苗坊の徒然日記

読書とV6をこよなく愛する苗坊が気ままに書いてます。 お気軽にどうぞ。

女性作家(あ・か行)

カフネ 阿部暁子5

カフネ
阿部暁子
講談社
2024-05-21


法務局に勤める野宮薫子は、溺愛していた弟が急死して悲嘆にくれていた。弟が遺した遺言書から弟の元恋人・小野寺せつなに会い、やがて彼女が勤める家事代行サービス会社「カフネ」の活動を手伝うことに。弟を亡くした薫子と弟の元恋人せつな。食べることを通じて、二人の距離は次第に縮まっていく。

「あの本、読みました?」で第1回大賞を獲った作品です。とマニアックな賞を言ってみましたが^^こちらの番組でずっと大絶賛されていた作品。ようやく読めました。
主人公の野宮薫子という人物は同世代だったのですが、何事にもものすごく真面目に真面目に取り組む感じが凄いと思う反面苦手で、きっと近くにいたら仲良くなれないだろうなぁと思いました^^;それはせつなに対しても同じでこちらの方がもっと無理かもしれない。でもその姿は自分を守るために纏った鎧だったんだろうなぁと思うと、薫子と同様にその鎧を取って笑顔を見たいという気持ちにもなりました。せつなが薫子に弱さを見せるシーンではこちらも泣きながら読みました。
春彦が亡くなった真相についてはミステリのような展開にはならないだろうとは思いましたけど、同僚で仲の良かった子のことに関しては最初から違和感があったんですよね。ん?合鍵?って。だから後々語られる真実にやっぱりなと思いました。春彦は本当に優しい子で、だからこそみんなを悲しませたくないと自分を押し殺して生きてきて、きっと辛かっただろうなと思います。でも、伝えていないことはあっただろうけど、お姉さんの存在はきっと心の支えだったんだろうなとも思います。だからこそ、春彦のこの先の未来が見えないのが哀しい。
薫子は薫子でちゃんと幸せになってほしい。元夫とちゃんと話して理解が出来て良かった。だれ一人取り残さない作品だったのも良かったです。
「カフネ」はポルトガル語で「愛する人の髪にそっと指を通す仕草」だそう。なんて素敵な言葉。このタイトルが最後のシーンと重なってとても良かった。2人がどんな形であれ幸せになれますように。

<講談社 2024.4>2025.2.27読了

弁当屋さんのおもてなし しあわせ宅配篇3 喜多みどり4



からりとした気候で過ごしやすい6月の北海道。『くま弁』での配達の仕事も板についてきた雪緒は、店長夫婦のユウと千春が近々結婚記念日を迎えることを知る。実は結婚式を挙げていない2人だったが、そんな彼らと仲の良い黒川が発起人となり結婚記念パーティーが開催されることに! 普段お節介を焼かれ慣れていないユウと千春は照れつつも嬉しそうな様子。するとユウから、千春を喜ばせるサプライズを考えたいと相談されて?

ユウと千春は結婚式を挙げていなかったんですね。挙げなさそう(笑)でも、黒川さんが発起人となって結婚記念パーティが行われることに。黒川さん自身が奥さんともっと思い出を作っておけばよかったと後悔しているから、お世話になっている2人にも思い出を作ってほしいと思ったのがきっかけとか、素敵な人間関係だなと思いました。本当に、みんなが幸せそうでこちらも幸せな気持ちになりました。
なのに…なのに。その後の2編の話がモヤモヤ過ぎました(笑)粕井さんが雪緒に対してそんな淡い想いを抱いているとは!甥っ子の諸々がひどすぎて引きましたよ…最後はまあ改心したというか何とかしようと思った姿は良かったですが。更に雪緒の親ですよ。もっと引いた…引いたわー。会話を聞いていて気持ち悪いと思ってしまいました。自分の意見が正しいと思って押し付けて相手の意見は聞こうともしなくて。同じ日本人なのに会話がかみ合わないってことあるよねーと思いながら読んでいました。次回作で粕井との進展などはあるのでしょうか。楽しみにしています。

<KADOKAWA 2021.10>2025.2.7読了

青い壺 有吉佐和子5

青い壺 (文春文庫)
有吉佐和子
文藝春秋
2015-08-28


第一話 青磁ひとすじに制作を続ける陶芸家の省造。ある日デパートの注文品とともに焼きあがったその壺は見る者を魅了した。
第二話 定年後、家でぼんやりする夫を持てあました妻は、世話になった副社長へのお礼にデパートで青い壺を買い、夫に持たせた。
第三話 副社長である夫の部下の女性と、甥っ子を見合いさせるため二人を自宅に呼んだ芳江は、今どきの人たちに呆然とする。
第四話 青い壺に美しく花を生けようと奮闘する芳江。孫を連れた娘の雅子が急に帰ってきて、婚家の醜い遺産争いを愚痴るのだが。
第五話 老いて目が見えなくなった母親を東京の狭いマンションに引き取った千代子。思いがけず心弾む生活だったが……。
第六話 夫婦ふたりで、戦後の焼け跡から始めたこぢんまりとしたバア。医師の石田は、「御礼」と書いた細長い荷物を置いて帰った。
第七話 息子の忘れ物としてバアのマダムが届けてくれた壺をみて、老婦人は、戦時中に外務官僚だった亡き夫との思い出がよみがえり、饒舌に語りだす。
第八話 長女が嫁ぎ、長男はアメリカに留学。姑が他界したある日、夫にレストランに誘われ……
第九話 女学校の卒業から半世紀、弓香は同級生たちと久しぶりに京都で集まる。戦争を経て子育ても終えた彼女たちは、家庭の状況も経済状態もそれぞれで。
第十話 母校だったミッションスクールの初等科に栄養士として就職した、弓香の孫娘の悠子。野菜を食べさせたいと工夫を凝らすが、ある日……。
第十一話 世話になったシスターが45年ぶりにスペインに帰郷するときいた悠子は、青磁の壺をプレゼントする。壺はついに、海をわたる!
第十二話 スペイン旅行中に急性肺炎になったという入院患者の男は、病室に飾った青い壺に触られそうになると、怒鳴るのだった。
第十三話高名な美術評論家を訪ねた陶芸家の省造。スペインで見つけた「12世紀初頭」の掘り出しものとして、青い壺を見せられたが……。

