苗坊の徒然日記

読書とV6をこよなく愛する苗坊が気ままに書いてます。 お気軽にどうぞ。

女性作家(ま・や・ら・わ行)

朧の花嫁 みちふむ4



大正時代の函館。旧華族の清子は顔の痣により冷遇されて育った。そんな彼女は、金のため顔も知らぬ実業家に嫁ぐように命じられる。
清子が出向いた屋敷には、商才あふれる美貌の青年・朔弥がいた。しかし彼の目は不自由になりつつあり、これまでの縁談への苛立ちから彼女を拒絶。それでも清子は真摯に接し、朔弥も、その育ちゆえに真心で人を見る彼女に心惹かれ、互いにかけがえない存在に。
だが、痣を知った岩倉本家は彼女を追い出そうとして――。彼と生きるため、清子はその人柄と聡明さで懸命に試練に向き合い……?

コミックスの試し読みで途中まで読んでいたので気になって手に取りました。
が、コミックスの内容を凝縮したような感じで、結構異なるところが多かった気がします。
それにしても、コミックスを読んでいる時も思いましたけど、清子の実家での待遇が可哀想すぎて腹が立って仕方がなかったです←
清子の家族も、朔弥の家族も、清子のことを蔑んでいるのが伝わってきて辛くて。でも、朔弥と瀧川の存在が清子に少しずつ自信を持たせてきている感じがとても好きでした。だんだん激甘になって言って最初のあれは何だったんだ?と思いましたけど(笑)
まだまだ多難な道のりな気がしますが、お互いを支え合って幸せになってほしいなと思います。

<KADOKAWA 2024.5>2024.8.3読了

人間標本 湊かなえ4

人間標本 (角川書店単行本)
湊 かなえ
KADOKAWA
2024-03-11


蝶が恋しい。蝶のことだけを考えながら生きていきたい。蝶の目に映る世界を欲した私は、ある日天啓を受ける。あの美しい少年たちは蝶なのだ。その輝きは標本になっても色あせることはない。五体目の標本が完成した時には大きな達成感を得たが、再び飢餓感が膨れ上がる。今こそ最高傑作を完成させるべきだ。果たしてそれは誰の標本か。――幼い時からその成長を目に焼き付けてきた息子の姿もまた、蝶として私の目に映ったのだった。イヤミスの女王、さらなる覚醒。15周年記念書下ろし作品。

職場の同僚におススメされて読んだ作品。私は本を読んだ後に幸せになりたいので基本的にイヤミスは読まないんですけど^^;新しい扉を開こうと思って読みました。
いやー…凄かった。凄かったけど、最初はただただ気持ちが悪くて。読んでいくうちに具合が悪くなって言ったんですけど(笑)中盤からの展開が二転三転してえ?え?どういうこと?と気づいたら一気読みしていました。
正直ただのトチ狂った人の話なのかと思って読み進めていたんですけど^^;全然違いました…。辛い…。父子がただただ巻き込まれていて辛い…ラスト2ページで明かされたことはきっと真実に近づくことになるのだろうけど、現状はきっと変わらなかったんだろうな…。
やっぱりイヤミスの女王湊かなえさんの作品でした(笑)

<KADOKAWA 2023.12>2024.7.6読了

満月珈琲店の星詠み〜秋の夜長と月夜のお茶会〜 望月麻衣5



淡路島で母を看取った百花。満月の夜、散歩に出かけると、閉まっているはずの遊園地に見知った猫が入っていき……。花巻の祖父母の家で療養する少年、宮島で姉妹関係に悩む女子、人生に迷う人々の近くで、満月珈琲店が開店する。星遣いの猫たちのあたたかな言葉と、美しいイラストが共鳴する大人気書き下ろしシリーズ、第5弾!

大好きなシリーズです。前回舞台は札幌だったなーと思い出しながら読んだのですが、今回最初の主人公だった百花でその異母兄弟が前作の主人公の同僚として登場した総悟で…と話が続いてる…!と嬉しくなりました。更に総悟の従姉妹のお話も続きます。
母親のために生きてきた百花、自分は罪の子だと思って育ってきた総悟、妹に対して劣等感を抱いていた姉の果歩。どのお話も切なくて温かくて好きだったけど、1番印象に残ったのは果歩の回でした。私も妹がいて、同じような劣等感を抱いていたから。まあ、私は妹の彼氏を好きになったことはないけど(笑)私も外見も中身も地味で「妹さんは可愛いね。全然似てないね」なんて言われたこともありましたよ。若干抉られながら読んでました。果歩は素敵な終わり方になっていてよかったなー。幸せになれたら良いな。そして総悟も上手くいくと良いな。優しい気持ちになって読み終えることが出来ました。

<文藝春秋 2023.12>2024.3.4読了

成瀬は信じた道をいく 宮島未奈5

成瀬は信じた道をいく
宮島 未奈
新潮社
2024-01-24


成瀬の人生は、今日も誰かと交差する。「ゼゼカラ」ファンの小学生、娘の受験を見守る父、近所のクレーマー主婦、観光大使になるべく育った女子大生……。個性豊かな面々が新たに成瀬あかり史に名を刻む中、幼馴染の島崎が故郷へ帰ると、成瀬が書置きを残して失踪しており……!? 読み応え、ますますパワーアップの全5篇!

続けて続編を読みました。
前作と時系列はちょっとかぶっている感じでしょうか。成瀬は相変わらず成瀬で安心します(笑)
ゼゼカラファンというか成瀬ガチ勢のみらいちゃんも最高だし、成瀬のお父さんは異常に心配性だし、成瀬はクレーマーとも仲良くなるし地元の観光大使にまでなるし本当にどこまで行ってしまうんだろうと読んでいて楽しかったです。
最後、成瀬がなぜか失踪していてなぜ!?となりましたが真相が分かると成瀬らしいとしか思えなくてまた笑いました。それにしてもあの番組のあの場面をそんな風に利用するとは!(ネタバレになるので伏せる)そんなこと考えたこともなかった!毎年もう止めればいいのにとしか思っていなかったから←
出来れば成瀬のこれからも見ていきたいです。

<新潮社 2024.1>2024.2.25読了

成瀬は天下を取りにいく 宮島未奈5

成瀬は天下を取りにいく
宮島 未奈
新潮社
2023-03-17


2020年、中2の夏休みの始まりに、幼馴染の成瀬がまた変なことを言い出した。
コロナ禍に閉店を控える西武大津店に毎日通い、中継に映るというのだが……。
M-1に挑戦したかと思えば、自身の髪で長期実験に取り組み、市民憲章は暗記して全うする。
今日も全力で我が道を突き進む成瀬あかりから、きっと誰もが目を離せない。
2023年、最注目の新人が贈る傑作青春小説!

キノベス1位ということで気になって手に取ってみました。
とにかく成瀬が凄い人でした(笑)いろんなことに挑戦していくのが面白いし、本気で200歳まで生きようと健康に気を付けて危険を察知する能力も身に付けていて(笑)一体人生何回目の人なんだろうと思いながら読みました。
周りの目を気にしてしまう私は成瀬が羨ましかったです。多分最初は島崎もそう思っていたと思うけど、いい感じでお互いに成長している感じが良かったです。成瀬が島崎が自分から離れてしまうとショックを受けていつものルーティーンが上手くいかなくなるところで一応ちゃんと人間なんだなと思えました(笑)

<新潮社 2023.3>2024.2.24読了

星合う夜の失せもの探し 秋葉図書館の四季 森谷明子5



れんげ野原の中にある秋葉図書館には名探偵ばりの司書がいる。曾祖母の残した開かずの文箱、失踪したブックカフェの猫、図書館開設準備中に発覚した旧家の秘密……。そんな謎を抱える利用者を、誰もが知る古典や名作や、知る人ぞ知る本をそっと差し出して、解決までやさしく導きます。
「どこにいたの?」をテーマに描く、六篇の謎。ほんわか図書館ミステリのちょっぴり番外編。

秋葉図書館の四季シリーズ?ですか。懐かしいと思って調べたら前作は9年前ですってよ!
この間読んだ「晴れた日は図書館へいこう」も10年ぶりの新刊だったし読者は忘れてしまうのでもう少し早めにお願いします(笑)でも、その前も9年空いてるな…←
多分前作で登場した利用者が登場しているんだと思いますけど、覚えていませんでした…悔しい。
そして今回は文子の目線ではなく利用者である人たちの話がメインでしたね。だから番外編なのかな。
1番は秋葉の地主の息子家族かな。茉莉がお世話になったブックカフェの店主のこと、健一が幼少期に助けてもらった女性のこと、佐由留と友人の優が探る文箱の秘密。
そして秋葉図書館開設準備中のお話も面白かったです。能勢さんも日野さんも相変わらず(笑)文子はこうやって図書館との縁をはぐくんできたんだなと思ったり。
今回も『風と共に去りぬ』やアガサ・クリスティー『春にして君を離れ』、『ながいかみのラプンツェル』、『枕草子』、谷川俊太郎の詩などたくさんの物語が登場しました。うぅ…どれも読んでいない…精進しなければ。と決意も生まれました^^
図書館司書になってからは初めて読んだので、以前は羨望の目で読んでいましたけど、今回は少し違う気がしました。日野さんのような図書館司書になりたいな。多分、私の方が年上になってしまっているだろうけど。

<東京創元社 2023.7>2023.8.31読了

満月珈琲店の星詠み〜メタモルフォーゼの調べ〜 望月麻衣5



シリーズ累計30万部突破!待望の第4弾。
大きなエネルギーを持ち「変容」を司る冥王星が水瓶座入りする日、満月珈琲店のメンバーは北海道の音楽祭にいた。
転職で札幌にやってきた小雪は、かつて三毛猫のマスターに出会ったことがあるという紅茶専門店のマダムに会いに行く。マダムから小樽の昔話を聞いて……。
美しいイラストと響き合う書き下ろし小説。短編「幸せなシモベ」も収録。

今回の舞台は札幌!とても細かく街並みが描かれていたのでもしや…と思ったらやっぱり、著者さんは札幌出身なのですね。身近な場所がたくさん出てきて嬉しかったです。
前回登場した小雪は何となく覚えています。満月珈琲店を訪れたことで踏み出せて良かった。ちゃんと家族と関わることが出来て良かったです。
今回はヴィーナスの過去も分かってたくさんのつながりを感じました。てっきり若くして亡くなった女性の方かと思ったんですけど…そちらでしたか。どちらも幸せになれて良かった。小雪の就職先の社長も社員もとてもいい人。そして小雪が札幌を好きになってくれて、こちらも嬉しいかったです。
この作品を読むといつも星詠みの勉強をしたくなるなーと思うんですよね。1番初めに読んだ後に関連書を読んだのですが難しくて諦めました(笑)

<文藝春秋 2022.11>2023.1.31読了

宙ごはん 町田そのこ5

宙ごはん
町田そのこ
小学館
2022-05-27


宙には、育ててくれている『ママ』と産んでくれた『お母さん』がいる。厳しいときもあるけれど愛情いっぱいで接してくれるママ・風海と、イラストレーターとして活躍し、大人らしくなさが魅力的なお母さん・花野だ。二人の母がいるのは「さいこーにしあわせ」だった。
宙が小学校に上がるとき、夫の海外赴任に同行する風海のもとを離れ、花野と暮らし始める。待っていたのは、ごはんも作らず子どもの世話もしない、授業参観には来ないのに恋人とデートに行く母親との生活だった。代わりに手を差し伸べてくれたのは、商店街のビストロで働く佐伯だ。花野の中学時代の後輩の佐伯は、毎日のごはんを用意してくれて、話し相手にもなってくれた。ある日、花野への不満を溜め、堪えられなくなって家を飛び出した宙に、佐伯はとっておきのパンケーキを作ってくれ、レシピまで教えてくれた。その日から、宙は教わったレシピをノートに書きとめつづけた。
全国の書店員さん大絶賛! どこまでも温かく、やさしいやさしい希望の物語。

町田さん、以前から気になっていましたが初読みでした。
章が進んで行くごとに数年が経過していて、宙は少しずつ成長していきます。
最初の宙が大人びすぎていてびっくりでしたけど^^;でも花野と暮らしていくんだったらこれくらいしっかりしていないと無理だっただろうなという気もします。
花野は母親業に向いていない人で、どうしようもない人だと思っていました。でもそれは間違いだったんだと読み進めていくうちに感じました。表面だけを見てはいけないと思います。
それにしても、花野の祖父母に関しては100歩譲って仕方がないとしても風海や宙の彼氏の伯母の考え方がちょっと異常すぎて気持ち悪かったなーイマドキそこまでの人いる?特に伯母さん。40代くらいでしょ?
宙が成長していくのと一緒に花野も母親として成長していく感じが良かったです。その2人をずっとそばで支え続けたやっちゃん。…辛すぎる。どうしてこんなことにならなければならないのか…
やっちゃんのことから宙も自分の出生のことや父親のことも知ることになります。
私は被害者側にも加害者側にも立ったことがないから分からないけど、宙の父親やあの少年がやっていることは自己満足でしかなかったのだとは思いますよね…。赦してほしいから、なんて被害者側からしたら怒りしか沸いてこないのは分かります。この一連のくだりはさだまさしの「償い」を思い出しましたよね。何が正解というのは無いし分からないけど、でも、誰もが少しでお前を向いて生きていってほしいと思いました。そこまで考えるのは大変だと思うけど、でもそれが出来た花野は凄いなと思いました。肝っ玉母さんみたいだったし最初の雰囲気からは想像もつかなかった^m^
ラストも良いラストでした。最後まで読んで、宙とマリーはどこかで再会していて、お友達になっていたらいいなーなんて思ったりもしました^^

