力と壮大なスケール感で、ジャンルをクロスして描く渾身作!

「八咫烏シリーズ」以外の作品は初めて・・・?なんですかね。
内容をあまり知らずに読み始めたのですが何だか不穏な空気だしホラーっぽい・・・。
でも、読む手が止まらずどんどん読み進んでいきました。平成と昭和、二つの時代で起きた不可解な事件。平成の方は事件ではないけど、途中で何となくつながりが分かってしまったのですがそれでもどう終着するのか、気になってあっという間に読んでしまいました。面白かったという表現が正しいかどうかは分かりませんが面白かったです。
戦時中の満州の話が出てきて、私は母が持っている漫画「あした輝く」を思い出しました。始めは満州が舞台で、そこで暮らす日本人が命懸けで日本に帰国するシーンが描かれていたので。地元の人の生き辛さも細かくリアルに表現されていて、読んでいて辛かった。こういう時代があったのだということは忘れてはいけないですよね、決して。
読み終えた後に見る表紙の彼岸花はちょっと怖いです。

<NHK出版 2019.1>H31.2.27読了

烏百花 蛍の章 八咫烏外伝 阿部智里5

八咫烏外伝 烏百花 蛍の章 八咫烏シリーズ (文春e-book)八咫烏外伝 烏百花 蛍の章 八咫烏シリーズ (文春e-book)
著者:阿部 智里
文藝春秋(2018-05-10)
販売元:Amazon.co.jp

八咫烏の一族が支配する異世界・山内。世継ぎ争い、后選び、天敵の侵入と戦争―壮大な歴史の流れの中、語られなかったあの人たちの物語。

「しのぶひと」第4シリーズ『空棺の烏』の頃の物語。真赭の薄は出家している身とは言え、美貌は変わらず美しいためにいろんな人から縁談が来る。そこへ澄尾が相手として雪哉はどうかと若宮と浜木綿に助言する。この縁談は真赭の薄が嫌がったことで無くなるのだけど、澄尾は何とも余計なことをしたわけですね^^;若宮たちも賛同するというのがなんというか←雪哉の縁談の理想の相手というのがまた雪哉らしいですね。そういえば若宮もそんな感じだったんでした。仲間が色白がいいとか胸が大きいとかそう理想を言ってるのが可愛すぎました^^
「すみのさくら」浜木綿と若宮の最初の出会い。なんて可愛らしい。そして切ない。2人が再び出会って夫婦となったのは運命であり必然であったのだと思いました。にしても浜木綿は言動がいちいちかっこいいな。
「まつばちりて」切なかった…本当に切なかった…。2人が違う境遇だったら…そう思わずにはいられない。でも、違う形だったらきっとこの二人は出会えなかったんだ。だから、仕方ないのかもしれない。でも、仕方ないで片づけたくはない。松韻と忍熊はののしり合いながらもお互いを尊敬し、心で繋がっていたのかなと思います。本当に悲しい…。
「ふゆきにおもう」雪哉の境遇は知ってはいたけど、母親の事をここまで深く書かれたことはなかったですよね。雪哉の母冬木、雪馬と雪雉の母梓。2人の関係が分かって良かったです。2人の母親にちゃんと愛されていたんですね。良かった。
「ゆきやのせみ」なんですかこの話は(笑)ただただ雪哉が不憫なだけなんですけど(楽しい)若宮に振りまわされて暴言を吐く雪哉の図は結構好きです^^それでも蝉…蝉…うぇ…←
「わらうひと」「弥栄の烏」のその後の話。いやー何だかニヤニヤしちゃいますね。澄尾は真赭の薄の事をそんな昔から知っていたのですか。真赭の薄が還俗しない限り二人は結ばれないし、結ばれたとしても身分の違いから色々あるかもしれないけど。それでも二人の今の関係がとても素敵だと思いました。結もとても聡明な女性ですね。真赭の薄と気が合いそうです。

外伝としてこの世界の色んな人たちをいろんな視点で読むことが出来て良かったです。
これからどんな世界が待っているのでしょう。楽しみです。

<文芸春秋 2018.5>H30.7.7読了

弥栄の烏 阿部智里5

弥栄の烏 八咫烏シリーズ6弥栄の烏 八咫烏シリーズ6
著者:阿部 智里
文藝春秋(2017-07-28)
販売元:Amazon.co.jp

八咫烏の一族が支配する異世界・山内。
「うつけ」の若宮と「ぼんくら」近習の少年・雪哉という若き主従の活躍を中心に、賢く華やかな宮廷の姫君、若宮を取り巻く護衛の青年たちが繰り広げる、お妃選びと権力争い、友情と断絶、成長と再生を描いた壮大な和風ファンタジー。
一冊ごとに表情を変えながら読者を魅了、80万部を突破したこの物語の第一部完結篇「弥栄の烏」は、主人公・雪哉の弟が武官訓練所である剄草院に入学準備する場面から。その実力を認められ、全軍の参謀役にまでなった雪哉、敵対する勢力を抑えて朝廷の実権を掌握した若宮が治める山内を大地震が襲い、開かれた金門の扉の向こうには、山内を恐怖に陥れた「人喰い大猿」が現れた。
ついに始まった、猿と八咫烏の最終決戦。若宮は名前を取り戻し、真の金烏となれるか。山内は栄えるのか、それとも滅びに向かうのか―ー