100分de名著を見て、この作品を読んでみたいと思い、手に取りました。
50年近く前に出版された作品ということですが、そこまで違和感を感じずに読むことが出来ました。家族に対する悩みなどはあまり変わっていないのだなぁと読んでいて感じました。
番組の中で紹介されたお話もあったので、聞いたことがあると思いつつ読んだ作品もありましたが、私が好きだったのは第八話と第一二話でした。どちらも青い壺はそこまで重要な形で登場しないのですが、人間模様がとても好きでした。第八話は厚子という女性目線で前話で偉そうに(笑)昔話をしていた姑が亡くなり、子供も独立して孤独を感じている女性です。ある日夫が酩酊状態で上機嫌で帰ってきて、土曜日を心待ちにしており、私は正直酔っ払ってるから若い女性と会うことを奥さんに伝えてしまったのかと思ったんです←全然違いました。ごめんなさい!とってもごめんなさい←今まで自分の親によくしてくれた奥さんへの感謝を伝える食事会で、ちゃんと言葉で伝える旦那さんが何て素敵なのだろうと思いました。奥さんは3年に1度はこうして一緒に食事をしようといい、欲がないなと1年に1度くらいにしようという旦那。素敵でした…。
第十二話は孤児として育ち、現在は病院で清掃員として働くシメという女性目線。病室に飾られている枯れかけた薔薇の花びらを集めて枕を作るのが趣味の女性で何気ない1日の話がとても優しくて温かく、こちらの心が満たされるようなお話でした。
巡り巡った青い壺は最終的に作り手の目に触れることになるのですが、その作り手の性格というか雰囲気が恐らく10数年経過していると思いますが変わっていなくて安心しました。先生が情けなくてかっこ悪いなと思いましたけど(笑)面白くて夢中で読みました。読むことが出来て良かったです。

<文藝春秋 1977.4、2011.7>2025.2.5読了

弁当屋さんのおもてなし しあわせ宅配篇2 喜多みどり4



本日も美味しい癒やしをお届けします。北のおべんとう物語、新章第2弾!
花咲き乱れる初夏の北海道・札幌。ひょんなことから『くま弁』で宅配のアルバイトを始めた雪緒は、配達先で様々な事情を抱えた客と出会うように。最初はとまどったものの、お弁当に心を込めたお品書きを添えることで雪緒なりに彼らの悩みを癒やしてきた。次第に今の仕事に充実感を覚えるようになってきたある日、突然家出した弟が訪ねてくる。しかも彼は雪緒に「次の冬も今の仕事してると思う?」と問いかけてきて……!?

雪緒視点のお話第2弾。前作で雪緒は雇用保険の申請のため、少しの間アルバイトをするつもりでくま弁で働き始めましたが、本格的に働くことになりました。
今回は雪緒の弟や、前職を退職するきっかけとなった女性も登場します。自分の人生の分岐点となった時に関わった人達が出てくるから、雪緒もこの後の人生について色々考え始めていたような気がしました。
茜は東京で頑張っているみたいで良かったし、千春と3人できゃっきゃと女子会している姿が見れて嬉しかったな^^
今回はお客様の話としては幽霊の話が面白かったです。おはぎを幽霊に渡してくださいっていう(笑)
どういうことなのだろうと思いましたが、なかなか複雑な関係性でした。それでもくま弁を通して長い間疎遠だった2人が距離感を縮めて逢えるようになったみたいで良かったです。

<KADOKAWA 2021.4>2025.1.28読了

猫弁と奇跡の子 大山淳子5

猫弁と奇跡の子
大山淳子
講談社
2024-11-19


婚約から三年かかってやっと入籍した百瀬と大福亜子。しかしまだ、結婚式を挙げられていなかった。
ある日、亜子の勤め先、ナイス結婚相談所に思わぬ客が訪れる。百瀬法律事務所の事務員、仁科七重だった。亜子にしか叶えることのできない「願い」があるらしい。百瀬は、ひなた商店街の野原鮎太の相談を受けていた。福引きで当たった一等賞の「景品」。そのせいで、夫婦の間に亀裂が走ったそうだ。
次から次へと迫り来る事件を、百瀬は乗り越えられるのか?
シーズン2、感動の完結編、いよいよ開幕!

完結編という文字を見て驚きました。この完結編というのは本当に終わりなのか、それともシーズン3がいつの日か始まるのか、分かりませんが、ついに一区切りついたんだなぁと思いました。
ずっと読み続けていますが、最初の方の内容は分からなくなってきているのですが^^;それでも亜子は本当に頑張ってきたと思いますよ…。よくめげずにここまで…。そして今回は多分1番の夫婦の危機がありましたね。百瀬は優しいから手を離すことはしない。だからこそ、亜子が譲れないものがあった。ドラマの「夏のはじまり」の破局を思い出しましたね…って私、そのドラマ見てないんですけど←まあ、あっちは実子でこっちは違うという誤差はありますけども。
最後が大団円という言葉が相応しくて、百瀬の人望の厚さが伝わってくるようでした。人望が厚いって言葉が合っているかはわかりませんが^^;
いずれにしてもようやく結婚式も挙げられて、ちゃんと夫婦になれて良かったです。こちらのシリーズを読むと、人に優しくしようって思うんですよね…。
また百瀬と亜子に逢えますように。

<講談社 2024.11>2025.1.25読了

弁当屋さんのおもてなし しあわせ宅配篇 喜多みどり4



冬の北海道・札幌。ミステリアスな美女に薦められて『くま弁』を訪れた失業中の雪緒。そこで偶然食べたお弁当の美味しさと店主夫婦の温かさに惚れ込み、雪緒は次の仕事が決まるまで宅配のアルバイトをすることに! 最初の配達先は『くま弁』を薦めてくれた女性宅。現在人前に出られない理由があると言う彼女は「自分の願いがわからなくなった」と落ち込む。その様子を見た雪緒は少しでも力になりたいと、ある考えを思いついて?