<小学館 2022.5>2022.7.1読了

あれは子どものための歌 明神しじま5



料理人のキドウは異国の地で、8年前に飢饉に苦しむ祖国を揺るがした、ある事件で出会った因縁の相手・カルマと再会する。彼らが口にするのは、事件解決の際に奇策を弄した、行商人・フェイとの思い出話。しかし、新たな疑問がキドウの中に生まれる。「あのとき祖国で、本当は何が起こっていたのか?」。真実を知ろうとするキドウに、カルマは奇妙な寓話を語り出す。「不思議なナイフで自らの”影”を切り離した男の物語」だ。物語の幕が下りるとき、8年前の事件の驚愕の真実が浮かび上がる、第7回ミステリーズ!新人賞佳作「商人(あきんど)の空誓文(からせいもん)」。どんな賭けにも負けない少女の運命を描く「あれは子どものための歌」や、あらゆる傷を跡形なく消し去る医者の秘密を暴く「対岸の火事」ほか、全5編。魔女との契約で、不思議な力を得た彼らをめぐって起こる殺人や陰謀に、人間が推理の力で立ち向かう! 自在な語り口で本格ミステリの謎解きを描く、連作集。

出版社の編集者さんがツイッターでおススメしていて気になっていた作品です。初読み作家さん。
こちらの1番初めに載っていた「商人の空誓文」は2010年に新人賞佳作を獲られた作品!
それから少しずつ発表されて書き下ろし2作を含めようやく発表された作品だったのですね。12年前、著者さんは大学生。いやはや素晴らしい作品でした。ファンタジーを感じるし異国も感じる。しっかりとミステリ要素もあって引き込まれました。
5編の連作短編集で繋がってはいるのですが物語1つ1つは別物で、壮大なお話を読んでいるような気持になりました。登場人物で繋がりもあるのですがそれが分かってくると前を読み返したくなるし、そういうことだったのか!と分かるところもあります。してやられます^^;
暗雲が立ち込めるような物語の展開ですが、最後はスカッと快晴が似合うような展開になるのも大好きなところです。素敵な物語に出会えました。

<東京創元社 2022.1>2022.4.19読了

満月珈琲店の星詠み〜ライオンズゲートの奇跡〜 望月麻衣5



八月の新月、三毛猫のマスターのもとに、美しい海王星の遣い・サラが訪れた。特別に満月珈琲店を手伝うという。人に夢を与えるサラが動いたことで、気後れして母に会えずにいた沙月、自分の気持ちを蔑ろにしてきた藤子、才能の限界を感じた作家の二季草、彼らの心の扉が開かれる。イラストとともに生まれる書き下ろし小説。

シリーズ第3弾です。
今回は連作短編集のような形でしょうか。冒頭に登場する鮎川沙月の物語なのかと思ったら母親の藤子の物語でしたね。凛とした素敵な女性だと思います。
始めの物語から変化した最後の物語。今回はサラという海王星の遣いが現れたからこそ、そうなったのでしょうか。それでも変に意地を張って誤解が生じたまま、悪い方向へと進んでいってしまうのが切なかったので、良い方向へと変化していったのがとても嬉しかったです。
これからまた新しい生活が始まっていくのだと思うと嬉しく感じました。
藤子の物語を読んでいる途中で目次を見たときに、何となく物語の展開が読めてしまったのがちょっと残念でしたが^^;それでも結末は想像以上で、こういうラストは大歓迎です。
このシリーズを読むと占星術に興味を持ちますね。

<文藝春秋 2021.12>2022.1.28読了

余命一年、男をかう 吉川トリコ5

余命一年、男をかう
吉川トリコ
講談社
2021-07-15


幼いころからお金を貯めることが趣味だった片倉唯、40歳。ただで受けられるからと受けたがん検診で、かなり進行した子宮がんを宣告される。医師は早めの手術を勧めるも、唯はどこかほっとしていたーー「これでやっと死ねる」。
趣味とはいえ、節約に節約を重ねる生活をもうしなくてもいい。好きなことをやってやるんだ! と。病院の会計まちをしていた唯の目の前にピンク頭の、どこからどうみてもホストである男が現れ、突然話しかけてきた。
「あのさ、おねーさん、いきなりで悪いんだけど、お金持ってない?」。
この日から、唯とこのピンク頭との奇妙な関係が始まるーー。

面白かった。一気読みでした。
唯の気持ち、凄く良くわかります。将来のことを考えてコツコツお金を貯めること。オシャレに興味がなくて自炊が苦じゃなくて遊びたいともあまり思わなくて。生きてて何が楽しいの?って、私も何度も言われたことがあります。別に我慢してそうしているわけじゃなくてそれが普通なのに。
余命がどのくらいなのかおおよそ分かってほっとした気持ちも分かります。将来のお金の面も不安はあるけど、どのくらい長く生きるんだろうっていう不安もあるんですよね。だから先が見えてほっとするっていうの分かる気がしました。
そこはリアルだけど、ピンク頭の登場と彼との関わり方はファンタジーだな…と思いました。それがダメなわけではないんです。リアルとファンタジーが折り重なっていて、読むのが楽しかったです。
瀬名も良い奴なんですよねー…。なんだかんだで唯のことをちゃんと気にかけているし。唯と出会ったことで生き方や考え方が良い方向へ変わった気がします。
2人の関係性はファンタジーなのに、唯が「奥さん」と呼ばれて4人分の食材をオススメされたり、良かれと思って安産祈願のお守りを渡されたりするくだりがものすごくリアルで、なぜか私がショックを受けました(なぜ)
なんだかんだいって、日本の固定観念って昭和の時と変わっていないんだよなーと思ったり。そんなことに負けずに唯たちは生きていってほしいです。個人的に唯の同僚のみずほが好きでした。推しがいる人だからか唯とは違う共感できる部分がたくさんありました(笑)
1番嫌いだったのは課長ですね。名前も言いたくない。クズですよクズ。クリスマスイブの前日に押し掛けるのとかマジでキモイ。勝手に勘違いな正義感を出してきてキモイ。あー気持ち悪い気持ち悪い。虫唾が走る。
余談ですけど、あらすじのピンク頭というくだりであの子を思い浮かべたんですけど、読めば読むほど芸人さんの方が頭に浮かんでしまったので、軌道修正が大変でした←
まあ思い浮かべる人は置いておいて映像化しそうな作品だな…とも思いましたけどね。

<講談社 2021.7>2021.9.3読了

満月珈琲店の星詠み〜本当の願いごと〜 望月麻衣5



満月珈琲店の三毛猫のマスターと星遣いの店員は、極上のメニューと占星術で、迷える人の心に寄りそう。結婚と仕事の間で揺れる聡美、父の死後、明るい良い子を演じてきた小雪、横暴な父のため家族がバラバラになった純子。彼女たちが自分の本当の願いに気が付いたとき――。美しいイラストに着想を得た心温まる書き下ろし小説。

本をめくると登場するカラーのおいしそうなメニューたち。本当にあったらいいのにな。私はたどり着けるかわからないけど、行ってみたい。占ってほしいなぁ。
今回も迷える人が満月珈琲店を訪れていきましたね。でも出てくる人たちはみんなつながっていて、そのつながりを読んでいるのも好きでした。
今回登場した3人の女性たち。それぞれが思い悩み考えて頑張って生きていて。だからこそ、肩の力を抜いてみたら?って言ってくれているようなそんな気がしました。
小雪と純子は形は違いましたがどちらも父親が関係していました。2人の悩んでいることは全然違うことだったけど、このお店と巡り合ったことで心が氷解していくのが分かって本当に良かったなとこちらも幸せな気持ちになりました。最後は涙をこらえるのが大変でした^m^
また続編が出てくれたらいいな。期待しています。

<文芸春秋 2021.2>2021.5.11読了

ヴェルサイユ宮の聖殺人 宮園ありあ5

ヴェルサイユ宮の聖殺人
宮園ありあ
早川書房
2021-01-21


1782年5月――ブルボン朝フランス王国が黄昏を迎えつつある頃、国王ルイ16世のいとこにして王妃マリー=アントワネットの元総女官長マリー=アメリーは、ヴェルサイユ宮殿の施錠された自室で刺殺体に遭遇する。殺されていたのは、パリ・オペラ座の演出家を務めるブリュネル。遺体は聖書をつかみ、カラヴァッジョ「聖マタイと天使」に血文字を残していた。そして、傍らに意識を失くして横たわっていたのは、戦場帰りの陸軍大尉ボーフランシュだった――。マリー=アメリーは集った官憲たちに向けて、高らかに告げる。「この方の身柄を預けて下さいませんこと? 私のアパルトマンで起きた事件です。こちらで捜査しますわ。無論、国王陛下の許可はお取りしますからご安心下さい」「俺は助けて欲しいと一言も言ってない! 」かくして、奇妙な縁で結ばれた、才女気取りのやんごとなき貴婦人と第一容疑者のボーフランシュ大尉は、謎多き殺人事件に挑む。

第10回アガサ・クリスティー賞優秀賞受賞作品だそうです。タイトルが気になって手に取りました。
面白かったー!展開が気になって読む手が止まりませんでした。
主人公のマリー・メアリーがとても魅力的です。地位も名誉もあるけど気品があって知性があって肝が据わっていてでも繊細で。女性として本当に素敵。そして陸軍大尉のボーフランシュも良いです!闘志むき出しで正義感が強くてまっすぐ!2人のバディが良かったです。私はこの時代の事は詳しくないんですけど、多分身分は全然違うんですよね…?最終的にはその諸々も変わっているような気もしますが…。
殺人事件の犯人を追いつつもこの時代のフランスの情勢や文化も感じられて良かったです。
このバディがとても好きだったので続編が出てくれないかなーと思いました^^

<早川書房 2021.1>2021.3.25読了

満月珈琲店の星詠み 望月麻衣5

満月珈琲店の星詠み (文春文庫)
麻衣, 望月
文藝春秋
2020-07-08


満月の夜にだけ現れる満月珈琲店では、猫のマスターと店員が、極上のスイーツやフードとドリンクで客をもてなす。スランプ中のシナリオ・ライター、不倫未遂のディレクター、恋するIT起業家…マスターは訪問客の星の動きを「詠む」。悩める人々を星はどう導くか。美しいイラストにインスパイアされた書き下ろし小説。

タイトルに惹かれて読みました。初読み作家さんです。
ページを開いたら最初に美味しそうなイラストが!メニュー名も素敵!
物語に入る前から一気に引き込まれました。
様々な事情を抱えて思い悩む5人の男女。満月の夜に現れる満月珈琲店でマスターと店員にもてなされ、前を向いていきます。
占いに興味はありますが、西洋占星術をちゃんと知ろうと思ったことはありませんでした。
何だか講義を聴いているようでした。
私も西洋占星術を学んで今の状況が分かって気を付けていれば、変われるのかな…。
5人の男女には一つの共通点がありました。
それが徐々に明らかになり、そういうことだったのか…と納得です。
皆さん明らかに変わっていっている感じが伺えて羨ましかったです。
こんなカフェがあったら絶対に行きたい!

<文藝春秋 2020.7>2020.12.7読了

純喫茶パオーン 椰月美智子5

純喫茶パオーン
椰月美智子
角川春樹事務所
2020-08-07


創業50年(おおよそ)の喫茶店「純喫茶パオーン」。トレイを持つ手がいつも小刻みに震えているのに、グラスにたっぷり、表面張力ギリギリで運ぶ「おじいちゃんの特製ミルクセーキ」と、どんなにお腹がいっぱいでも食べたくなっちゃう「おばあちゃんの魔法のナポリタン」が看板メニューだ。その店主の孫である「ぼく」が小学5年・中学1年・大学1年の頃にそれぞれ出会う不思議な事件と、人生のちょっとした真実。

タイトルがとても可愛かったので手に取りました^^
舞台は「純喫茶パオーン」そして主人公はこの純喫茶を営む夫婦のお孫さんです。
好きだったのは中学1年生の「あまのじゃくだな、のっぺらぼう」ですかね。事件の内容がこのタイトルに詰め込まれています^^琉生と圭一郎と小さい頃からずっと仲良しだったのに学校が変わったことで何となく距離が出来て会わなくなって…よくあることではありますけどそれが良いんだか悪いんだかの形で元に戻って良かったです。
3人のお姉さん的存在のゆりちゃんが好きだったな。自分をしっかり持っていて素敵な女性でした。
そしてなによりおじいちゃんとおばあちゃんが素敵です。あ、お父さんとお母さんも素敵。出てくる人みんなが素敵でした。あ、でも圭一郎の策略は私もサイテーだと思います(笑)

<角川春樹事務所 2020.8>2020.10.2読了

ベルサイユのゆり マリー・アントワネットの花籠 吉川トリコ4



まさか、わたくしの姿がお見えになるんですの?2018年12月28日、ひとりのパリ旅行者が知らない女から声を掛けられる。女の名は、ランバル公妃。フランス革命で虐殺された、マリー・アントワネットの女官長だった。王妃への強い思いゆえ亡霊となった彼女は語り始める。王妃を愛し、王妃に愛された女人たちのことを―。世界中から嫌われた王妃を過剰な愛で綴る、究極の百合文学!

