「余はこれから何人の女を抱かねばならぬのだろう」―時は平安。清和、陽成、宇多、若くして即位した天皇たちはそれぞれに孤独な屈託を抱えていた。そして、後宮の女たちは、そんな主上のお訪いを来る夜も来る夜もただひたすら待つのだった。いつの世も変わらぬ、身を滅ぼさんばかりの物狂おしい恋情を描いた時代絵巻誕生。
平安時代、天皇に入内する女性たちの目線での日々が描かれています。
主上のお訪いを待つ日々…。主上の子供が切実に欲しい者、無理矢理入内された者。いずれにしても男性ありきの世界で男性のために生きざるを得ない女性たちが読んでいて辛かったです。
特に高子は想い人がいて、周りもそれをわかっているのに無理やり入内させられるシーンは辛かったです。明子の末路も…。高子と在原業平の恋は有名ですが、どこまで史実かは分かりませんがとても切なくて胸が苦しかったです。
<文藝春秋 2008.11、2014.4>2023.6.25読了