今回はくま弁で働き始めた雪緒が主人公。
雪緒が前の職場で受けたあれこれは、自分の時のことを思い出して読むのが辛かったです。
雪緒のお節介な感じは千春と同じですね(笑)前作から2,3年経っているのでしょうか。
茜ちゃんの境遇が読んでいて辛くて。今回は雪緒と茜の物語だったのかなと思います。
エンジニアだった雪緒。くま弁で働き始めて今後の自分の人生を振り返り始めました。
次作で雪緒がどうなっていくのか、とても楽しみです。

<KADOKAWA 2020.8>2024.12.24読了

弁当屋さんのおもてなし 夢に続くコロッケサンド 喜多みどり5



七月に入り、ようやく夏らしい気候になってきた北海道・札幌。晴れてユウと結婚の約束をした千春は、彼と『くま弁』で一緒に働く未来について考え始める。意を決してユウにその気持ちを伝えた千春だったが、返ってきたのは「自分の人生に巻き込みたくない」という予想外の反応で? 二人が見ている夢は同じなのかそれとも――? 日々悩みは尽きないけれど、少しだけ前に進む勇気がもらえる北のほっこりお弁当ものがたり第6弾。

前回プロポーズがあったから色々物事が進んでいくのかなぁと思いましたけど、いや、進んでいったんですけど、ゆっくりでしたね(笑)ユウはどうしてこんなに自信がないんだろうなぁ…。とっても素敵な人なのに、自分を卑下しすぎじゃない?まあ、そんなユウを千春が鼓舞して支えていくって言うのが何だかちょうど良いような気もしますけど。千春のこともそうですが、桂君も大きな変化があって、くま弁は大きく変わりそうですね。
桂君が夢中になる仕事が出来たコロッケサンドの回も良かったし、千春の上司の息子さんが希望したエビフライだけのお弁当のお話も良かった。
千春もずいぶん大きな決断をしましたね。でも、桂君もいなくなってしまうからちょうどよかったのかも。次回は大きく変わった形になるのかな。読むのが楽しみです。

<KADOKAWA 2019.11>2024.12.2読了

弁当屋さんのおもてなし まかないちらしと春待ちの君 喜多みどり5



遅めの桜が咲き始め、ようやく春が訪れた北海道。お互いの思いを再確認した千春とユウだったが、千春の帰任期限は刻一刻と迫っていた。このまま札幌で転職してユウとずっと一緒に暮らすか、それとも遠距離恋愛か。自分が本当にやりたいことは何か悩む千春に、ユウがお弁当に込めたメッセージとは? そして最終的に千春が選んだ生き方は? 北海道の旬の幸がたっぷり味わえる、ほっこりお弁当ものがたり第5弾!

前作で、もうすぐ東京に異動辞令が出る頃だというところで終わっていたので、今回は千春が人生の決断をするのかなと思っていました。千春がユウに話せずに悩んでいたけど、千春が考えている以上にユウは千春のことを考えていて羨ましくなりました。そこまで好きなら転職して札幌に住めばいいじゃんって転職を何度もしている私は思ったんですけど(笑)今まで築き上げてきたキャリアを手放すようでもったいない気がするって言うのは少しわかりました。でも、それは建前で本音は違うところにあったんですね。元々恋人と恋人の相手に裏切られて札幌に来たわけで、辞めるのが悔しいという気持ちは分かります。でもそんな理由で仕事にしがみ付くのは、ユウさんにとっては失礼と言うかなんというか。ユウさんとこれからも一緒に歩んでいくのなら、逆に辞めてしまった方が良いんじゃないかなと思いました。実際そうなりそうですし。東京で出会ったおばあさんとの会話が良かったです。おばあさんが下した決断が素敵だったし、千春にかけた言葉も良かった。そして、熊野さんと黒川さんが自分のことのように2人のことを祝福してくれているのに、こちらも胸が熱くなりました。これからの展開も楽しみです。

<KADOKAWA 2019.5>2024.11.24読了

弁当やさんのおもてなし 甘やかおせちと年越しの願い 喜多みどり4



雪深い冬の北海道。札幌市の路地裏に佇む『くま弁』では、大晦日に常連客が集まって忘年会が開催されることに。千春は会社の後輩・宇佐小夜子と一緒に参加するが、彼女は何やら大晦日に「嫌な思い出」があるという。その苦い記憶を払拭するため、ユウはとびきり特別な弁当を作ることになって? 一方、千春はユウとの将来が見えず、不安な気持ちを募らせていき……? 美味しいご飯は人の心を繋ぐ。北のお弁当ものがたり第4弾!

前回少し話題になっていた千春の異動の話、ユウにも伝わってしまいましたね…。東京に戻るまであと1年あるようですが、千春はどうするのか、気になります。
最初の太りたいと思っていた女の子に関しては千春によって目が覚めてよかったですよ。人に依存はいろんな意味でよくない。ちゃんと前を向けてよかった。
千春の後輩、宇佐の実家の話のモヤモヤはわかる気がしました。でもそうやって実家のことを考えられる、優しい人なんだなとも思いました。実家に対する考え方も少し変わったみたいでよかったです。
第5弾も読むのが楽しみです。

<KADOKAWA 2018.11>2024.11.4読了

ナチュラルボーンチキン 金原ひとみ5

ナチュラルボーンチキン
金原ひとみ
河出書房新社
2024-10-03


毎日同じ時間に出勤退勤し、同じようなご飯とサブスク動画を詰め込む「ルーティン人生」を送る、45歳一人暮らしの「兼松書房」労務課勤務・浜野文乃(はまのあやの)。ある日、上司の指示で、「捻挫で三週間の在宅勤務」を続ける編集者・平木直理(ひらきなおり)の自宅へ行くと、そこにはホストクラブの高額レシートの束や、シャンパングラスと生ハム、そして仕事用のiPadが転がっていてーー。

金原さんは初読みです。あらすじを読んで気になっていました。45歳の主人公の雰囲気が、私に近いのではないか?と思ったのだけど、結果的に全然近くなかったです^^;私は何も経験していなかった…。浜野さんがルーティン人生を送るようになるまでの過去が読んでいて辛すぎて、それと同時に気持ちが分かる部分もあるなと思いました。子どもが大嫌いなのに子供に縋ってしまった理由も。そしてどうして女性ばかりがこんなに苦しまなければならないのかと思うところも。
始めは40歳を過ぎて10年以上気になっていて好きでしたって言ってくれる人がいて自分が言う事すべてを否定せずに受け入れてくれる人がいるなんて羨ましいなんて思ってしまったんですけど^^;読んでいくうちに2人には型にはまった形ではない愛をはぐくんで、幸せになってほしいと思いました。まさかさんは10年以上前に文乃と出会ってその時から気になっていたけど、まさかさん自身もこの10年の間に色んなことを経験して、今があるんだろうなと感じて。10年以上前の2人のことも今の2人も読み終えた後とても愛おしくなりました。私もまさかさんのような人に出会いたいなと思いつつ、無理だろうなと思いました(笑)
私も割とルーティン人生が理想で、新しいことややったことがないことをするのは苦手なのだけど、ルーティンからはみ出したなにかをすると、違う自分が見えてくるのかもしれないなと勇気をもらえた気がします。著者さんがおっしゃるようにこの作品は中年版「君たちはどう生きるか」でした。