タイトルが気になって読んだのですが、吉川さんはフランス革命の時代の事を色々書かれているんですね。知らなかったです。
イラストもあって可愛い感じだし、ゆりっていうテーマっぽくなっていますけど、内容はがっつりフランス革命で人生を巻き込まれた人たちの事で内容は重たくて。
実家にベルサイユのばらがあるので分かるところもありましたけど、改めて勉強になった気がします。マリー・アントワネットの娘の事とかはあまり知らなかったです。他にも何冊か出されているので読んでみたいと思います。

<新潮社 2019.8>2020.1.19読了

イヴの末裔たちの明日 松崎有理4



自分は未来人だと主張し、材料も資金も足りない刑務所内で未来に帰るためのタイムマシン製造に勤しむ受刑者のかなしい決断「未来への脱獄」、長く未解決だった数学予想の証明に取り憑かれた青年と、暗号解読に人生のすべてを捧げた宝探し人の行く末を追う「ひとを惹きつけてやまないもの」など全五編。さまざまな“極限”に直面した人々がそれぞれ選びとる、未来の物語。

松崎さんの短編集です。どの作品も理系女子作家らしい難しい作品でした^^;
「未来への脱獄」はインサイダー取引により逮捕され20年間の刑務所生活が決定した青年と未来人だという初老の男性の物語。青年はいわば暇つぶしというか生きるための意欲を持つためにタイムマシンを作る手伝いをしていたのだけど男性は本気で作っていた。最後に分かった真実とその過酷さ。青年も壮年になったけどちゃんと生きていけるのではと思いました。
「ひとを惹きつけてやまないもの」この作品が中編くらいの重さでした。19世紀のトレジャーハンターと21世紀の数学者が交互に語っているのですが、共通しているのは暗号の解読。解読のためにたくさんのものを犠牲にした二人。最後が哀しい。
「イヴの末裔たちの明日」表題作ですね。AIに侵略されたような世界のせいでロボットが出来る仕事をしている人間は軒並み解雇、クビになった。そこで見つけた仕事は治験を受ける事。そこで不可思議な薬を投与されることになります。何だか難しかったなぁ…。
「まごうかたなき」日本の昔話のようでしたね。妖怪に立ち向かう5人の男たち。妻帯者、失恋者、お面の男、犯罪者、少年。それぞれが何かしらの想いを抱え、1番強い介錯人は手を貸さない。オチが怖い。失恋者が可哀想すぎた…
「方舟の座席」「ひとを惹きつけてやまないもの」でも登場した未確認飛行物体が登場し、世界が破滅した地球からいつの間にか脱出していたレイ。あしながおじさんに救われたと思っていたけど、あしながおじさんの正体が本当に気持ち悪かった…。自分の意志をしっかり持ったレイの未来はきっと明るいと思う。いつそうなるかが分からないけど…

<東京創元社 2019.11>2019.12.26読了

おらおらでひとりいぐも 若竹千佐子4

おらおらでひとりいぐも 第158回芥川賞受賞おらおらでひとりいぐも 第158回芥川賞受賞
著者:若竹千佐子
河出書房新社(2017-11-16)
販売元:Amazon.co.jp

74歳、ひとり暮らしの桃子さん。
おらの今は、こわいものなし。
結婚を3日後に控えた24歳の秋、東京オリンピックのファンファーレに押し出されるように、故郷を飛び出した桃子さん。
身ひとつで上野駅に降り立ってから50年――住み込みのアルバイト、周造との出会いと結婚、二児の誕生と成長、そして夫の死。
「この先一人でどやって暮らす。こまったぁどうすんべぇ」
40年来住み慣れた都市近郊の新興住宅で、ひとり茶をすすり、ねずみの音に耳をすませるうちに、桃子さんの内から外から、声がジャズのセッションのように湧きあがる。
捨てた故郷、疎遠になった息子と娘、そして亡き夫への愛。震えるような悲しみの果てに、桃子さんが辿り着いたものとは――

この作品を最初に知ったのはいつも利用する図書館の新刊案内でした。
タイトルを見て宮沢賢治の「永訣の朝」の一文だと思いましたが(賢治のはローマ字だけど)あらすじを読んだら賢治は関係なさそうだったのでその時は手にしませんでした←
第158回芥川賞直木賞が発表され、この作品と「銀河鉄道の父」が受賞し(もう1作品ありますが)、賢治に関係する作品が2冊も受賞するとは、と興味を持ってそこで読もうと思いました。前置きが長かったですね。
元ネタである宮沢賢治の「永訣の朝」は妹トシが24歳の若さで病死した直後に出来た詩で、「Ora Orade Shitori egumo」は「私は一人でも生きていくから」というような意味だったと思います。なので、この作品も年老いて夫と死別し、子どもとも疎遠となり、1人で生きていく女性の話なのかなぁと漠然と思っていました。
でも少し違いましたね。文章はほぼ東北弁で、桃子さんの語り口調なので読むのが大変でしたが、自分の今までの過去を振り返り、そして今までで最もつらかった夫との別れとも向き合って、自分の気持ちを見つめ直してから生にどん欲に執着しているような気がして良かったです。
最後のシーンがまた良かったです。桃子さんは決して孤独ではありませんでした。

<河出書房新社 2017.11>H30.4.1読了

見た目レシピいかがですか? 椰月美智子4

見た目レシピいかがですか?見た目レシピいかがですか?
著者:椰月 美智子
PHP研究所(2017-09-26)
販売元:Amazon.co.jp

「イメージコンサルタント」に関わる4人の女たち、それぞれの事情とは?
純代の場合――娘から「参観日にお母さんが一番ダサかった」と言われ……
あかねの場合――不倫相手の「私服がかっこ悪い」のが許せない……
美波の場合――自分がこんなかわいらしい服を着てもいいのだろうか……
繭子の事情――的確なアドバイスを下す彼女の抱える問題とは……
あなたの第一印象、そのままでいいですか? 本当に似合う色、服、髪型などを提案し、「見た目」を変えるイメージコンサルタント・御手洗繭子。ほんのちょっとの気づきと心構えで、人生は変わっていくもの。彼女のアドバイスを受けた人々の外見と内面の変化とは? そして繭子自身が抱える秘密と事情が……。「きれいになりたい」「自分らしくありたい」と思う女性たちの心理を、鋭くかつ細やかに描く、連作小説集。

初読み作家さんでした。名前は気になっていたのですが今まで手に取っていなくて…。
タイトルに惹かれて読んでみました。
第一印象は大事ですよねー。見た目、私も全然自信がないです。
洋服自体は素敵に見えるのに、私が着たら何だかいい服も良く見えないような気がして、私が買ってごめんねって思う時もあります^^;
イメージコンサルタントとだけきくと何だか不安になりますが、繭子の人柄が良くて、信頼するのも分かる気がしました。
だから繭子の章になった時、繭子の幼少期が意外で驚きました。てっきりお嬢様育ちではんなりと育ったのかと思ったのですが^^;
私も自分に合った服を選びたいと思いつつ、でもだからと言って自分自身が気に入っていない服は着たくないし…と兼ね合いが難しいけど私も判断してほしいなーと思いました。

<PHP研究所 2017.9>H29.12.8読了

架空論文投稿計画 あらゆる意味ででっちあげられた数章 松崎有理5

架空論文投稿計画 あらゆる意味ででっちあげられた数章架空論文投稿計画 あらゆる意味ででっちあげられた数章
著者:松崎 有理
光文社(2017-10-17)
販売元:Amazon.co.jp

蛸足大学の助教・ユーリー小松崎は、駆け出し作家の松崎有理と、学問の危機を救うため、嘘論文のでっちあげ投稿を開始!しかし、正義を振りかざす謎の機関「論文警察」の魔手が彼らに迫る!?抱腹絶倒の架空論文満載でおくる、著者ならではのサイエンス・ユーモア・サスペンス!

いやー…凄い作品でしたね。まず思ったのが注釈の幅が大きい!という←
専門用語が飛び交っているのですがちゃんと解説されているので大変分かりやすかったです。でっち上げの投稿がどんどん査読を通って受理されて雑誌に掲載されて、これは確かに本当なら学問の危機だなぁと思って読んでいましたが、ユーリーと有理の会話も面白いしでっちあげ論文もくだらなくて面白いし少しの登場でインパクトが強い黒野さんは素敵だしで良かったです。
きっかけは小松左京さんの追悼アンソロジーだったそうですが、そこからのこの1冊。凄いですねー。最後まで読むとこういうカラクリだったのかと尚更ニヤリとしてしまう感じ。
「代書屋ミクラ」で登場したトキトーさんも出てきましたねー。
元々蛸足大学は松崎作品ではよく登場しますからね。どこかですれ違っていますよね。こういうリンクも楽しいです。そしてその「代書屋ミクラ」で問題となったとある法律。それも関係していてこの作品は時系列的には一番最初なのかなーと思いました。序章みたいな。
こういう作風は理系出身の作家さんだから書ける内容だなと思いました。面白かったです。

<光文社 2017.10>H29.11.28読了

ごはんのことばかり100話とちょっと よしもとばなな4

ごはんのことばかり100話とちょっとごはんのことばかり100話とちょっと
著者:よしもと ばなな
朝日新聞出版(2009-12-04)
販売元:Amazon.co.jp

日々の家庭料理がやっぱり美味しい。子どもが小さいころの食事、献立をめぐってのお姉さんとの話、亡き父の吉本隆明さんが作った独創的なお弁当、一家で通った伊豆の夫婦の心づくしの焼きそば…ぎょうざ、バナナケーキ、コロッケのレシピと文庫判書き下ろしエッセイ付き。

どのエッセイにも食べ物のことが出てきます。家庭料理だったり外食先の料理のことだったり。ばななさんは海外の料理もよく食べられるんですね。横文字が多くて想像できない料理がたくさん出てきました。
読んでいると、世の中にはいろんな美味しい食べ物がたくさんあるんだなーと何だか当たり前のことを想いました。こんなにたくさん美味しいものがあるんだから、一食一食を大事に作って食べていかないと駄目だなーと思いました。と言っても私はほぼほぼ自炊なのですが^^;それでも自分の作る料理のスキルを上げて美味しいものを食べたいと思いました。
ばななさんの息子さんが最初2歳で登場するから随分小さいなと思ったのですが、結構前の作品だったんですね^^;読み進めていくとお父様がまだご健在だったので結構前の作品だったのかと気づきました。

<朝日新聞出版 2009.12>H29.9.20読了

5まで数える 松崎有理3

5まで数える (単行本)5まで数える (単行本)
著者:松崎 有理
筑摩書房(2017-06-08)
販売元:Amazon.co.jp

「5まで数えられないと天国へ行けない」という伝承に怯える少年を描く表題作ほか、ホラーとSFの融合がテーマの奇妙な6つの物語。

内容を知らずに読んだのですが、短編集だったんですね。ずっとスプラッタっぽい内容のものが多かったので、表題作が心温まる可愛らしい話だったのでほっとしました。
最初の「たとえわれ命死ぬとも」は松崎さんらしい作品だと思いました。突飛な法律を使うのが醍醐味ですよね!←
人間が生きるために動物を実験で使うなんてけしからん!ということで、ワクチンや投薬に関しては人体実験が行われるようになったという…ぞっとするお話でした。主人公に関しても、強い想いを抱いていて、それでも犠牲にするのは仲間。辛すぎますよね。そして人を犠牲にして、長い長い時間を費やしてワクチンを完成させたのにあのオチ!辛すぎました…あれはトラウマになるわー。
「やつはアル・クシガイだ」と「バスターズ・ライジング」もなかなかスプラッタだし「砂漠」もオチが怖すぎました^^;やっぱり表題作の「5まで数える」が1番好きでした。異国の地で暮らすアキラと幽霊らしい数学者のポールおじさんとの会話が良かったです。

<筑摩書房 2017.6>H29.7.5読了

みすゞと雅輔 松本侑子4

みすゞと雅輔みすゞと雅輔
著者:松本 侑子
新潮社(2017-03-03)
販売元:Amazon.co.jp

心の詩人・金子みすゞ、知られざる光と影、自殺の謎とは?実弟・上山雅輔(昭和の喜劇王・古川ロッパの脚本家)の膨大な日記を読み解き、みすゞの童謡と生涯、二人の青春と愛憎、別れを、弟の目を通して描く、画期的伝記小説!