ついに第一部完結ですね。まずはお疲れ様でしたと言いたいです。
シリーズも6冊目だったんですね。1冊目からこの世界を20歳で作り上げた著者さんは凄いなと思っていましたが、まさかここまで壮大な世界になるとは思いませんでした。更に前作を読んだことでファンタジー小説の中に現代の自分たちの世界も絡んでいることが分かってなおの事脱帽。1冊目の花嫁選びがもはや遠い昔のことのよう…。
今回の作品は前作「玉依姫」と重なっている部分がありましたねー。そうそう、こんなことがあったと思い出しながらの読書でした。
ついに因縁の烏と猿の対決が!と思ったのですが、色々なことが意外な展開を見せてビックリ。読む手が止まらず、あっという間に読んでしまいました。
雪哉も大きくなって立派になって…。でも、中盤の展開は読んでいてもとても辛かったです。先を読み進めるのが怖いくらいにショックでした。読んでいる読者がショックなんだから当の本人たちはもっとショックですよね←
雪哉が有能なのは分かるのですが段々ロボットのように感情を無くしていく姿が読んでいて辛かったです。みんな冷血漢と言っているけどきっとそれだけではないと思いながら読んでいました。
最後のシーンの雪哉の姿に、私は涙が出ました。
ずっと戦ってきて死と向き合うことが多くて、最後に眩くて尊い真っ直ぐな生と向き合って、雪哉はようやく暗い洞窟から光差す世界へ抜け出すことが出来たのかなと思いました。良かった。
それにしても浜木綿はなんて素敵な女性なんでしょうか。境遇もあると思いますが懐が広くて深くて。やっぱり若宮の妻は浜木綿しかいないと思いました。真赭の薄も凛々しくて素敵な女性でした。2人とも憧れる女性です。
第二部はどんな形で進んでいくんでしょうか。今から楽しみです。

<文芸春秋 2017.7>H29.10.28読了

玉依姫 阿部智里4

玉依姫玉依姫
著者:阿部 智里
文藝春秋(2016-07-21)
販売元:Amazon.co.jp

生贄伝説のある龍ヶ沼と、その隣にそびえる荒山。かつて、祖母が母を連れて飛び出したという山内村を訪ねた高校生の志帆は、村祭りの晩、恐ろしい儀式に巻き込まれる。人が立ち入ることを禁じられた山の領域で絶対絶命の志帆の前に現れた青年は、味方か敵か、人か烏か―

新刊だ!と思って読み始めたら冒頭が1995年と書かれていてあれ?と思いました。しかも登場人物は日本に住む女子高校生…あれ?
こんな展開になるとは思いませんでした。
それでもこの世界の構造を知るにあたっては必要な内容でしたよね。ちゃんと理解できたかな私^^;
雪哉たちが登場してくれるかなーと思っていたけど出てこなくて残念でした。
でも奈月彦は出てきましたね。今までのシリーズと雰囲気や立場が違っていたので違和感もありましたけど^^;
にしても「ますほ」が誰だか気づいてなくて。いや名前で気づけやって思いますよね^^;重篤になっている烏に泣き縋っているとか明留かなとか今更思いました。ホント自分鈍すぎる!!
それにしても志帆の境遇が可哀想すぎるんですけど…。
もしも伯父さんが現れなければ。もしも伯父さんの言うとおりに山内村へ行かなければ。
すべてはたらればなんですけど…。
でも、もしかしたら志帆はそういう運命だったのかなぁとも思ってしまったりして…。
でもでも、初めは帰りたい、助けてと言っていた志帆だけどいきなり変わりましたよね。
それは本当に彼女の意志だけだったのかなぁ。
それだけであんなに変わるかなぁ。
そして最後の志帆の選んだ生きる道。
確かに正しいとは言えない。それでも志帆たちが幸せだと思うなら…良いのかなぁ。
ちょっともやもやした感じで終わっちゃいました^^;
このシリーズも来年出る作品で一区切りつくみたいですね。
でも第一部完結って…!!一体何部まで続くのどこまで続くの!
楽しみです^^

