辻村深月の長編ミステリーから物語が飛び出した。「スロウハイツ」の住人を受け止め、支えたあの作家。物語に生きる彼らと同じ視線で、チヨダ・コーキのデビュー作を味わおう。『スロウハイツの神様』の世界へようこそ。「ねえ、ティー。一人ぼっちにならないで。アタシはあなたを愛してる」。解説・赤羽環。
3年前に別れたアールからの電話は唐突だった。「ティー、あなたは今からアタシの話をたくさん聴くことになる。酷いこともたくさん。だけど覚えていて。アタシは変わってない。」そして俺に届いた「トランス・ハイ」に関する噂。ヤバいよ、アール、だって相手はーーー
「スロウハイツの神様」に登場するチヨダ・コーキのデビュー作。そちらを読んでから読もうと思っていて、読んでからかなりの時間が経ってしまったのであやふやになってしまった部分も多いのですが。
チヨダ・コーキが書くとしたらこういう世界観なんだろうなぁというそのままの物語でしたねー。面白いけどデビュー作だから少し粗削りな感じとかも出ていて流石辻村さんだなと思いました。
主人公が愛したアールは強い女性で、チヨダ・コーキ自身がこういう女性が好きなのかなぁと思ったり。環のような。そして解説が環なのがまた粋すぎますよねー!ニヤニヤしちゃう←環がこの作品に強い想いを抱いていることがひしひしと伝わってきました。この作品は王子監督でアニメ化が決まっているとかリンクしているのも面白い。こちらの作品は表は辻村さんの名前ですが、1ページめくるとチヨダ・コーキと表示されていて裏も同じ感じになっています。素敵。ようやくですが読めて良かったです。
<講談社 2010.2、2013.2>2024.5.9読了