タイトルに惹かれ、この本を読みました。松本さんの作品は15年前に読んで以来2冊目でした。びっくり。
金子みすゞさんの作品は学生の時に国語の授業で習っていたので知っていますし、東日本大震災の直後によく流れていたCMでも耳にしていましたよね。
でも私の中で1番印象的なのは2001年に放送されたテレビドラマ「明るいほうへ明るいほうへ」ですね。松さんがテル役で、健君が正祐役でした。映画の「みすゞ」も見ました。
ドラマを見たときはただただテルが可哀想で、正祐もちゃんとしたお坊ちゃんで、正祐の養父とテルの夫が憎かったという感想だったのですが。
今回この本を読んで、その気持ちはだいぶ変わりましたねー。
正祐の義理の父親に関しては印象はあまり変わらないんですけど、怖くて憎らしいと思っていたテルの夫の印象がだいぶ変わりました。ただ酷い夫なのかと思っていたのですが、そうではなかったんですね。この人も上山家に翻弄されてある意味犠牲者だったのかもしれません。女遊びがひどくてテルに淋病を移して、自分勝手だと思っていたけど、家に安らぎを求めていたけど妻は詩の創作のため一人の世界に入り込む。真面目で甘えるわけでもなくて、旦那さんも寂しかったのかなと思いました。テルが自殺してからの夫の反応も想像とは違いました。無理矢理娘を連れていこうとしているのかと思ったらそういうわけでもなく。いろんなすれ違いが生んだ悲劇だったのかもしれないですね。
そして正祐ですよ。読まなきゃよかったと思うくらいに印象が変わりましたよ。ここまで放蕩息子だったとは思いませんでした。家を廃業に追い込むは女遊びは激しいはなんだこいつは!!←
父親と家業に反発している割には親のすねをかじりまくっているじゃないか!
そして東京で働いている時のテルへの手紙!何だあの上から目線は!!
と何だか憤りがハンパなかったですが^^;
ただ、金子みすゞに関して正祐目線での資料というのは今まであまりなかった気がするので新鮮でした。2014年に正祐の日記が発見されたというのも凄いですね、運命的なものを感じます。
にしても気になったのはタイトル。最初雅輔って字が違うのでは?と思ったのですが後にそう名乗っていたんですね。でもこの内容ならテルと正祐という名前の方が良く登場したので2人の名前に違和感を感じました。まあその名前だと分かりにくいですよね^^;
中にみすゞさんの死の前日の写真があるのですが眼差しが凛としていて美しかったです。

<新潮社 2017.3>H29.4.28読了

コンビニ人間 村田沙耶香5

コンビニ人間コンビニ人間
著者:村田 沙耶香
文藝春秋(2016-07-27)
販売元:Amazon.co.jp

36歳未婚女性、古倉恵子。大学卒業後も就職せず、コンビニのバイトは18年目。これまで彼氏なし。日々食べるのはコンビニ食、夢の中でもコンビニのレジを打ち、清潔なコンビニの風景と「いらっしゃいませ!」の掛け声が、毎日の安らかな眠りをもたらしてくれる。ある日、婚活目的の新入り男性、白羽がやってきて、そんなコンビニ的生き方は恥ずかしいと突きつけられるが…。「普通」とは何か?現代の実存を軽やかに問う衝撃作。第155回芥川賞受賞。

今更ながらようやく読みました。何となく話の内容は把握してましたが、想像していたのとは違いました。実は村田さんは初読みでした。やっぱり斜め上を行く感じですねー。村田さんは前々から気になっていたのですがいつも内容が奇抜すぎて読むのをついためらってしまって。
今回のストーリーは割と読めるかなぁと思って読みましたがやはり流石クレイジー沙耶香ですね^m^
確かに恵子は社会不適合者かもしれない。思考が他の人とは違うかもしれない。でもそれがなんだというんだろう。コンビニで働いている恵子はちゃんと社会人をしているし誰よりもよく働いてる。恋人がいないとか結婚してないとか正社員じゃないとか、だからなんだと言いたくなる。この作品に出てくる男の人がみんな憎かった。白羽も、同級生の旦那も、ころっと態度が変わった店長も。なんて女の生きにくい世の中なんだ。
白羽の義妹も言っていることはその人にとっては正論かもしれない。でもそれが正しいかどうかなんて、一生を終える時じゃないと分からない。できれば私は、その人のような考え方で生きたくないと思いました。世の中にはいろんな人がいて、いろんな考えを持っている人がいて、自分の考えとは違う人だってもちろんいて、でもそれはお互いに間違っているわけじゃないって思いたい。日本は共感社会だけど、でもそれだけになりたくないです。
だんだん恵子が追い詰められていって、無理矢理変わろうとしていた(されていた)けど、最後の恵子の言葉に救われた気がします。
私だって社会のために生きているわけではないし、世間体のために生きてるわけじゃない。周りがなんと言おうと、私が行きたいと思う道を生きたい。そう思わせてくれました。恵子はある意味幸せなのだと思います。コンビニ店員という確固たる自分を見つけたんですから。私も人間である前にこういう奴なんだって思うものを見つけたいです。読んでいて辛いところもたくさんあったけど、読んでよかったです。

<文芸春秋 2016.7>H28.12.22読了

手のひらの京 綿矢りさ5

手のひらの京手のひらの京
著者:綿矢 りさ
新潮社(2016-09-30)
販売元:Amazon.co.jp

なんて小さな都だろう。
私はここが好きだけど、いつか旅立つときが来る――。
奥沢家三姉妹の日常に彩られた、京都の春夏秋冬があざやかに息づく、綿矢版『細雪』
おっとりした長女・綾香は31歳、次第につのる結婚へのあせり。一方、子供の頃からモテて、恋愛に生きる次女・羽依は入社早々、職場で人気の上司と恋仲に。大学院で研究に没頭するリケジョの三女・凜は自ら人生を切り拓くべく、いずれ京都を出ようとひとり心に決めていた。生まれ育った土地、家族への尽きせぬ思い。かけがえのない日常に宿るしあわせ。人生に、恋に悩みながらもまっすぐ生きる三姉妹の成長と旅立ちの物語。

久しぶりの綿矢作品でした。
テレビでこの作品が紹介されていて気になって手に取りました。
綾香、羽依、凛という三姉妹がそれぞれ全く違う性格で個性的で、語り手がこの3人で順々に変わっていくんですけど、その読み心地が良いなと思いました。
中でも感情移入してしまったのはもちろん綾香で。まず図書館で働いてるのが良いですよねー。もうそれに尽きる。羨ましいです←
そして恋愛に対する考え方も分かるなーと思いました。私は結婚願望はないけど、もし付き合うなら焦っていると思われたくない、結婚を最初から意識して付き合っていると思われたくない、ゆっくり相手を分かっていくように付き合っていきたい。
付き合う前は焦っていた綾香だけど、いざ好きな人が出来ると身構えているのが凄くよく分かって。デートに行く前の服選びですんごい迷っているのとか、いそいそとお化粧をする姿とか、凄く可愛くて愛おしさを感じました。
羽依は初めは苦手だなぁと思っていました。最初に付き合った男性との件は自業自得としか言いようがないけど、でもその男性もちょっと頭おかしかったですよね←自分に自信があってプライドが高いんでしょうねーあー嫌だ嫌だ←
凛は職人肌ですね。真面目ないい子だなと思いました。凛の気持ち、凄くよく分かります。私は29歳まで実家で暮らしていて職場も実家から通えるところしか始めは考えていませんでした。でも弟と妹が家を出て、年もアラサーになってきたとき、こんな狭い視野で良いのかなと思っていました。今となってはちょっと昔の話です^^
凛も親も始めは反対していましたけど理解してくれてよかったですね。良い親御さんだなと思いました。また三姉妹も性格がバラバラなのに凄く仲が良くて羨ましかったです。
そして舞台となっている京都の雰囲気も良かったです。近々10年ぶりに京都へ母と行く予定なので^^行こうとしている場所も出てきたりして嬉しかったです。
読んでよかったです。

<新潮社 2016.9>H28.11.13読了

図書館ホスピタル 三萩せんや4

図書館ホスピタル図書館ホスピタル
著者:三萩 せんや
河出書房新社(2016-07-27)
販売元:Amazon.co.jp

元気だけがとりえの悦子が就職した、不思議な噂の立つ図書館。悩みを抱える利用者さんに、今日も「元気」を届けます。

タイトルに惹かれて読みました…が。
ストーリーはまあ面白かったんですけど…。いや、分かってるんですよ。フィクションですし、物語ですし現実じゃないことは分かってるんですけど、面接で志望動機すら言わなくて「悦子さんか、えっちゃんね」みたいな気軽な感じでよし採用ってなんだそれは!
そんな簡単に図書館に勤められるなら苦労しないんだよ!なんて思ってしまい^^;
更に悦子の元気さで結構利用者が元気づけられるパターンが多くてね…。いいんですけど、何だあありがちな感じでうーん…。すみません卑屈で。
働いている人たちの秘密については面白く読みました。
なんだかんだ言って図書館の世界は好きなので続編を期待したいです。

<河出書房新社 2016.7>H28.10.14読了

代書屋ミクラ すごろく巡礼 松崎有理4

代書屋ミクラ すごろく巡礼代書屋ミクラ すごろく巡礼
著者:松崎 有理
光文社(2016-07-15)
販売元:Amazon.co.jp

北の街にすむ学術論文執筆代行業者「代書屋」ミクラは、ひそかに想いを寄せる若い助教の研究室を訪ねる。しかし彼女は消えていた。すわ失踪、と思うもじつは、研究の詰めの調査のために南の巡礼の島・辺路島に向かったらしい。はかなげでほうっておけない、だから愛しい助教。彼女の研究はしあわせの正体を心理学的に解明すること。手がかりは助教の残した意味不明の走り書きのみ。ミクラは愛車・彗星号を質入れした旅費で辺路島へ向かった。島では優勝者がしあわせになれるという春祭り、別名・すごろく祭りがはじまる。果たしてミクラにできるのか、全島を舞台とした巨大すごろくに、人間駒となって参加して、助教を探しだすことが―しあわせになることが。

続編が出るとは…!そしてまたタイトルにとても惹かれますね!!
この方の書かれるおかしな法律が蔓延る日本らしき世界観がとても好きです。
この物語の中では「出すか出されるか法」ですね。
3年ごとに査定があり、論文を1本も書いていない者、または論文を発表していても基準に満たしていない内容のものであった場合大学から出され解雇されるというなかなか怖い法律。そのため研究者たちは研究に実を注ぎたくとも論文も書かなければならないため過酷な労働を強いられている。そんな中、研究者たちが研究に身を投じることが出来るよう、出来た仕事が論文を代わりに書く仕事。ミクラはその代書屋として生計を立てています。
前回は連作短編だったのですが、今回は長編。しかもミクラが女性を追い求めて←南の巡礼の島へ。この島自体も魅力的でしたし、お祭りも面白かったです。
すごろくの目にそって歩き、人と関わり、知識を得て上がりを目指す。
前作から3年後くらいみたいですけど、ミクラはホント鈍くさくて鈍いのは変わってないですよねー。助教のために来たとはいえ、祭りに参加していろんな方々と関わって、成長したなぁと思ったんですけど。
最後ちょっとなんだよ。ひどすぎるでしょ!鈍すぎるでしょ!ってか気づけよ!
前作で短編一つ一つで恋をして玉砕していたのに全然成長してなかったですね。そっちでは報われなさ過ぎて同情しましたが、今回は同情しないことにします。
ちょっと言い過ぎたかな(笑)
この哀れなミクラが今後どうなっていくのか気になるので次も期待しています←やっぱりひどい

<光文社 2016.7>H28.9.4読了

肉と衣のあいだに神は宿る 松井雪子5

肉と衣のあいだに神は宿る肉と衣のあいだに神は宿る
著者:松井 雪子
文藝春秋(2015-10-08)
販売元:Amazon.co.jp

山間のかつ丼の名店「情熱とん」の看板娘、美衣がめぐりあう、さまざまな男たち。三十路美女の婚活をゆるやかに描く長編小説。

新刊として出たときから気になっていて、図書館で借りたのですが1回返しちゃったんですよねー。そうしたら王様のブランチで紹介されているじゃないですか。ということで借りて読みました←
悔しい。紹介される前に読みたかった(子どもか)
以前はタイトルに惹かれていただけであらすじを知らなかったのですがとんかつ屋さんの看板娘さんの婚活の話だったんですね。タイトルに納得です。
素敵な物語でした。主人公の美衣の純粋さも素敵でしたし、美衣の事を心から愛しているお父さんにお兄さんの勝美に、姪の麗奈、そしてみちる。愛情がたくさん詰まったとんかつ屋さん。私も近くにあったら行ってみたいです。
美衣は本当に素敵な女性で私が男性だったら付き合いたいくらい←
婚活をしていった中で、またお店で働いていく中で美衣は様々な男性と出会います。
たくさんの出会いを繰り返していく中で、美衣は出会うことに疲れ、そしてただ、好きな人がいるというだけでそれだけで素晴らしい人生ではないかと感じるようにもなります。それでも美衣が婚活を続ける理由。最後に分かりますがその内容がとても気になります。家族の目を気にしないで堂々と言って行動してほしい。どうかどうか、美衣が幸せになれますように。それだけを願います。
最後の方に出てきた日向もそうですが美衣も、自分の幸せよりも人の幸せを大切にする人なんですよね。素敵ですし素晴らしいですけど、もっと自分を労わって可愛がってあげてよとも思います。
読み終えて無性にとんかつが食べたくなりました。そして、あったかくて優しい味のお味噌汁も。
素敵な作品に出会えました。

<文芸春秋 2015.10>H28.6.24読了

名古屋16話 吉川トリコ4

名古屋16話 (一般書)名古屋16話 (一般書)
著者:吉川 トリコ
ポプラ社(2015-08-17)
販売元:Amazon.co.jp

さまざまな家族や友情のかたちを描いた「名古屋16話」に加え、東海・中部の都市を舞台にした8つの物語「8の旅」、著者による地図コラムや名古屋在住のカメラマン三浦知也氏による写真も収録!名古屋在住の作家が、名古屋市の16の区を舞台に悲喜こもごもの物語を紡ぐ珠玉のショートストーリー集。

あらすじを読まずまた著者さんの新刊だということで予約していた本でした。
名古屋の各区にまつわるショートショートなんて面白い!これは地元の方は嬉しいでしょうね〜。
名古屋へは10年近く前に1度行ったことがあります。
でもあんまり覚えていなくて…熱田神宮に行ったのとひつまぶしを食べたくらいしか記憶が…。すみません。
それぞれの場所で地元トークが出てくるので分からないことがたくさんあったのですがちゃんとガイドマップと解説もありました。
そしてそのショートショートの中でリンクしている部分もあって面白かったです。
「東京23区」も読んでみたいなと思いました^^
そして札幌10区とかもできるんじゃない!?なんてことも一瞬思ったけど大したものないから無理ですね←

<ポプラ社 2015.8>H28.2.26読了

白をつなぐ まはら三桃5

白をつなぐ白をつなぐ
著者:まはら 三桃
小学館(2015-10-21)
販売元:Amazon.co.jp

オススメ!
毎年一月、広島で開催される都道府県対抗男子駅伝を舞台に描く、感動の駅伝物語。
故郷を代表し、周囲の応援と期待を背負い、中学生、高校生、大学生・社会人と、世代の違う福岡県チームの七人が、たすきをつないで走る。
選手それぞれが、悩み、葛藤しながらも走り続ける理由とは? 
そして、最後に待っていたドラマとは?