<河出書房新社 2024.10>2024.10.29読了

弁当屋さんのおもてなし ほっこり肉じゃがと母の味 喜多みどり4



北海道・札幌市の路地裏に佇む『くま弁』。願いを叶える魔法のお弁当の作り手・ユウと念願の恋人同士になった千春だが、お互い仕事が忙しく、すれ違いの毎日。久々に帰省した黒川の娘・茜からも「本当に付き合ってるの?」と突っ込まれて、千春は自信をなくしてしまう。しかも、ユウのことを気に入っている茜は『恋人に作るみたいなお弁当』をリクエストしてきて……? おいしいご飯は心を癒やす。北のお弁当ものがたり第3弾!

シリーズ第3弾。始めに登場していた黒川さんの娘さんが再登場。大人っぽいけどやっぱり子供だなと思った記憶があるけど、高校生になったら一段と大人になったような…と近所のおばちゃんのようなことを言う(笑)ユウさんのことが気になりつつも2人に借りを返すところとかしっかりしてるなと思います。何となく芸能界でも生き残っていけそう(笑)これからもきっと登場するだろうなと思って楽しみにしています。神威岬って私行ったことあったかな。
姉弟のお話はドラマの宣伝で見た記憶が(笑)こういうお話だったのか。私は三きょうだいの1番上なので、お姉さんの気持ち分かるなぁと思いました。まあ、私はきょうだいの中で1番しっかりしていないし一人だけ身を固めていないし、お姉ちゃんらしいことは何一つ出来ていないのだけど^^;
千春のお母さんの登場はインパクトがあったなぁ…っていうか大家さんゆるゆるすぎて信用できないんだけど←千春が一人で見栄を張りすぎて自爆したような感じだったけど(笑)まあそういう素を見れてお母さんもユウさんも嬉しかったんじゃないかな。うちの肉じゃがも豚肉です。親が牛肉が苦手なのもあるけど、北海道民は豚肉を使うことが多いんじゃないかなー。
最後に千春の仕事の話が出ていたけど、きっとこれから転勤の話も出てくるんだろうな。次回も楽しみです。

<KADOKAWA 2018.5>2024.10.3読了

弁当屋さんのおもてなし 海薫るホッケフライと思い出ソース 喜多みどり4



北海道・札幌市の路地裏に佇む『くま弁』。願いを叶えるお弁当の作り手・ユウの優しさに触れた千春はもっと彼に近づきたいと思いつつ、客と店員の関係から一歩を踏み出せずにいた。そんな時、悩み相談で人気の占い師がくま弁を訪れる。彼女はユウの作る「魔法のお弁当」で霊感を回復させたいらしい。思い出のお弁当を再現しようとするユウと千春だが……?あなたの食べたいものがきっと見つかる、北のお弁当ものがたり第2弾!

「海薫るホッケフライ弁当」占い師のカタリナさんが魔法のお弁当で霊感を回復させたいという願いから千春とユウさんが思い出のお弁当を再現しようとするお話。カタリナさんの若かりし頃の淡い恋が切なかった。
「雪室じゃがいもと甘口カレー」塾に通う男の子の塾弁と千春のカレーのお話。千春とユウの展開はじれったいなぁ^^;お母さんに迷惑をかけたくなくて嘘をついてしまう少年は健気でした。
「ジンギスカン騒動」読み始めただけで常連2人の恋愛は合わなそうだなぁと思いましたけど^^;それぞれのことを知るという意味では良いのかもしれないですね。
「姫竹花籠弁当」千春の高校生の時の友人このみが登場。自分が結婚して子供がいるからって友人にも押し付けるのはどうなんだろう。ユウに対しても不躾すぎて正直好きではなかったです。でも一応後押しになったのか(ユウさんはタイミングが悪かったと言っていたけど)2人は晴れて付き合うことになって良かったです。

<KADOKAWA 2017.10>2024.9.18読了

裁判官三淵嘉子の生涯 伊多波碧4

裁判官 三淵嘉子の生涯 (潮文庫)
伊多波 碧
潮出版社
2024-03-01


嘉子は、明治大学専門部女子部で学び、日本初の女性弁護士の一人となる。
世間からも注目をされていたが、戦争に突入する時代に弁護士となった嘉子は、活躍の場を得られないまま終戦を迎える。戦争で全てを失った彼女に残されたのは、かつて学んだ法律の知識だけだった。
多くの困難を乗り越え、念願の裁判官に就任した嘉子と彼女を慕う仲間たちは、苦境から抜け出せない人々を救うために、政治の力だけでは解決できない問題に向き合っていく。

朝ドラのモデルとなっている三淵嘉子さんのお話を読みました。
こちらのくくりは小説なのでしょうか。伝記の方が近いのでしょうか。
史実を記録のように書かれている印象だったので伝記に近いんですかね。
三淵さんと言う方は、家庭環境に恵まれていたことはあると思いますが、それでも自分の血の滲むような努力で弁護士となり、そして女性初の裁判官になる熱意が本当に素晴らしかったです。
男女差別はおかしいと、あえて女性を認めていないところへ向かうのが本当に、強い女性だなと思いました。嘉子の伴侶となった2人の男性もそれぞれ素敵で、気の強そうな(笑)嘉子を丸ごと包んでいるような感じが素敵でした。三淵さんの生涯を知ることが出来て良かったです。

<潮出版社 2024.3>2024.8.22読了

弁当屋さんのおもてなし ほかほかごはんと北海鮭かま 喜多みどり4



「あなたの食べたいもの、なんでもお作りします」恋人に二股をかけられ、傷心状態のまま北海道・札幌市へ転勤したOLの千春。仕事帰りに彼女はふと、路地裏にひっそり佇む『くま弁』へ立ち寄る。そこで内なる願いを叶える「魔法のお弁当」の作り手・ユウと出会った千春は、凍った心が解けていくのを感じて――?おせっかい焼きの店員さんが、本当に食べたいものを教えてくれる。おなかも心もいっぱいな、北のお弁当ものがたり!