<文芸春秋 2016.7>H28.9.30読了

空棺の烏 阿部智里5

空棺の烏空棺の烏
著者:阿部 智里
文藝春秋(2015-07-29)
販売元:Amazon.co.jp

オススメ!
八咫烏の一族が支配する世界山内で、宗家を守るのは山内衆と呼ばれる上級武官。勁草院という養成所で厳しい訓練がほどこされ、優秀な成績を収めた者のみが護衛の栄誉に与る。平民の茂丸、下人の千早、大貴族の明留、そして武家の雪哉。生まれも育ちも異なる少年たちは、勁草院の過酷な争いを勝ち抜き、日嗣の御子を護る武人になれるのか…?「八咫烏シリーズ」第四弾。

シリーズ第4弾。待ってました!
読めば読むほどこの作品の世界観が深く広くなっていくことが分かります。本当に素晴らしいです。今回は雪哉が入った勁草院での話が主でしたねー。面白かった。
学校の中で、生徒とそして先生までもが派閥になっているというのは何ともやりにくいですよね。当の本人たちはちゃんとお互いをたたえ合っていて仲が良いのに。
そんな中雪哉が出会った仲間たち。雪哉に思惑があったとはいえ素敵な仲間たちに出会えたことはとても幸せなことだったと思います。特に私のお気に入りは茂丸。もうこういう人大好きです。雪哉も精神的にかなり支えられていたんじゃないかなと思います。そしてこれからも。
千早も明留も個性的でいい味出してましたし、みんながこれから山内衆として若宮を支えていくんだと思ったら凄く頼もしいしこれからの展開がとても楽しみです。
もう来年に新刊が出ることが決まっているんですね。次はエピソード0のようなので新たな展開はお預けかな。すんごい気になる終わり方をしてるので気になるんですけど…
それでも楽しみに待とうと思います。
面白かった〜!!

<文芸春秋 2015.7>H27.9.11読了

黄金の烏 阿部智里5

黄金の烏黄金の烏
著者:阿部 智里
文藝春秋(2014-07-23)
販売元:Amazon.co.jp

八咫烏の一族が支配する世界山内で、仙人蓋と呼ばれる危険な薬の被害が報告された。その行方を追って旅に出た、日嗣の御子たる若宮と郷長のぼんくら次男雪哉が、最北の地で発見したのは、何と村人達を襲い、喰らい尽くした大猿だった。生存者は小梅と名乗る少女がひとりだけ―。一体、この世界で何が起こっているというのだろう?

シリーズ第3弾ですね。前回のことちょっと忘れかけていたんですけど、読んでいるうちに思い出してきました。そうだそうだ、若宮と雪哉の関係はこんな感じでしたね。
再び雪哉が若宮に仕えることになります。
前作の終わり方に納得がいっていなかった私としては雪哉復活!と嬉しくなりました。郷土愛は素晴らしいんですけど、雪哉の能力がもったいないと思っていて。今回も活躍していましたね。
事件の顛末はちょっと悲しかったですけど雪哉の活躍!素晴らしかったです。
そして最後に雪哉が決めた自分の道。
若宮と雪哉がお互いをちゃんとさらけ出してさらに信頼感が増したんじゃないかなと思う。良かった良かった。
そして今回は浜木綿と真赭の薄が登場して嬉しかったです。お二人は相変わらず気品があり美しいです。そして浜木綿と真赭の薄の信頼、若宮と浜木綿の信頼。たくさんの人たちが信頼し合っていることが分かります。若宮は敵が多い分味方の絆が強い気がします。
最後はハラハラしましたけど、何とかなって良かったです。雪哉もものすごく鈍感でしたけど^m^手遅れにならなくて良かった。
そして最後に決めた雪哉の道。素晴らしいです。雪哉ならきっと素晴らしい若宮の右腕になると思います。
まだまだ続きそうな感じ。ようやく今までの作品が全て繋がったので、もっとこの世界観を楽しみたいと思います。

〈文芸春秋 2014.7〉H26.8.29読了

烏は主を選ばない 阿部智里4

烏は主を選ばない烏は主を選ばない
著者:阿部 智里
文藝春秋(2013-07-10)
販売元:Amazon.co.jp

八咫烏が支配する世界山内では次の統治者金烏となる日嗣の御子の座をめぐり、東西南北の四家の大貴族と后候補の姫たちをも巻き込んだ権力争いが繰り広げられていた。賢い兄宮を差し置いて世継ぎの座に就いたうつけの若宮に、強引に朝廷に引っ張り込まれたぼんくら少年雪哉は陰謀、暗殺者のうごめく朝廷を果たして生き延びられるのか…?