今まで箱根駅伝、そのなかの学連選抜、そして実業団…などの小説を読んできましたが、まさか都道府県対抗男子駅伝がテーマの小説が読めるとは!!!
もうそれだけで感謝ですありがとうございます←
私のブログを読んでくださっている方なら多少ご存知かと思いますが^^;
1月の中旬に毎年広島で開催される駅伝があります。
その駅伝は中学生から社会人まで幅広い年齢層でチームが組まれ、チームのため、郷里のため襷をつなぐレースです。
実業団の選手の場合は所属しているチームの本拠地で走る場合もありますが、ふるさと選手制度があり、自分の生まれ故郷でエントリーすることもできます。
この物語の主人公は福岡代表として走る選手たち。
福岡と言ったら私が1番大好きで1番応援している今井正人選手が所属しているトヨタ自動車九州の本拠地!ということがまず思い浮かびます←実際に福岡代表で走ったこともあるんですよ。
ということで読みました。
年齢も練習方法も性格も何もかもバラバラな選手たちが短期間だけ、いわば言い方は悪いですが寄せ集めチームとして戦う。というのは監督やコーチにとっても、選手たちにとっても大変なことなんだろうなと思いました。合宿から物語は始まり、1区から7区の選手たちの想いが書かれエピローグへ。もう7区の章から後半は涙が止まりませんでした。
走るってなんて素敵なことなんだろう…と何だか気持ちが昂りました^^;
特に最後の吉竹選手の章はもうもう…手に汗を握りながら読んでいました。
チームってなんて素敵なんだろう…と思います。
そして今回のテーマだった「白」
襷は赤いのにどうして「白」なんだろうと思いましたが、この作品は「白」が正しかったんですね。本当に良かった〜・・・。
来年の1月に行われる都道府県対抗男子駅伝もとても楽しみです。
中高生たちも気になりますし、なにより大学生・実業団選手枠はもうたまりません。語りたくても人数が多すぎて語れないっていうくらい^^;
来年もたくさんの物語があるんだろうな。特に中高生にとっては憧れの大学生・実業団の選手と走れたりするいわば夢の舞台ですもんね。
今井選手だったと思うんですけど中学生か高校生の時に佐藤敦之選手と一緒にこの大会に出て大きな影響を受けたとおっしゃっていました(二人は福島出身)
そして数年前、ともに実業団選手となった二人が別々の県の代表として同じ区間を走ることになって、そして奇しくも同時期にタスキリレー。2人は走る前に堅く握手していました。私はそのシーンが忘れられません。
あぁ・・・語ると長くなっちゃうので止めます。どうせ来年語るだろうし。
そんなことも色々思い出させてくれた作品でした。読んでよかったです。ありがとうございました。

<小学館 2015.10>H27.12.10読了

花野に眠る 秋葉図書館の四季 森谷明子5

花野に眠る (秋葉図書館の四季)花野に眠る (秋葉図書館の四季)
著者:森谷 明子
東京創元社(2014-11-28)
販売元:Amazon.co.jp

オススメ!
れんげ野原のまんなかにある秋葉図書館は、いつでものんびりのどか。新人司書の文子の仕事ぶりも、どうにか板についてきた。そんななか、図書館のお向かいの日向山から突然、白骨死体が…。誰が、どうして、こんなところに埋められていたのか?文子は、図書館の利用者が持ち込む、ふとした謎を解決しつつ、頼もしい先輩司書たちの助けを借りて、事件の真相究明に挑むが―。本を愛してやまない人の心をくすぐる、やさしい図書館ミステリ!

シリーズ第2弾です。この本が出ることを知って1冊目も読みました。
1冊目も面白かったけど、こちらの方が私は好きです。連作短編集になっているからですかね。全てが1つに繋がっていてそれも良かったです。
中学生の男の子が見つけたタイトルは一緒なのに違う本だと思う謎や落雁の箱に入っていた印の謎。秋葉さんの家の裏山から発見された白骨死体…
最後がなかなかヘビーですけども^^;連作短編集の上に前作ともつながりがあったりして読んでいて面白かったです。でもそれもレファレンスに繋がっていて、やっぱり図書館って良いなと思いました。
特に気になった「ある小馬裁判の記」いつも利用している図書館で在庫であったので今度借りる予定です。真相が気になります。
図書館ミステリって素敵な言葉です。また続編が出てくれたらいいな。
文子の恋愛が成就するとは思えないけど^^;そちらの展開も気になります。

〈東京創元社 2014.11〉H27.2.3読了

れんげ野原のまんなかで 森谷明子4

れんげ野原のまんなかで (ミステリ・フロンティア)れんげ野原のまんなかで (ミステリ・フロンティア)
著者:森谷 明子
東京創元社(2005-03-01)
販売元:Amazon.co.jp

秋庭市のはずれもはずれ、ススキばかりがおいしげる斜面のど真ん中にたつ秋庭市立秋葉図書館、そこが文子の仕事場だ。無類の本好きである先輩司書の能瀬や日野らと、日がな一日あくびをしながらお客さんの少ない図書館で働いている。ところがある日を境に、職員の目を盗んで閉館後の図書館に居残ろうとする少年たちが次々現われた。いったい何を狙っているのか。(第一話 霜降―花薄、光る。)?のどかな図書館を優しく彩る、季節の移り変わりとささやかな謎。『千年の黙 異本源氏物語』で第十三回鮎川哲也賞を受賞した期待の新鋭が放つ、本好き、図書館好きに捧げる受賞第一作。

ずっと気になっていた作品。でも読めていませんでした。最近続編が出たことを知り、ついに手に取りました^^も〜早く読んでいればよかった!面白かったです。
やっぱり図書館や本にまつわるお話は読んでいて楽しいです。
連作短編集になっているのですが、一つの章ごとに一つ季節が移り替わります。それも素敵です。
「第一話 霜降-花薄、光る。」小学生の男の子たちが何やら企んでいる模様。考えた計画は浅はかだけど、でも子供ながらに必死なんですよね。それは伝わりました。3人はこれから利用者になってくれそうで、それはうれしかったです。
「第二話 冬至-銀杏黄葉」文子がそこまで意気込む理由がわからずちょっと引いてました^^;別にそこまで意気込まなくていいじゃない?って思うんですけど…。可愛らしくも切ないお話でした。
「第三話 立春-雛支度」図書館に勤めていたことのある身としてはただただ鳥肌もののお話でした。こんなこと、してはいけません。それに利用者は借りていく人だけが利用者じゃないんですよ。でもこう思ってる人、いるんだろうなぁ…。
「第四話 二月尽-名残の雪」秋葉さんの家の中をのぞいてみたい。身の毛のよだつ、でも切ないお話でした。それにしても文子は不遇な恋をしてるね。でも私も身近にそういう人がいたらときめいちゃうかもなー。
「第五話 清明-れんげ、咲く」図書館の前にれんげ畑が広がっているなんて素敵です。でもこの作品が1番切なかったかな。能勢さん最後はナイスアイディア!なんだか素敵な未来が広がっていそうです。
どの章も図書館でよくある問題を取り上げつつ物語が展開していくのが面白かったです。
そろそろ続編が図書館から回ってきそうなので読むのが楽しみです。
…あぁ、やっぱり図書館で働きたいなぁ。

<東京創元社 2005.3>H27.1.20読了

しだれ桜恋心中 松浦千恵美3

しだれ桜恋心中しだれ桜恋心中
著者:松浦千恵美
早川書房(2014-10-24)
販売元:Amazon.co.jp

若手文楽人形遣いの屋島達也は、師匠・吉村松涛のもとで充実した修業の日々をおくっていた。そんなある日、達也は怪しげな魅力を持つ花魁の文楽人形「桔梗」を見つける。桔梗は『しだれ桜恋心中』という演目専用に作られた、特別な人形らしい。だが、約60年前に『しだれ桜恋心中』が上演された際、技芸員が次々と不審死を遂げていたことを知り、達也は桔梗に近づくことを恐れはじめる。一方、補助金削減問題に揺れる日本文楽協会は、『しだれ桜恋心中』を呪いの演目として興行し、観客を呼びこもうとするが…。一つの演目に込められた想いが引き起こす悲劇を描いた、第4回アガサ・クリスティー賞受賞作。

アガサ・クリスティ賞受賞作は気になって割と読んでいるのですが、今回はまー凄いですね^^;言い方が悪いですがよくこの作品が選ばれたなぁ…という…。
物語は面白かったんですよ。
でも冒頭が若者の死体が発見されたところで一緒に人形があるなんて意味深な感じから始まるからちゃんとした真相があると思うじゃないですか。そしたらミステリじゃないっていう^^;良いの?ねえ良いの?←
過去の話は達也目線で書かれていて、凄く良い子なのに死んじゃうんだと思ってしまってちゃんと読めなかったかも…。
この結末は賛否両論あるでしょうねぇ。
でも、私は嫌いじゃないです。
ただミステリかというと違うような気がしますけどね^m^

〈早川書房 2014.10〉H26.12.15読了

警視庁「女性犯罪」捜査班 警部補・原麻希  吉川英梨5

警視庁「女性犯罪」捜査班  警部補・原麻希 (宝島社文庫『日本ラブストーリー大賞』シリーズ)警視庁「女性犯罪」捜査班 警部補・原麻希 (宝島社文庫『日本ラブストーリー大賞』シリーズ)
著者:吉川 英梨
宝島社(2014-09-04)
販売元:Amazon.co.jp

一家四人惨殺事件に仕掛けられた、ミスリーディングに気付けるか! ?
初動捜査で浮かんだのは、殺されたアイドルタレントのストーカーをしていた男だった――。
「女性犯罪」捜査班に異動となった原麻希が、新たな難事件に挑む!
奥多摩の陶芸家宅で起きた、一家惨殺事件。殺されたのは十六代目繁田庄三衛門とその妻・恵美、そして双子の娘・瑠衣と芽衣だった。瑠衣は人気アイドルグループの一員で、瑠衣のストーカーによる犯行、瑠衣をねたんだ芽衣による犯行、江戸時代から続く由緒ある陶芸窯の跡取りの座を巡っての犯行と、犯人が絞り切れないまま捜査は進む。
そんななか、麻希は捜査の進行状況が、真犯人によって仕組まれた方向へと進んでいることに気づき……。真犯人によるミスリーディングに翻弄される女性犯罪捜査班。かつてないタイプの知能犯と麻希の駆け引きも見どころの、ハラマキシリーズ最新作。

前回でシリーズが終わってホッとしていたのだけど、新シリーズがスタートしたんですね。前回から4年後くらいかな?
上司の妹尾から離れて女子班に配属になったハラマキ(こういう書き方したら怒られそうだけど)相変わらず凄まじい行動力と判断力。読んでいて面白いです。
新たに配属になった夢美も麻希を信頼してついて行ってる姿に好感を持ちました。最後の言葉が非常に可愛かったです^^
事件に関しては警察同様私も犯人に振り回されましたけど、ホントひどいわ…
こういう頭脳犯を読んでいると私はいつも「模倣犯」のピースを思い出します。
緻密な計画を練り上げて完璧な犯罪を目指すのだけど、確かに人間味の部分や愚かな部分を露呈されると一気に崩れますよね。頭だけよけりゃいいってもんじゃないっていう事が分かります^^;
イライラしっぱなしでしたけど、最後はスカッとしました。女性班もみなさん素敵です。
亜矢子がだんだん本性を現しているのとかかっこよかったし、織江も上司らしくてかっこいいし。女性が男性に負けじと頑張る姿はやっぱりいいですね。特に男社会な仕事だと。
これからもこのシリーズを読んでいきたいと思います^^
にしてもハラマキさんは30代でおばあちゃんになったのね…