以前北海道ローカルでドラマ化されていて、気になったので読んでみました。
札幌が舞台ということでちょこちょこ出てくる聞き慣れた駅名にニヤニヤしながら読んでいました^^
出てくるお弁当はとても美味しそうで、4話からなる連作短編でしたけどどのお話も好きでした。
ただ、お弁当屋さんの常連とはいってもこんなにお弁当屋さんで起きる諸々に遭遇するだろうかとか変に冷静になってしまってちょっともったいなかったです(笑)
千春に対しての最初の行動とか、イチお弁当屋さんがそこまでしてくれるかなぁとか。なんて言ってたら物語は進まないんですけど(笑)それでもやっぱり千春というよりはユウの人柄が素敵で読み進めて言った気がします^m^もう一人の常連の黒川さんも素敵な面白い人だし、これからどんな展開になるのか楽しみです。と言っても最新刊のあらすじを読んでしまって盛大なネタバレを浴びてしまったんですけど^^;
ところで、こちらのお弁当屋さんは豊水すすきの駅の最寄りなんですね。ドラマではそのお弁当屋さんは反対側の桑園駅近くにありましたけど(笑)住んでいた場所にめちゃくちゃ近いところで撮影していたので驚いた記憶が。近くでドラマロケしますっていうチラシも入っていたんですよね。まあ、もちろん撮影しているところには遭遇できませんでしたけど。

<KADOKAWA 2017.5>2024.7.11読了

わたしの幸せな結婚 八 顎木あくみ5



清霞の過去と、美世と清霞の新たな生活の物語。珠玉の短編集
五道佳斗の父に対異特務小隊に誘われていた学生時代の清霞。夢と任務の狭間で起きた事件とは……軍人として生きる清霞の原点と「土蜘蛛」との因縁が明らかに。さらに美世と清霞の新婚生活をえがいた短編を収録。

幸せな結婚式を終えてもまだ新刊が出るのか!?と思ったら短編集だったんですね。それにしても最初の話以外は一の頃の原形をとどめていないくらいの甘々な2人に叫びそうになりながら読みましたよね←
「霖雨がやむとき」は清霞が軍人になる決意をしたときのお話。佳斗との関係も分かりましたけど、殺したいほど憎んでいた清霞に今はべったりでまとわりついているから途中何があった…?って驚きましたよね(笑)最後のお話で当時が若気の至りだと思っていることが分かりましたけども。
そしてそれ以外はほぼ清霞と美世の日常のお話で甘すぎてこんなに甘くて良いのか!?と何だか違うドキドキも入り混じりながら読みました←
まあ、色々ありましたけど、幸せになって良かったです。もうこれで見納めかな。

<KADOKAWA 2024.3>2024.5.27読了

大人のための残酷童話 倉橋由美子4

大人のための残酷童話 (新潮文庫)
由美子, 倉橋
新潮社
1998-07-29


嵐の夜の海で遭難した王子を助けた人魚姫(倉橋童話の人魚姫は上半身が魚、下半身が人間)。魔女に頼んで上半身も美しい女に変えて貰い、王子と再会。けれども王子が別な女との結婚を決めた時、人魚姫が再び魔女に願った無邪気で残酷な望みとは。
世界中の名作童話を縦横無尽にアレンジ、物語の背後に潜む人間の邪悪な意思や淫猥な欲望を露骨に焙り出す。著者一流の毒に満ちた作品集。

桜庭一樹さんが倉橋由美子さんについて書かれた本を出されたということで、その本を読むには倉橋さんの作品を読んでいないとだめだろうと思い読んでみました←初読み作家さんです。
世界中の名作がアレンジされていますが、なかなかなものが多かったですね^^;物語の最後に書かれている教訓がなおのことブラックです。
最後の方にあった「魔法の豆の木」はジャックと豆の木が基になっていますが子供の末路があまりにも不憫でこれは完全に大人向けだなと思いました^^;元ネタを知らない作品もいくつかあったので、読んでみたいと思いました。倉橋作品を他にも読んでみたいです。

<新潮社 1984.4、1998.7>2024.4.30読了

猫弁と狼少女 大山淳子5

猫弁と狼少女
大山 淳子
講談社
2023-09-22


冴えない容貌、天才的な頭脳……自分のことは後回しで人の幸せを第一に考える稀代のお人好し弁護士、百瀬太郎。
婚約者である大福亜子と同居中で、幸せをかみしめている。
猫がらみの脅迫事件の依頼を受けて調査中、未成年者略取の疑いをかけられて留置場に!
当番弁護士の、「透明人間」こと沢村透明以外との面会を断り、事件については黙秘を貫く百瀬。
警察から連絡ももらえず蚊帳の外に置かれた亜子は、百瀬を信じ切れるのか。
振り切った亜子がとった行動とは。
沢村透明のもとに武者修行に出ていた縁から一緒に百瀬のために奔走する直は、そのなかで自らの進む道を見つける。
七重と野呂は相変わらずの賑やかさで百瀬を信じ、支え、事務所を守っている。

猫弁シリーズです。一体何冊目になったんでしょうか。長いシリーズになりましたね。
百瀬と亜子は婚約者のままだけど一緒に住むようになりました。2人ともとても幸せそうで、読んでいるこちらも優しい気持ちになります。それにしても今回は百瀬が未成年者略取の疑いで逮捕されて一筋縄ではいかない展開になりました。どうなるんだろうと読んでいる方がドキドキしましたが、百瀬は相変わらずで。どこまで優しいまっすぐな人なんだろうと思いました。
そして1か月間実家に帰っていると思っていた亜子は2人の住む家にずっと独りで待っていて。婚約は解消しましょうと言われると思っていたところの亜子の言葉にこちらも泣きそうになりました。そして亜子のお父さんの言葉もとても素敵。百瀬は周りに恵まれましたね。本人の人徳だと思いますが。本当に2人には幸せになってほしいと心から思います。

<講談社 2023.9>2024.1.22読了

わたしの幸せな結婚 七 顎木あくみ5

わたしの幸せな結婚 七 (富士見L文庫)
顎木 あくみ
KADOKAWA
2023-07-14


美世と清霞、ついに祝言――
様々な困難を乗り越えて、ついに迎えた祝言の日。
美世は朝から気が気ではなかった。
前日に緊急の呼び出しがあり仕事に向かった清霞が、婚礼のはじまる時刻が近づいても帰ってこないのだ。
花嫁衣装に身を包み、「誰よりも私が、明日を心待ちにしている」という清霞の言葉を信じて待つ美世。
けれどその裏では、五道と深い因縁のある強力な異形の影が動いていた。
少女があいされて幸せになるまでの物語は、婚礼を迎え、幸せな「家族」の物語へ――。

