その死体は信長――密室殺人事件に巻き込まれた私は、うっかり本能寺の変の謎に挑んでしまう……。
洛中女子寮ライフ――14回生以上との噂のある、女子寮の“お局様”の正体は!?
京都の摩訶不思議を詰め込んだ「静」と「動」の2篇
先週の木曜日に「あの本、読みました?」でマキメさんが登場し、こちらの作品について少しお話をされていました。「八月の御所グラウンド」がA面ならこっちはB面とおっしゃっていて、なるほどと思いました。2作品とも通ずるものがあるように感じます。
「三月の局騒ぎ」主人公が大学生になり、寮で暮らすことになった2001年に思いを馳せるところから物語が始まります。その寮は少し変わっていて、住んでいる学生のことを女御と呼びます。主人公の若菜はそこで14回生以上だという噂のキヨという女性のことが気にかかります。坊ちゃんに登場する清という女性のことが好きな若菜は名前が好きでその名前の付く人に悪い人はいないと思っている可愛らしい人です。そしてまさかの同部屋になり、一緒に生活していくようになります。
キヨという名前と日記で気づくべきでしたね^^;そうか、清少納言か…。かつて見知らぬ人に暴言を吐かれて文章を書くのをやめてしまっていた若菜が清に「私は悪くないと思った」と言われて再び文章をしたため、人生が変わっていくところが好きでした。そして最後に娘が都大路に出ると書かれていてガン見しましたよね←名前!と前作の感想を見返すと、娘さんはライバルとして登場していました。こういう繫がり嬉しい!
「六月のぶりぶりぎっちょう」番組で鈴木保奈美さんもおっしゃっていましたが、よくこういう言葉を探していいように用いられますよね(笑)初めて聞いた時はてっきりマキメさんの造語だと思いました(笑)すみません。あらすじから主人公が本能寺の変の現場にタイムスリップするのかと思ったら違いましたねー最初よく分からなくて主人公と一緒に戸惑いながら読んでいましたよ。まさにマキメワールドでした。登場する人みんなが織田信長関係者の名前なのに三木さんだけ関係ない名前だなーと思っていたら後に判明する名前に納得でした。なるほど。正直私はあんまり三英傑は好きじゃないんですけど(笑)500年以上経っても名前が残っているんですから、織田信長のことをみんなが好きなんだと思います。だから、自分はみんなに嫌われていたと思っているのなら、そんなことないよ!と言ってあげたいなぁと思いました。マキメワールドを堪能しました。面白かったです。
<文藝春秋 2024.6>2024.7.20読了