〈宝島社 2014.9〉H26.11.19読了

ぶらりぶらこの恋 吉川トリコ3

ぶらりぶらこの恋ぶらりぶらこの恋
著者:吉川トリコ
幻冬舎(2013-08-09)
販売元:Amazon.co.jp

死んでくれないかな。ぶらこは時々、最愛の人の寝顔を眺めながら物騒なことを考えている……。おいしいものきれいなものに目がなくて、気分に大きく左右される、宙ぶらりんのぶらこさんこと野中るり子。ピアニストとして雇われていたバーで、平岡宗介に出会った。るり子と性格は正反対の、真面目なセールスエンジニア。朝食を作っていっしょに食べること。という条件でいっしょに暮らし始めて二年。温まった布団の上で毎朝じゃれ合い、おいしいお米とぬか床から取り出した新鮮な野菜を一緒に食べていると、ぶらこは恍惚を感じる。保守的な土地・名古屋の女友達には、「このへんで手を打っといたほうがいい」と強く言われるが、結婚を申し込まれても踏ん切りがつかない。大好きなピアノが弾けて、好きな人と一緒に暮らしているだけで十分幸せ。でも、自分が開いているピアノ教室で、心ざわめく出来事が起こり……。きちんと将来をイメージできて、着実な人生を設計できる女にはなれないるり子が、葛藤しながら自分の道を探し続ける極辛恋愛小説。

吉川さんの作品が好きでちょこちょこ読んでいるのですが、この主人公に共感は全くもてなかったなぁ…面白くないわけじゃないんだけど…。こういう人は私は絶対友達になりませんし、男関係がだらけてる人は大嫌いです←
宗介との関係がとても可愛らしくてそれ以上何を望むの?としか思えませんでした。
暁生が登場してそういう事になるのかと思ったらまさかの展開に唖然…
そして最後のるり子の状況…もう何もかもが納得がいかない。
恋愛経験が少ないからそう思うんでしょうか。
それとも皆さん破廉恥な!って思うんでしょうか^^;
何だか…あまりにも宗介が不憫でなりません…
物凄く悶々とした気持ちのまま読み終えました^^;

〈幻冬舎 2013.8〉H26.11.13読了

太陽がもったいない 山崎ナオコーラ4

太陽がもったいない (単行本)太陽がもったいない (単行本)
著者:山崎 ナオコーラ
筑摩書房(2014-07-12)
販売元:Amazon.co.jp

山崎ナオコーラさん、待望のエッセイ集です。舞台は自室のベランダ。そこで起きた、愛情の暴走とは?ドラゴンフルーツ、除虫菊、バジル、朝顔、ミニトマト、ゴーヤーetc.etc.
スズメも毛虫もやってきて、まるでそこは世界のミニチュア。
震災を経て、結婚をして、生と死を見つめた日々を、魅力あふれるイラストとともにつづる、デビュー10周年企画、第一弾です。
ちょっとイジワルだったり、シビアな現実認識が示されたり。一筋縄ではいかないナオコーラ・ワールドが堪能できるエッセイ集です!

以前「泥酔懺悔」という連作エッセイ集のなかに山崎さんの作品もあって、その本を読んで山崎さんの考えって共感できるなととても感じたので、読んでみました。エッセイなら小説よりも共感できるところがあるかなと思いまして。
この作品はエッセイ集ですが主に家庭菜園の話で、なのでその部分は理解できるところが少なかったです。残念^^;いかんせん私は家庭菜園をしていないもので…
ですが、実家や祖母の家では毎年畑で野菜を作っていて、一人暮らしをするようになってからはいつも大量にもらって重宝しています。長芋、枝豆、ほうれん草、大根、人参、さやえんどう、いんげん、きゅうり、ピーマン、茄子、トマト…まだまだありますがこのくらいで^^;
家庭菜園はやったらはまると言いますが私もそうなのかなー。私、植物はいつもからしちゃうんですよねぇ…。
カミコンで買った矢車草は何とか育ちましたけど…。
家庭菜園の話は共感は出来なかったけどちょいちょい出てくる毒は結構共感できました^m^愚痴を言う友人に対して「私はこう思うんだー」という意見に対しては色々こちらも言えるけど「お母さんが言ってたから」「おばあちゃんがこういうから」って前置きで言われたら意見なんてできないですよねー。それは分かる。本当に相手は聴いてほしいんでしょうね。言いたいだけなんですよね。
山崎さんがご結婚されていたとは知りませんでした。書店員さんだけどそれがきっかけであの作品が出来たのではなく、逆だと。はい、わかりました。確かに変に勘違いされるのって嫌ですよねー。
ネット社会でも揚げ足を取るような風潮に対しても書かれていましたけど、私もそう思います。私もブログをやっていて嫌な思いをしたことがありますし…難しいですよね。言葉って難しいです。
あとがきを読んで、とても悲しくなりましたけど、でも幸せになりたいって言っちゃっていいと思います。私は幸せになりたいです。
世界が長く続いていくことを私も望んでいます。

〈筑摩書房 2014.7〉H26.7.28読了

ミドリのミ 吉川トリコ4

ミドリのミミドリのミ
著者:吉川 トリコ
講談社(2014-06-19)
販売元:Amazon.co.jp

重田ミドリ、小学3年生。住み慣れた街を離れて父・広の新しい恋人―平野源三―の家に転がりこんだ。そんな事実を受け入れられないミドリの母・貴美子。だから離婚話もなかなか進まない。でも進まない理由はそれだけではなく―。よのなかにあふれる“ふつう”からほんの少し外れたところにいるミドリたち。口に出してしまったら、何かが変わってしまう、何かが壊れてしまう、そんなおそれを抱きながら生きる彼らに訪れた、幸せの結末とは。

吉川さんの作品はなんとなく不思議な設定が多いですね。
それでもリアルでふいに胸を抉られるような感覚に陥る。
今回の家族模様も独特で。それでいてみんなの気持ちが分かるような。表現するのが難しい。
それぞれの章でミドリ、広、源三、貴美子、花世の目線で描かれています。
1番広がダメ人間だったな←
もういちいちイライラして、貴美子も源三もどうしてこんな男に惹かれたのか全く意味が分からなかった(辛辣)空気読めないしいい加減だし。
家族の話、この本は変わってるから大丈夫かなと思ったけど読んでいて辛かったなー。
私は別に変わった家庭ではなかったけど、最近家族についてよく考える。
親の期待に応えるのが良いのか自分がやりたいようにやるのがいいのか。
ミドリがお母さんの前で良い子にしてるのが健気だった。その姿をお母さんが求めてるって分かってるっていうのが可哀想でした。
母親の貴美子は余裕がない女性だと思う。でも貴美子だけが悪いわけではないと思う。あんな家庭環境で育てば自分が力を蓄えて生きていかなければって思うよね。それは凄く分かる。私も似たようなことを考えているから。ただ、夫と子供が出来たのならば譲歩も必要だと思うけど。貴美子の考えは度を超えて独りよがりになっていました。
読み終えた後にもやもや色々考えてしまいました。
でもそれがダメなんじゃなくて家族って何?って自問自答するような感じ。
自分も家族について考える機会がここ数年凄く多くて。だからなおさら読んでいて辛かったです。考えても答えなんて見つからないのにね。

〈講談社 2014.6〉H26.7.7読了

就職相談員蛇足軒の生活と意見 松崎有理5

就職相談員蛇足軒の生活と意見 (角川書店単行本)就職相談員蛇足軒の生活と意見 (角川書店単行本)
著者:松崎 有理
KADOKAWA / 角川書店(2014-05-31)
販売元:Amazon.co.jp

研究者志望のシーノは就職にあぶれ、嘘の家元にして特殊就職相談員、蛇足軒の秘書となった。やってくる妙な求職者たちに、あざやかな詭弁で次々と適職を与える蛇足軒。それを見ているうちにシーノは……!?

前回読んだ「代書屋ミクラ」が面白かったので、新刊を読みました。
いやー…面白かった…。
今回も主人公は蛸足大学の卒業生シーノ。前回の「出すか出されるか法」といい、今回の博士増員十万人計画といい、面白い法案が飛び交いますね。
その計画の世代に生まれたシーノはホラホラ属分類という更にマニアックな研究をしており、27歳女性独身。博士までとって9年も勉強してきたのに職は皆無。
そこでふらりと立ち寄った場所で見つけた一枚の貼紙。無口な人歓迎という求人広告でした。
そこでシーノは研究職の道を諦めずに探しつつ、この蛇足軒で働くことになります。
ここには特殊能力を持った人たちがやってきて家元に就職先を求めてきます。
その能力も面白いし就職先も面白い。
ゆっくりとした時間が過ぎていくような文章なのですがそれが良いです。
シーノ自身も悩み考えて少しずつ変わっていきます。
この子本当にしゃべっているんだろうかっていうくらい喋らないですが^^;
最後の最後の言葉だけ、かぎかっこがついているのがいいな。
人と人との関わりって良いなと思った作品でした。
蛸足大学自体も気になるし、松崎さんの文章がとても好きなのでこれからも読んでいきたいと思います。

〈角川書店 2014.5〉H26.6.25読了

豆の上で眠る 湊かなえ5

豆の上で眠る豆の上で眠る
著者:湊 かなえ
新潮社(2014-03-28)
販売元:Amazon.co.jp

行方不明になった姉。真偽の境界線から、逃れられない妹――。あなたの「価値観」を激しく揺さぶる、究極の謎。私だけが、間違っているの? 13年前に起こった姉の失踪事件。大学生になった今でも、妹の心には「違和感」が残り続けていた。押さえつけても亀裂から溢れ出てくる記憶。そして、訊ねられない問い――戻ってきてくれて、とてもうれしい。だけど――ねえ、お姉ちゃん。あなたは本当に、本物の、万佑子ちゃんですか? 待望の長編、刊行!

「告白」を読んで以来の湊さんです(アンソロジーを除く)テレビで紹介されているのを見て、気になって久しぶりに手に取りました。
以前この本のインタビューで湊さんが「親は子供のためなら命を懸けられるというが、姉妹ならどうだろうか」とおっしゃっていたのが印象的で。
正直、私は命は懸けられない。し、懸けたくないと思います。
続きが気になって一気読みしてしまいましたが、結末まで読んで何だかもやもやした感じです。それはストーリーがということではなくて、自分の中にある姉妹の形や過去、現在の自分と妹、親の関係をいろいろ思い出して暗くなって気持ち悪くなってきたからで^^;
最後まで読んで、本当に可愛そうだったのは結衣子だったなと思いました。
姉がいなくなり、それだけでも辛いのに、母親に利用され、利用されたことで友達を失い、危ない目にもあって。そしてそんなに協力したにもかかわらず真実を告げられずにいた13年。
子どもだから分からないとでも思っているんでしょうか。この物語の中にも書かれていましたが、おとなは子供の時に感じたことを忘れているんでしょうか。余りにも可哀想で、読んでいて辛かったです。
これから結衣子はどうなっていくのだろう。時間がかかってもすべてを受け入れて、ちゃんと自分の道を歩んでいってほしいなと思いました。

〈新潮社 2014.3〉H26.6.17読了

天使の柩 村山由佳5

天使の柩 (天使の卵)天使の柩 (天使の卵)
著者:村山 由佳
集英社(2013-11-05)
販売元:Amazon.co.jp

「世の中がどんなにきみを責めても、きみの味方をするよ」14歳の少女・茉莉(まり)が出会った20歳年上の画家――その人の名は、歩太(あゆた)。望まれない子どもとして育ち、家にも学校にも居場所がないまま、自分を愛せずにいる少女・茉莉。かつて最愛の人・春妃(はるひ)を亡くし、心に癒えない傷を抱え続けてきた歩太。公園で襲われていた猫を助けようとして偶然出会った二人は、少しずつ距離を近づけていく。歩太、そして彼の友人の夏姫(なつき)や慎一との出会いに、初めて心安らぐ居場所を手にした茉莉だったが、二人の幸福な時間はある事件によって大きく歪められ――。『天使の卵』から20年、『天使の梯子(はしご)』から10年。いま贈る、終わりにして始まりの物語。