清霞が無事に婚礼に間に合うのかと、2人の展開が歯痒すぎて叫びそうになったわ!!!←
色々と問題はありましたけど、前作までの敵が強敵だあったからきっと大丈夫だろうなと思っていました←まあ、間に合うかどうかはハラハラしましたけど…
自分だけが可哀想って思っている人は自分がやっていたことがすべて正当化されるから怖いですね。
とにかく美世と清霞のもどかしい恋模様にドキドキして仕方がなかったです。
ようやく夫婦になってこれで大団円なのかと思ったら続くんですね!夫婦となった二人がどんなやりとりをしていくのか楽しみです。

<KADOKAWA 2023.7>2023.10.27読了

よろず占い処 陰陽屋きつね夜話 天野頌子5



母の悪行に耐えかね、国立の実家を出た若き日の祥明。生活に困窮していた彼に手を差し伸べたのは、クラブドルチェのNo.1ホスト・雅人だった。祥明は試行錯誤を重ね、やがて占い師ホストとして大人気に。その最中、悲劇は起こった――。「ピンドン事件」の真相が、ついに明かされる!
柊一郎と篠田の友情に、三井の初恋。そして恒晴が瞬太に向ける知られざる想い…。陰陽屋の愉快な仲間たちが勢揃いで贈る、とっておきのスピンオフ!

本編が終わっているので新刊?と思ったらスピンオフだったんですね。
瞬太と祥明、そしてその周りの人たちのことが書かれています。そんなことあったなぁ…とか、そんなひどい目に遭っていたのか…とか思い出したりびっくりしたり(笑)
「ピンドン事件」なんて名前が付いていたんですね。祥明本当にお疲れ様です…あんな母親なら逃げちゃいますよね…逃げ切れたわけではないけど一緒に暮らしたくはないな…^^;
みんなのあれこれが分かって懐かしかったです。
まだ気になる人達が何人かいるのでまたスピンオフが出てくれるのを待っています^^

<ポプラ社 2023.4>2023.7.6読了

あやかし図書館で待ってます 新入り司書と不思議な仲間たち 安東あや4



司書の仕事を探す結衣は、豪邸の書庫の求人を見つける。だがその仕事は、あやかしのための図書館の仕事だった。適性があったため採用されるが、結衣は躊躇う。しかし昔出会ったあやかしの少年ナギのことを思い出し、結衣は思い切って働くことを決意する。
さまざまな理由で本を探しに来るあやかしたちのために、オーナーの宗司や番犬の風花とともに、新入り司書として奮闘する結衣。いつかナギと再会することを夢見ながら。
本を通じて繋がるあやかしと人との優しく切ない物語。

転職をした上に引っ越しをして通勤時間がほぼ無くなったため、読む時間をどこに取ったら良いのだろう…と、思っていたら全然本を読めなくて若干禁断症状に落ちかけていました(笑)
久しぶりに1冊読み終えて満足です。これからはちょっとでも時間を見つけて本を読んでいきたいです。
余談はさておいて、こちらの作品は図書館が舞台の本なので気になっていました。
図書館と言っても個人所蔵の私設図書館でしかも利用者はあやかしたち。ファンタジー要素はありましたが面白かったです。
あとがきに書かれていますが著者さんは元司書の方だそうで。
図書館に関する諸々が散りばめられていてそこも楽しめました。
様々な想いをもってやってくるあやかしたち。そのあやかしたちと真摯に向き合って司書業務を行う結衣。ここの司書係に向いていたんでしょうね。
面白かったのですが念願だったシーン手前で終わってしまったような感じだったのがもどかしかったです^^;そして前任の司書さんのことも分からずじまいだったのでそれも気になりました。
続編は出ていないようですね。想像にお任せしますという感じなのでしょうか。

<KADOKAWA 2018.4>2023.4.12読了

鎌倉駅徒歩8分、空室あり 越智月子5



男手一つで育ててくれた父が死んで、鎌倉のカフェを引き継いだ香良。ある日離婚した親友が押しかけてきて、いつの間にかシェアハウスをはじめることに! 次々やって来る入居者たちは、みんなちょっとワケあり。慣れない他人との共同生活に、イラっとしたり文句を言ったりもするけれど……。家族だから言えない、家族だから甘えられない。そんなひとりぼっちになった住人たちが見つけた新しい形のきずなに、あたたかい気持ちになる1冊。

読んでいる間もコーヒーのいい香りが漂ってくるような作品でした。カレーもどれも美味しそう。
一人でひっそりカフェを営みながら暮らしていた香良。突然離婚した親友三樹子がやってきてシェアハウスにしようと言い出す。押し負けてシェアハウスをすることに決めたとたんに入居希望の人がやってくる。50代の里子、30代のあゆみ、70代の千恵子と年齢はバラバラ。多少ぶつかり合いながらも楽しそうに暮らしているこのシェアハウスで私も暮らしたいなーと思いながら読んでいました。
誰もがちょっと訳ありで、でも他人だからこそ話せることもあるし、慰めあうこともできる。でもベタベタしているわけでもなくてちょうどいい距離感が素敵だなと思いました。
そして出てくる料理が本当に美味しそう。日々の暮らしを丁寧に生きたいと思いました。
香良が小さい頃からずっと気になっていた母のこともちゃんと最後に理解出来て良かったです。
余談ですが、最近鎌倉へ行き、鏑木清方美術館に行ったのでその場所がお話の中に出てきてとても嬉しかったです。その場所を思い浮かべながら読みました。

<幻冬舎 2022.12>2023.3.16読了

犬小屋アットホーム! 大山淳子5

犬小屋アットホーム!
大山 淳子
U-NEXT
2022-11-04


「必ずパートナーをつくること」唯一それだけが入居の条件である、一風変わった老人ホーム・ニーシャシャン。
マダムと呼ばれる女性と横須賀という名の支配人が運営するそこには、元ヤクザや余命わずかの男、詐欺を働いてきた女など曲者ばかりが集まり、それぞれとペアになる犬たちも保健所から救われた犬や盲導犬になれなかった子など経緯は様々。
居場所を求める犬と人が支え合い暮らす様に、読んで幸せな気持ちになるストーリー。

