闇を抜け、私たちは羽ばたき続ける――
大切な「誰か」の存在に気づかせてくれる、5つの物語。
古い友人。遠くの恋人。業界を去った恩人。すれ違う家族。
途切れかけたつながりを、どうしたら取り戻せるのか。
紅葉の季節に、東北・北海道新幹線で青森、盛岡、仙台へ向かう人々を描く、心に深く響く連絡短編集。
『桜の下で待っている』で、東北新幹線でふるさとへ向かう人々を描き大きな支持を得た著者。
あれから10年、著者がひらく新境地!
彩瀬さんのことを最初に知ったのが「暗い夜、星を数えて 3・11被災鉄道からの脱出」で、東日本大震災の時にちょうど東北にいらして帰宅難民となった時のことを書いたエッセイを読んだことがきっかけでした。なので、彩瀬さんが東北について書かれているのを読むと何だか身が引き締まる思いです^^;
私は盛岡に3回くらい行っているので、情景が目に浮かぶようなシーンもあって読んでいて楽しかったです。
今回は東日本大震災というよりはコロナ禍を描いていましたね。読んでいて懐かしさを感じるような、未だに続いているような、何だか不思議な感じです。
どの作品も好きですが特に最初の「ひとひらの羽」が好きでした。「燃えよ剣」の土方歳三が大好きな女性と、かつての同僚の男性。こういう友情もあるんだなと読んでいて素敵だなと思いました。この女性に対して男性が言った言葉。「自分でものを考えて、自分の羽で飛ぶ方向を選んでいて、かっこいい」って言葉がとても印象的で。この女性、鳴海遥は何となく似ているというか共感できるところがたくさんあったので(男性の同僚がイタいおばさんと評しているのも含めて)、私が言ってもらったような気になって嬉しくなっていました(笑)「土方歳三のような男に愛されたい人じゃなくて、土方歳三みたいに生きたい人」って言葉も良かったなー。とても良かった。
なんだかこちらも元気をもらえた作品でした。
余談ですが、コロナ禍あたりで「燃えよ剣」と言ったらオカダが主演でしかも土方歳三役だったよな…?と思ったら存分に褒めてくれていて私は大満足でした(笑)と言っても私はその映画まだ見れていないんですけど(鳴海さんに怒られる)
<実業之日本社 2025.1>2025.4.12読了