村山さんご本人もおっしゃっていましたが、まさか歩太と夏姫が30代になるまでシリーズが続くとは思いませんでした。でもこれが本当の完結なんですね。
村山さんの作品はそれほど読んでいませんが、作風から白村山、黒村山と呼ばれているそうですね(乙一さんもですが)
この作品はもう究極の白!まぁ〜〜っしろです。
凄くできすぎた感がなくはないんですけど^^;でもこのシリーズはこれでいいんだ!このままでいさせて!と思います。
正直30代まで出す必要があるのかと思いましたが、この作品はこの作品で好きでした。
家にも学校にも居場所がなく、祖母が生きている間散々罵られて生きてきた茉莉。自分の顔を見るのが大嫌いで、自分は望まれないで生まれてきたと思ってる。たった14歳なのに、大きな陰を背負っていて、読んでいて切なかったです。夏姫が言うように、もっと14歳らしく甘えればいいのにと思いました。
茉莉が歩太やザボンを守るために取った行動は、健気だけど浅はかで、茉莉にはちゃんとした大人が傍にいて助言をしてあげないとダメだと思いました。本の知識が多く備わっていて頭のいい子だからなおさら。
だから、歩太や夏姫に出会って本当によかったと思います。
歩太も、茉莉と出会ったことで春妃とのことに関してもちょっと決別した部分があったように思うし。
にしても途中でもしかしたら歩太と春妃の間に生まれるはずだった子ってもしかしたら生きてたら茉莉と同い年!?それって凄く運命だな!と思っていたら微妙に違って肩すかし^^;まあ、そこはいいんですけど。
前作はどちらかというと夏姫の物語だったので、歩太の物語を見ることが出来てよかったと思いました。
最後の歩太のお母さんの言葉にちょっとむふふと思いつつ、でもそれはまた別の物語で、きっと読者が自由に想像していく物語になるんだろうなと思います。

〈集英社 2013.11〉H26.1.6読了

昼田とハッコウ 山崎ナオコーラ3

昼田とハッコウ昼田とハッコウ
著者:山崎 ナオコーラ
講談社(2013-09-26)
販売元:Amazon.co.jp

若者に人気の町・幸福寺にある本屋さん「アロワナ書店」。地域密着型のこの書店で、三代目・ハッコウは名ばかりの店長となった。その頃、ハッコウのいとこの昼田は、六本木ヒルズのIT企業に勤めていた。店内でぶらぶらするだけのハッコウと、店から距離をおいて会社勤めをする昼田だったが、書店の危機に際し、二人でゆっくり立ち上がる。

山崎さん、長編は初読みです。
以前何人かの女性作家さんがエッセイを書かれている本の中で山崎さんの作品を拝見して、とても共感できたので新刊を読んでみることにしました。
この本いろんなところで宣伝されていますよね。「王様のブランチ」でインタビューされているのも見ました。
その中で昼田は会社を辞めて本屋を手伝うっていう内容紹介があったんですけど、辞めるのが結構先であれ?と思ったり、東日本大震災が起きて大きな変化が起きるって書いてあるんですけど確かに変わったけどそこまで大きくないかなぁなんて思ったり。
あらすじはやっぱりざっくりだから信用しないほうが良いですね^m^
とにかく前半が長くて読むのに苦労しました。大きな展開があるわけではないので読み進むのに凄く時間がかかりました。雰囲気が良いなと思う部分はあったけど、何となく兄弟の会話が不毛だったりイライラしたりしてどういうこと?と思う部分も結構あってなかなか溶け込みませんでした。
特にハッコウが私はダメです。正直苦手なタイプです。やればできるのに努力しない人ってヤ。まあ少しずつ変わっていくのだとは思いますけども。
結構色々書いちゃっていますが^^;
良いなと思う部分もありましたし、書店は大好きなので読んでよかったと思います。
私はどんな本屋さんも好きだけど、こういう個人経営のお店はなくならないでほしいなと思いました。

〈講談社 2013.9〉H25.11.28読了

代書屋ミクラ 松崎有理5

代書屋ミクラ代書屋ミクラ
著者:松崎 有理
光文社(2013-09-19)
販売元:Amazon.co.jp

北の街・蛸足大学を卒業したミクラは、先輩に拾われて「代書屋」稼業を始めたばかりの見習いだ。その内容は、研究者のため、彼らの書く論文を代わりにまとめること。新しい依頼が舞いこむたびに、なぜか素敵な女性と出会ってしまうミクラだが、依頼者は曲者揃いで内容も厄介なものばかり。果たして、恋も仕事も成功できるのか?第1回創元SF短編賞を受賞した新鋭の、ユル〜くてほっこりした物語。心ゆるくなる連作短編集。

初読み作家さんでした。タイトルに惹かれました。
この作品の世界の中では「出すか出されるか法」が施行され、三年以内に論文を出さないと退職しなければいけないことになり、論文の代筆をする職業が成り立っています。ミクラはその仕事の駆け出し。
その仕事内容も面白かったです。論文内容がバラバラで内容を知ることだけでも面白かった。バラバラなのに書けるなんてすごいなーと思う。実際もできるものなのかな?
さだまさしさんは高校生の時に大学生の論文を書くバイトをしてたって言ってた気がするけど^m^
それにしてもミクラが不憫でしょうがない。
全部で5本の物語があるのだけど全てで素敵な女性と出会うのだけど全部玉砕しているっていう…内容も不憫すぎてよくくじけないなと思うくらい^^;
それでもミクラは最後に答えを見つけて、ちょっとは前向きになって、いつの日か彼女ができるんじゃないかなと思います。ミクラ頑張れ。

〈光文社 2013.9〉H25.11.22読了

ルビイ 女性秘匿捜査官・原麻希 吉川英梨

ルビイ 女性秘匿捜査官・原麻希 (宝島社文庫)ルビイ 女性秘匿捜査官・原麻希 (宝島社文庫)
著者:吉川 英梨
宝島社(2013-07-04)
販売元:Amazon.co.jp

警視庁・捜査一課勤務の原麻希は、娘の菜月が史上最凶の犯罪脚本家である背望会リクルーターの娘と交流を持っているのではないかという疑いを持つ。さっそくリクルーターの娘が通う私立東山小学校に向かった麻希は、平日にもかかわらず、校内に誰もいないことに気付く。忽然と姿を消した全校児童たちの行方は――!?そして、パレスチナに逃亡したはずのリクルーターがじつは国内にいることが判明し――。女性秘匿捜査官・原麻希がシリーズ最大の難事件に挑む、警察小説シリーズ、堂々の完結編!

ようやく、ようやく終わりました。
ずっともう解放してあげてと思っていて、ようやく一段落ついた感じです。
冒頭が7年後のストーリーだったので結末がわかった状態で読み始めましたが、それでも面白くて読む手が止まりませんでした。
今回の事件もリクルーターがかかわっています。
自らが手を染めず、人を取り込んで事件を起こさせる人間。
金田一少年の事件簿の高遠遙一を思い出しました。
でも彼と違うのはあそこまで人を殺すということに冷酷になれないところでしょうか。
最後にようやく終わったとは思ったけど、今まで非道に数々の事件を起こしてたくさんの人を殺してきた人間としては最後やたらと温かみがあって、納得したような腑に落ちないような…という部分もなくもなかったですけども。
それでも面白かったです。

〈宝島社 2013.7〉H25.10.8読了

五年前の忘れ物 益田ミリ4

五年前の忘れ物五年前の忘れ物
著者:益田 ミリ
講談社(2013-07-12)
販売元:Amazon.co.jp

「女の人の中に入っているとき、温度わかりますか?」友人の結婚式の帰りに、偶然再会した元上司。バーでのエロティックな会話の応酬のあと、終電を逃しタクシーに手を上げて……「五年前の忘れ物」
「結婚されているんですか?」ゴルフ練習場で出会った感じのいい男性に不意に訊かれ、恋人とうまくいっていないわたしの心は揺れる……「一羽だけの鳥かご」ほか、
「セックス日和」「デニッシュ」「とびら」など30代の女性を描く、新鮮な短篇集。

益田さんの小説は初めて読みました。
益田さんの作品は30代女性を主人公にしたエッセイを読んでいるのでその印象で行くとちょっとビックリするかもしれません^^;
私はあらすじを読んでいたので多少分かってはいましたが…。
実は結構エロいことをしゃべっていたり表現されていたりしているのにそこまで感じないのが凄いなと思いました。
出てくる女性たちの気持ちが分かるかと言ったらあんまりわかっていないかもしれないけど。年齢の問題じゃなくて、私が恋愛について分かってないから。
カマトトぶっているわけではありません。ウブなわけでは絶対ないし^^;
益田さんの作品は読んでいてリアルすぎてへこみそうになる時もあるのだけどこの作品はそんなことはなかったです。面白く読みました。

〈講談社 2013.7〉H25.9.16読了

バージンパンケーキ国分寺 雪舟えま4

バージンパンケーキ国分寺バージンパンケーキ国分寺
著者:雪舟 えま
早川書房(2013-05-10)
販売元:Amazon.co.jp

女子高生のみほは、おさななじみの男子・明日太郎が、親友の久美と付き合い始めたことに、経験したことのない想いを抱く。そんなとき、町で不思議なパンケーキ屋さんに出逢う。店主のまぶさんが魔法のように作り出すパンケーキを食べ、みほはある決意をかため…。女子高生、白髪あたまの雲の写真家、旅行中の外国人女性ふたり組、訪れたすべての人が幸せに。ここは三百種類ものパンケーキと、温かな笑顔が集う場所。「バージンパンケーキ国分寺」へようこそ。

タイトルとあらすじを読んで気になったので手に取りました。初読み作家さんです。
会話の雰囲気が最初慣れないなぁと思ったのですが、それよりもストーリーに引き込まれて途中から忘れていました。
みほと明日太郎の関係が良いなと思いました。友人以上恋人未満っていう感じかな。お互いに気になっているけどでも恋愛まではいかない。恋愛とはまた違う、お互いが気になる存在。その2人の間に入ってきた久美。誰も悪いわけではないのだけど微妙な関係になって3人がそれぞれ関係性について模索していきます。
青春ですねぇ…その言葉だけで片付けちゃいけないとは思いますが。
店主のまぶさんはつかみどころのない人だなと思ったけど、パンケーキ屋さんを始めたきっかけが素敵すぎます。でも、切ない。凄く切なかった。
陽炎子さんの占い師への道も切なかった。でも温かさも感じました。
最後の意味は何だったのでしょう。私はちゃんと理解できていなかった気がします。
よく分からないけど、別の世界でまぶさんが大好きな人と一緒にいられたら良いなと思います。

〈早川書房 2013.5〉H25.8.20読了

さきちゃんたちの夜 よしもとばなな5

さきちゃんたちの夜さきちゃんたちの夜
著者:よしもと ばなな
新潮社(2013-03-29)
販売元:Amazon.co.jp

失踪した友人を捜す早紀(さき)。祖父母秘伝の豆スープを配る咲(さき)。双子の兄を事故で亡くした崎(さき)の部屋に転がり込んだ、10歳の姪さき……。いま〈さきちゃん〉たちに訪れた小さな奇跡が、かけがえのないきらめきを放つ。きつい世の中を、前を向いて生きる女性たちに贈る、よしもとばななの5つの物語。

よしもとさんの本を読むのは久しぶりだなーと思って調べてみたら読むのは9年振りだったみたいです。びっくり。今までも読もうと思った作品は何冊もあったのですが。
この作品は以前「王様のブランチ」で紹介されていて実際にばななさんが出演されて作品についてお話しされていたのを聴いて興味を持ちました。
良かった。どの作品もやさしくて素敵な作品ばかりでした。
「スポンジ」早紀と飯岡が作家で早紀が編集者として担当していた高崎を捜しに行く話です。早紀が結婚して子供が出来て2人とは離れてしまっていたけど、3人が集まって一つの作品を作り上げる雰囲気が好きでした。最後も諸々良かった。
「鬼っ子」紗季の伯母が亡くなったと知り紗季は伯母が最期に住んでいた宮崎の一軒家に向かう。そこにはたくさんの鬼っ子たちが。そして紗季へあてられた手紙に、近所に住む黒木さんがいました。親兄弟から離れてたった一人で生きてきた伯母さん。世間知らずで人に迷惑をかけるような人ではなくて、たくさんの人に支えられ支えてきた人なんだと思ったら何だか私まで温かい気持ちになりました。
「癒しの豆スープ」祖父母が亡くなったことで毎週土日の午前中に近所に無料でふるまっていた豆スープがなくなった。そこで離婚した咲の父母が復活させようと奮闘します。1度離れてしまった夫婦が離れてから再び話をし、共同作業をしていくことでいろんなことを振り返ります。離れて分かることもたくさんあるんだろうなーなんて読んでいて思いました。それは咲が大人になったからというのもあるんだろうけど。咲が父親の新しい奥さんに逢いに行ったところが好きでした。
「天使」保育所に勤める沙季は近くに出来たビストロに通うようになり、そこに勤める鈴木さんと付き合うようになります。いきなり元奥さんに罵倒されるところから始まるので、不倫なのかと思ったらそういうわけでもなく。読んでみたら奥さんが別れたことを後悔して僻んでるのかな?なんて思ったのだけど。鈴木さんの天使論はびっくりしたけど、でも沙季が人間だと分かっても変わらず愛している姿が好きでした。
「さきちゃんたちの夜」双子の兄を失った崎とその兄の娘のさき。2人の一晩だけのおとまりがかわいかったです。私もきっといつか一人が楽で自分の生活領域に人が入ってこないでほしいって思うような気がするのだけど(あくまで予想)そう思ったときこそめんどうくさいと思うことが心地よく感じたりするのかなぁなんて思ったりしました。
ほしよりこさんの装画も素敵です。