迷える人や犬たちが穏やかに暮らしていける場所ニーシャシャン。変わった名前だなと思ったら、犬小屋という意味だったんですね。
最初に登場した元暴力団の男の人の境遇は、切なくてたまらなかったけど、それでも最後にこの場にいることが出来て良かったと思いました。
勤務している若い人のお話も良かった。違う世界を見て知ることってたくさんありますよね。
そして死神と呼ばれている横須賀の境遇も辛かったけど、それでもみんながここで穏やかに暮らせていて本当に良かったです。こんな住まいが近くにあればいいのにな。私も老後に犬と一緒に暮らしたいです(笑)

<U-NEXT 2022.11>2023.3.8読了

烏の緑羽 阿部智里5

烏の緑羽 八咫烏シリーズ (文春e-book)
阿部 智里
文藝春秋
2022-10-07


「なぜ、私の配下になった?」 生まれながらに山内を守ることを宿命づけられた皇子。葛藤と成長、彼らのその先には−。奈月彦の兄・長束と、長束の近衛・路近の物語。

衝撃的だった前作「追憶の烏」から山内は一体どうなってしまうのかと気になっていました。読むのが怖かったですが…今回はスピンオフのような感じでしょうか…前作から少しだけ進んだような感じでしたね。でもきっとここで登場した人たちがキーマンになっていくような気もします。
今回は大体が路近と翠の話だったので驚きました。翠寛…雪哉と争った…?覚えておらぬ…。そして清賢が素晴らしい人でしたね…仙人のよう。こちらのシリーズはサブキャラという人はいないんですよね…。一人一人の物語を丁寧に描いている気がします。翠寛の境遇が可哀想すぎて読んでいて辛かったです。それでもしがみついてもがいて闘って生き延びていく姿は素晴らしかった。軽い言葉になってしまうけどかっこよかったです。そして路近…あれ、こんなサイコパスな人でしたっけ…。路近がサイコパスなのは認めるけど多分家族みんなトチ狂ってると思うな…←
今回も大体辛かったですけど^^;長束の教育は可愛らしかったですね(笑)なんだあれは。完全にはじめてのおつかいじゃないか(笑)拍子抜けしちゃいましたよ。
でもその後に唐突にやってくる悲劇。そうだ…奈月彦は妹によって殺められたんだった…ということは長束にとっても妹なわけで…辛いな…
そしてわずか8歳ですべてを背負おうとした少女紫苑の宮。紫苑の宮は唯一の光。みんなが命を懸けてこの光を守ろうと決意したことが伝わってきて涙が出そうでした。
物語の最後は6年後。これから山内はどうなっていくのか、怖いけどしっかりと見届けようと思います。
…それにしても。「烏に単は似合わない」の装丁が綺麗だなぁと思って読み始めてから物語と世界がこんなに壮大になるとは思いもしていなかったな…

<文藝春秋 2022.10>2023.1.5読了

ライオンのおやつ 小川糸5

ライオンのおやつ
糸, 小川
ポプラ社
2019-10-09


人生の最後に食べたいおやつは何ですか――
若くして余命を告げられた主人公の雫は、瀬戸内の島のホスピスで残りの日々を過ごすことを決め、穏やかな景色のなか、本当にしたかったことを考える。
ホスピスでは、毎週日曜日、入居者がリクエストできる「おやつの時間」があるのだが、雫はなかなか選べずにいた。
――食べて、生きて、この世から旅立つ。
すべての人にいつか訪れることをあたたかく描き出す、今が愛おしくなる物語。

以前「グレーテルのかまど」で「ライオンのおやつのミルクレープ」が取り上げられていて、原作がとても気になっていました。ようやく読めました。
雫がこのホスピスで過ごした時間は約1ヶ月。でもその間雫はとても幸せそうでした。
病と闘って抗って頑張って、そして闘うことを止めてたどり着いた終の棲家。
マドンナがとても素敵な方です。自分が考えていることをちゃんと理解して包み込んでくれているよう。
雫がちゃんと家族に会えてよかった。お父さんと妹に逢えてよかったです。
そして、雫がいなくなった後の物語もとても好き。お父さんも早苗さんも雫を大事に大事に想っていることが分かって切なくなりました。梢もいい子でした。2人の子供なんだから、そうですよね。そして雫の妹なのだから。
タヒチ君もまっすぐで素敵な人でした。雫が病気じゃなかったら…とも思うけど、病気にならなかったら逢えなかった人。だから、逢えてよかったのだと私は思いたいです。
人生の最後に食べたいおやつ…私だったら何だろう。
おばあちゃんが作ってくれたおはぎかおやきかな。

<ポプラ社 2019.10>2022.12.27読了

金環日蝕 阿部暁子5

金環日蝕
阿部 暁子
東京創元社
2022-10-31


知人の老女がひったくりに遭う瞬間を目にした大学生の春風は、その場に居合わせた高校生の錬とともに咄嗟に犯人を追ったが、間一髪で取り逃がす。犯人の落とし物に心当たりがあった春風は、ひとりで犯人捜しをしようとするが、錬に押し切られて二日間だけの探偵コンビを組むことに。かくして大学で犯人の正体を突き止め、ここですべては終わるはずだったが――。

ツイッターをフォローさせていただいている出版社の方や作家さんがオススメしていた作品。初読み作家さんです。いやー面白かった!
あらすじを読んで読み始めましたがまさかこんな展開になるとは思わなかった…。
大学生と高校生がやることじゃないでしょ…どんだけ頭が良いのこの人たちは。
舞台が札幌なので出てくるところが頭に浮かぶのも嬉しかったです。
春風は北大生だし、母親が勤めているのは北洋銀行だしひったくりに遭遇したのは札幌ドームの近くの清田区だし(笑)
テーマは詐欺で、割と不自由なく育ったのかと思っていた春風と錬はそれぞれに抱えているものがあって、それが紐解かれながら一連の騒動に繋がっていく。いやー見事でした。人の繋がり、全然気づかなかったなー。
錬の家族もとても素敵。お母さんも、陽と翠もお兄ちゃんが大好きで純粋で、そして賢い。
皆が心安らかに、幸せに暮らしていくことを願い、読み終えました。