デビュー作「烏に単は似合わない」の若宮側の目線で描かれている作品です。
続編だと思っていたので意外でした。
色々事情があって若宮に就くことになった雪哉。冒頭が結構な問題児だったのでどうなることかと思いましたが、後々その理由が明らかになります。
この任務は1年間、故郷垂水で生きていくという信念を変えずに仕える雪哉。
若宮も結構な問題児でしたけどでも頭が悪いわけではなく全ては計算されている事。
雪哉はカナリ振り回されますが、若宮の良い右腕となっていきます。
前回は嫁候補の前に若宮がなかなか姿を現さず、ヤキモキしていましたが、若宮目線で読むとその理由が分かります。
騙し騙され、誰が命を狙っているのか、ドキドキしながら読みました。
いろんな展開があって、若宮最大のピンチも何とかなって凄く面白かったと思って読み終えたのだけど、最後の最後が私はちょっと納得がいかなくて…
ずっとオススメだと思っていたのだけどそれが残念でした・・・すみません。

〈文藝春秋 2013.7〉H25.8.16読了

烏に単は似合わない 阿部智里5

烏に単は似合わない烏に単は似合わない
著者:阿部 智里
文藝春秋(2012-06-24)
販売元:Amazon.co.jp
クチコミを見る

オススメ!
松本清張賞を最年少で受賞、そのスケール感と異世界を綿密に組み上げる想像力で選考委員を驚かせた期待のデビュー作は、壮大な時代設定に支えられた時代ファンタジーです。
人間の代わりに「八咫烏」の一族が支配する世界「山内」では、世継ぎである若宮の后選びが今まさに始まろうとしていた。朝廷での権力争いに激しくしのぎを削る四家の大貴族から差し遣わされた四人の姫君。春夏秋冬を司るかのようにそれぞれの魅力を誇る四人は、世継ぎの座を巡る陰謀から若君への恋心まで様々な思惑を胸に后の座を競い合うが、肝心の若宮が一向に現れないまま、次々と事件が起こる。侍女の失踪、謎の手紙、後宮への侵入者……。峻嶮な岩山に贅を尽くして建てられた館、馬ならぬ大烏に曳かれて車は空を飛び、四季折々の花鳥風月よりなお美しい衣裳をまとう。そんな美しく華やかな宮廷生活の水面下で若宮の来訪を妨害し、后選びの行方を不穏なものにしようと企んでいるのは果たして四人の姫君のうち誰なのか? 若宮に選ばれるのはいったい誰なのか?
あふれだすイマジネーションと意外な結末――驚嘆必至の大型新人登場にご期待ください。

元同僚だった司書にこの本面白いよ!とオススメされたので読みました。
うおー面白いー!面白いよー!と夢中で読みました。
20歳が書いたなんて信じられない。凄い才能ですね。
舞台は平安時代を思わせる雰囲気なのですが、実在の時代ではなくファンタジーでもあります。
世継ぎである若宮の妃は権力争いにしのぎを削る四家の中から選ばれます。あせび、浜木綿、真赭の薄、白珠。それぞれが若宮の妃になるために奔走します。
ただ女4人の闘いが繰り広げられるのだと思っていました。確かに闘いはありましたけどそれは茶番と言ってもいいほど、大きな問題ではありませんでした。后候補たちはみんな自分たちの一族全ての期待を背負って来ているのであらゆる手を使って后になろうとします。
始めは東家当主の娘、あせび目線で物語が始まります。あせびは二の姫のため本当は后候補としては選ばれない人です。今までほとんど外に出たことはなく、まさに箱入り娘として育てられてきます。そんなあせびにやってきた后候補の話。争うにはあまりにも世間を知らず、常識を知らないために人々に侮蔑されます。
序章で書かれた誰かの幼少期の話から、きっとあせびが嫁になるんだろうなと思っていました。でも、その予想は覆されました。本当に、そんな簡単な問題ではなかったんです。
説明したいですけど上手く説明できないですし、ネタバレになってしまうので言いませんがいくつも折り重なるどんでん返しと各家で考えられていた思惑にもまた驚愕です。
若宮は本当にずっと登場せず終盤に出てきました。そして出てきたと思えば憎らしいことを口にし、ずっと待っていた后たちをバッサリと切り捨てます。なんだよ、顔は良いけど性格の悪い王子パターンか?と思っていたらすべては思惑通りだったんですね。若宮は本当に聡明で、継承にふさわしい人だと思いました。
そして若宮が最後に選んだ人。そう来るかと思いました。でも、それでいいのだと思います。続けてしまうとずっと同じ歴史を繰り返してしまうと思うので。
若宮はきっと、彼女と彼女の女房とで素敵な未来を築いていけるに違いありません。
そして終章。序章はこうやってつながっていたのか!とびっくり。くぅ〜!最後の最後までやられました。

〈文藝春秋 2012.6〉H24.8.30読了
自己紹介
苗坊と申します。
読書とV6を愛してやまない道産子です。47都道府県を旅行して制覇するのが人生の夢。過去記事にもコメント大歓迎です。よろしくお願いいたします。
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