〈新潮社 2013.3〉H25.7.21読了

エリカ 女性秘匿捜査官・原麻希 吉川英梨5

エリカ 女性秘匿捜査官・原麻希 (宝島社文庫)エリカ 女性秘匿捜査官・原麻希 (宝島社文庫)
著者:吉川 英梨
宝島社(2013-01-10)
販売元:Amazon.co.jp

警視庁捜査一課にて、史上最凶の“犯罪脚本家”である背望会リクルーターを逮捕するという使命を受けた原麻希のもとに、河川敷でリクルーターの自殺体があがったとの連絡が入る。他殺を疑い、捜査を続ける麻希。そこへ、テロ集団背望会のフォロワーを名乗る「続・背望会」から、背望会の黒幕であったアゲハの釈放を要求する脅迫メールが届く―。映像化でも話題となった、人気警察小説シリーズ最新作。

ネタバレあります

あ〜〜〜イライラする〜〜〜〜
と思いながらの読書でした。でもダメって言ってるわけではありません。
リクルーターとの闘いがもうあとちょっと、あとちょっと…っていうもどかしい部分がたくさんあったので。もう早く知りたい早く知りたい〜!!って思いながら読んでいたもので。
前作を読んでから結構経っていたので忘れかけていたのだけど、伊達警視正を何者なんだろうと訝しんで読み終えていたみたいです。しかも麻希が8人の部下を引き連れてリクルーターを追うということで終わっていたのだけど、今回アッサリその部下たちは恐れをなして逃げ出すという悲しい結末に…
でも唯一残った茶谷は多少難ありですけど良い刑事だと思いました。ちゃんと麻希についていけていたし。
伊達か茶谷が怪しいなとは思っていたんです。でも、どうつながってどう悪いのかは皆目見当つかなかったんですよね。
もう…色々絡み合いすぎていてちゃんと頭の中で整理しないと誰がどうつながっているのかわかりません…。
伊達が法務省から出向して現場主義で、でも実は元総理大臣の妾の子で苦労して…だからか一生懸命で部下のために自分の身も捧げて捜査する…でもでも実は…
っていう雰囲気が私はもう尾形さん(SP)しか想像できなくて…何だか想像してしまいました。そういえばSPでも伊達が登場したな…
色んな人の関係が垣間見えてきて、でもリクルーターは軽々と逃亡してしまって、それに旦那が加担していて、でもそれに怒っているわけではなくて…っていう最後がもうモヤモヤ…
今回で終わるのかなと思ったのだけど、終わらないですね…。
え!っていう終わり方だったけど、周りがそうさせないだろうな。
リクルーターと麻希はもう離れることが出来ないのだと思う。
それにしても茶谷の発言は面白かったな。
ハラマキさんが離婚して伊達さんになったらダテマキさんになるっていうくだり。
私も笑いました。
次当たりで解決するかなぁ…面白いんだけどモヤモヤが止まらない…。
それにもういい加減麻希を始め家族を解放させてあげたいです。

〈宝島社 2013.1〉H25.4.3読了

東京ネバーランド 吉川トリコ4

東京ネバーランド東京ネバーランド
著者:吉川 トリコ
実業之日本社(2012-07-19)
販売元:Amazon.co.jp
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波多野一人、通称ヒトリ。ふしぎな男。どうしようもなく恋しい男。五人の女性たちが出会ったひとときの夢物語。
「デリバリーサンタクロース」東大に合格した。フジロックのルーキー・ア・ゴー・ゴーで歌っていた。NYで個展を開いた。バンコクでトゥクトゥクの運転手をしていた。女をたぶらかして風俗に売り飛ばす、たちの悪い女衒をやっている――
そんな眉唾のような噂を中学生の時から纏っていたヒトリ。長いあいだ忘れられずにいた彼が、二十年近くのときを経て再び目の前に現れた。サンタクロースの姿をして……
「漂白シャネル」学生時代ずっと一緒にいて結婚すると思っていた本木と別れて以来買い物症候群に陥ってしまった奈緒。質屋にブランド物を売り食べ物にありつこうと思ったところに靴を見つけキャッシングしてしまった。また自己嫌悪に陥り帰宅するところで男性を拾った。ヒトリはいつのまにか居候するようになった。
「東京タイガーリリー」ナミは友人理亜無から何でも屋の存在を聞かされる。ナミはその何でも屋、ヒトリに誘拐してと頼む。占い師として有名になり娘そっちのけで働く母親に脅迫状を送るよう頼む。
「ウェンディ、ウエンズデイ」真知子は夫と2人の息子と暮らしている。夫を丸め込んで週に1度、脚本のカルチャーセンターに行くことにした。その時であったのがヒトリ。それ以来週に1度、真知子はヒトリと会うようになる。
「ティンカーベルは100万回死ぬ」母親が再婚した相手に連れ子としてやってきたヒトリ。タカコはヒトリと共に「ネバーランド」で働いている。ヒトリとかつてバンドをしていた今井が店にやってきて現実を突きつけられると、タカコは動揺してしまう。
「屋根裏のピーターパン」部屋の外に置かれていたものに、ヒトリは驚愕する。それを見てヒトリは途方に暮れた。でもヒトリはずっと途方に暮れていた。

以前「少女病」という本を読んでから気になっている作家さんです。
帯に女性書店員さんが読めばヒトリに惚れると書いていたけど、私はきっとこういう人は好きにはならないなぁなんて、元も子もないことを思ってしまった。
でも、どの女性にも言えることだけど、自分のこころの中に隙間があったら、そこに付け込んでスルリと入ってきたりするのかなぁなんて、ちょっと怖いことを思った。
10代にも30代にも見えるヒトリ。端正な顔立ちで歩いてるだけで周りの女性が見るんでしょうね〜。
好きだったのは最初の「デリバリーサンタクロース」かな。かつての中学生の同級生だったヒトリと鏡子。ヒトリがいた期間はとても短かったからきっと覚えていないんだろうなと思いつつ過ごす2人のクリスマス。何だか可愛かった。男性をデリバリーっていうのがなんですけど。
最後のヒトリの言葉にやられた。あれは確信犯ですよね。ずるいったら。
5人の女性たちがヒトリの事を物凄くよく言っていたけど、確かに傷を埋めてくれたのかもしれないけど、最後の「屋根裏のピーターパン」を読んでいたら何だかフツーの男の子だなと思いました。
ヒトリの役、あの人にやってほしいなぁっていうのがあるのだけど、批判があったら困るからやめておこう。映像化嫌いだって豪語してるし。でもまずふわっとした髪型にしないとね。

〈実業之日本社 2012.7〉H24.8.19読了

ご近所美術館 森福都5

ご近所美術館 (創元クライム・クラブ)ご近所美術館 (創元クライム・クラブ)
著者:森福 都
東京創元社(2012-07-27)
販売元:Amazon.co.jp
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オススメ!
平凡なサラリーマンの「ぼく」こと海老野が勤める会社の近所に、突如できた小さな美術館。居心地のよさと旨いコーヒー目当てに常連となった海老野は、引退した館長に代わってやって来た川原姉妹の姉・董子に一目惚れする。来館者から持ち込まれる不可思議な謎を解いて董子を振り向かせようと、生意気でオタクなその妹・あかねの力を借りつつ奮闘を重ねるが……。恋する一青年が、美術館専属の探偵となって活躍するほんわかミステリ連作集。
「ペンシル」小さな美術館の常連となり館長の西園寺と仲良くなったのだが体調を崩して辞めることに。代わりに雇われたのが西園寺の親戚の若い姉妹。海老野は姉董子に一目ぼれする。董子は前の職場の男性と付き合っていたがアルバイトの女の子と彼が一晩を過ごしたことで心を病み退職し、引きこもった生活をしていた。久しぶりに出かけた董子は財布を落としてしまう。数日後財布を拾った男性が届けに来たのだが、海老野の恋敵になることは間違っていなかった。
「ホワイトボード」常連客の一人に池谷妙子という女性がおり、杏奈という子供もいる。もう一人の常連客今野と一緒にいるときに池谷は女性っぽさが出てくる。しかし今は杏奈が気がかりだ。杏奈は数か月前、ある殺人事件の目撃者となっていた。
「ペイパー」美術館の向かいに建つカフェのギャルソン、伊福部が美術館にやってきた。いつも見かけていた老人を見なくなったため病気にでもなったのではないかと心配しているという。その老人に助けられたことのある伊福部はお礼を言いたいと思っていた。海老野たちがチロリさんと呼んでいたその男性は数日前にお礼を言って以来来なくなっていた。
「マーカー」船瀬という常連客には楓子という娘がいた。娘はおとなしいいい子だがよく謎を船瀬に吹っかけてくるのだという。今回も謎の文字が。船瀬は美術館で事件を解決した探偵と噂されている海老野にこの問題を持ちかける。
「ブックエンド」海老野の大学時代の後輩である実穂に久しぶりに再会した。その際に双子の片割れがいることを知り、海老野が関わったことで片割れ、詩帆と出会うことが出来た。すると2人とも別々にだが頻繁に美術館に訪れるようになった。ある日、テレビで観覧車が止まったニュースが流れ、実穂が巻き込まれていたのを知る。ニュースは詩帆も一緒に見ていた。それをきっかけに2人はパタリと美術館に来なくなってしまった。
「パレット」美術館開館1周年記念パーティをすることになった。常連客で楽しんでいる所へ董子とあかねが昔住んでいたところの近所のおばさん、寺西がずかずかと上り込んできた。パーティが盛り上がってきたところで、一つゲームをすることになった。
「スケール」あかねに彼氏ができたらしい。その男性となぜか海老野と川原姉妹が食事をした帰り、美術館前で2人の男性が倒れているのが見つかる。一人はかつての董子の婚約者の尾形。もう一人はすでにこと切れていた。男性はピッキングをして室内に侵入しようとしていたらしい。

森福都さん、初読です。お名前は拝見していましたが読むのは初めてでした。森絵都さんと名前が似てるなぁと思って・・・っていう覚え方は失礼ですよね^^;
今回タイトルに惹かれて読んでみました。
いやー面白かった。好きです私!
内容は日常ミステリ…なんでしょうか。で、ラブコメっぽい恋愛要素もあります^^;
主人公の海老野が館長である董子に惚れたことで美術館にさらに通うようになり、事件に巻き込まれていきます。
それにしてもこの海老野は真面目で一生懸命なんだろうけど若さゆえか報われない^^;
最大のライバルである南田に負けじと奮闘するもいつも玉砕している可哀相な人です。
でも、ミステリの解決は見事。なるほどな〜と思うものばかりでした。
若干無理やりというか出来すぎ…と思う作品もありましたけど、それでも幸せな気持ちになれるなら良いかなという気もします。
また似ていない姉妹がそれぞれ個性的で良いんですよね。姉、董子はとても美人ですが前の職場の恋愛によりひきこもりになり、今もやや臆病。一方の妹あかねははっきり言って太っていて同人漫画家。それなりの接客は心得ているしっかり者。
海老のんとあかねぶーの言葉の掛け合いがとても面白くてほほえましいです。
結末が何となく予想がついたけど、それでも何だか心がほっこりとして温かい気持ちで本を読み終えることが出来ました。
やっぱり東京創元社の本は面白いです。

〈東京創元社 2012.7〉H24.8.17読了

マリア 女性秘匿捜査官・原麻希 吉川英梨5

マリア 女性秘匿捜査官・原麻希 (宝島社文庫 『日本ラブストーリー』大賞シリーズ)マリア 女性秘匿捜査官・原麻希 (宝島社文庫 『日本ラブストーリー』大賞シリーズ)
著者:吉川 英梨
宝島社(2012-07-05)
販売元:Amazon.co.jp
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警視庁鑑識課に勤める原麻希は、奈良での失態を受けての謹慎中に、友人の離婚式で原田という刑事から相談を持ちかけられる。とあるアパートの一室で見つかった女性の自殺体が、他殺ではないかと言うのだ。現場に残っていたゲソ痕から、麻希は恵比寿の女子高へとたどり着く。そしてそこで、第二の事件と遭遇するが―。ついに宿敵リクルーターの素性が明らかになる!?映像化もされた人気シリーズ第3弾。

第三弾です。前作から話が続いてます。
麻希の娘菜月は反抗期?により麻希とは冷戦中。でもまあ、常に公安の目にさらされてると思ったらストレスも溜まりますよね。
宿題等に関しても勉強が出来ないわけじゃなくて母親に対する反発なんですよね。
麻希も言ってましたよね。「あなたのためを思って」正直それは子どもには負担ですよ。母親の常套句だとしか子供は思わないです。
一つの舞台となった高校の学長さん凄いですね。すべてを悟っているかのような…
いくつもの仮面をかぶっている学生の事もちゃんと分かっていて。
でも分かっていても本人が変わらなきゃ変わらないですよね。
犯人がしたことは許されることではないけど、本人だけのせいでは決してないと思う。
麻希もこの事件を通して菜月の見方も変わったようで良かったです。
少しずつ進展しているけど、次でクライマックスかな?
それにしても伊達は何者なんでしょう…。謎です。それも次回明らかになるのでしょうか。

〈宝島社 2012.7〉H24.8.11読了
自己紹介
苗坊と申します。
読書とV6を愛してやまない道産子です。47都道府県を旅行して制覇するのが人生の夢。過去記事にもコメント大歓迎です。よろしくお願いいたします。
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