<東京創元社 2022.10>2022.12.12読了

深夜0時の司書見習い 近江泉美5



不思議な図書館で綴られる、本と人の絆を繋ぐビブリオファンタジー。
高校生の美原アンが夏休みにホームステイすることになったのは、札幌の郊外に佇む私設図書館、通称「図書屋敷」。不愛想な館主・セージに告げられたルールを破り、アンは真夜中の図書館に迷い込んでしまう。そこは荒廃した裏の世界――“物語の幻影”が彷徨する「図書迷宮」だった!
迷宮の司書を務めることになったアンは「図書館の本を多くの人間に読ませ、迷宮を復興する」よう命じられて……!?
美しい自然に囲まれた古屋敷で、自信のない少女の“物語”が色づき始める――。

タイトルに惹かれて手に取りました。
でも、何となく考えていた物語とはちょっと違いましたね。それが悪いというわけではなくて想像以上にSFで、スペクタクル!って言葉が正しいような物語でした。
主人公のアンは父親のマイペースに巻き込まれ、逢ったこともない人の家に2週間ホームステイをすることに。いやーヒドイ父親だわーありえないわーと思ったけど後々まあわかることもあるわけなのですが。
アンが巻き込まれた諸々は根底は父親の若気の至りから来たものだったのかもしれないけど、ワガハイはそれを理由にしてセージを助けてほしかったんだよね。アンが真剣に図書迷宮と向き合って闘ってくれる人で良かった。
もみじ君がどうしてアンにこんなに優しくしてくれるんだろうと思っていたのだけど、なるほどそういうことだったのですね。
セージももみじ君も強い人。優しくて強い人。
この2人のこともあったけど、アンの物語もあったのですね。本がメインだと思っていたけどこんなにSNSにまみれる展開になるとは思わなかったよ。怖かった…。情報って怖い。
アンはこれからどうするのかな…。セージも…と気になるところで終わって余韻がひどいです(笑)

<KADOKAWA 2022.4>2022.12.6読了

掌に眠る舞台 小川洋子5

掌に眠る舞台
小川 洋子
集英社
2022-09-05


「だって人は誰でも、失敗をする生きものですものね。だから役者さんには身代わりが必要なの。私みたいな」
交通事故の保険金で帝国劇場の『レ・ミゼラブル』全公演に通い始めた私が出会った、劇場に暮らす「失敗係」の彼女。
金属加工工場の片隅、工具箱の上でペンチやスパナたちが演じるバレエ『ラ・シルフィード』。
お金持ちの老人が自分のためだけに屋敷の奥に建てた小さな劇場で、装飾用の役者として生活することになった私。
演じること、観ること、観られること。ステージの此方と彼方で生まれる特別な関係性を描き出す、極上の短編集。

舞台がテーマの短編集。小川さんの独特の世界観が舞台の儚さと合っていてたまりませんでした。
どのお話も夢か現か読み進めていけばいくほどわからなくなります。
でもそれが心地よくて、余韻に浸れます。
本当に舞台を観た後のような余韻。
「ラ・シルフィールド」も「ガラスの動物園」も物語を知らなかったのでまずは読んでみたいです。
そして印象的だったのは花柄さん。花柄さんは、幸せだったのかな…幸せだったならいいな。

<集英社 2022.9>2022.12.5読了

わたしの幸せな結婚 六 顎木あくみ5

わたしの幸せな結婚 六 (富士見L文庫)
顎木 あくみ
KADOKAWA
2022-07-15


身に覚えのない罪で投獄された清霞。
彼と離ればなれになった美世は、清霞を助けるために一人で軍本部へと向かう。
しかし目的地に着いたその時、彼女の袖を引く者がいた。
振り返った美世が見たのは、清霞そっくりの美少年。彼は清霞の式だという。
式に強引に連れ帰られた美世は、薄刃の家で態勢を調えて出直すことを決める。
すべては清霞と再会するため、美世は自力で道を切り開いていく。
そして迎えた甘水との決戦は――。
これは、少女があいされて幸せになるまでの物語。

甘水との最終決戦でしたね。清霞は捕らえられるし、新は甘水側についてしまったし、勝ち目はないかと思っていたけど、結果からみると大きな壁の張りぼてみたいな感じだったのかなと思いました。憎悪だけでは何も生まれないし生み出すことも出来ないんだなと思いました。最初の時からは嘘のように美世は強くなりましたね。素敵でした。
式に対しては私もそうだろうな…と思っていたので、おいおい…とツッコミどころが満載でしたが(笑)みんな美世が分かってないってわかっているからか微笑ましく見守っている気がして、それもまた信頼の証なのかな…と思いました^m^
2人が求めていた平穏な暮らしが戻ってきて本当に良かった。
闘いが終わったから勝手に今回が最終巻かと思ってたんですけど(笑)あとがきを読んで続くの!?って思いましたよね。確かにタイトル回収していない。
次巻は幸せに満ち足りているようなので楽しみにしています。
映画はどこまでやるんだろうな…

<KADOKAWA 2022.7>2022.10.10読了

たとえば、葡萄 大島真寿美

たとえば、葡萄
大島 真寿美
小学館
2022-09-16


まったく先の見えない状態で会社を辞めてしまった美月(28歳)。転がり込んだのは母の昔からの友人・市子(56歳)の家。昔なじみの個性の強い大人達に囲まれ、一緒に過ごすうち、真っ暗闇の絶望の中にいた美月は徐々に上を向く。
誰の心にも存在する将来への恐れや不安、葛藤……。自分と格闘する美月を周囲の大人達は優しく見守る。さりげなく、自然に、寄り添うように。
何度も心が折れそうになりながらも、やがて美月はひょんな出会いから、自分自身の夢と希望を見つけていく……。

辞めてから何をするか決めていないのに仕事を辞めた美月。ハローワークに通う日々を過ごすも新型コロナの猛威に外出自体がままならぬ状態に。美月が仕事を辞めてしまった理由。分かるなー…。いい会社に勤めていたのに…と言われても、ままならないことってありますよね。良い会社だからこそ自分が浮いてるなってわかったりとか。だから、美月の選択は間違ってなかったと思います。ゆるゆると過ごす時間も、きっと必要だったんですよね。
それにしても山梨での暮らしは素敵だったな…。本当に美味しいブドウジュースはりんごの味がするって気になる。飲んでみたいな…。
こちらの作品は続編でもあったんですね…。作品の最後に姉妹作があると知りちょっとショックを受けました^^;ただ、完全に続きというわけではなく市子たちがもう少し若い頃の物語のようでそれはそれで読みたくなりました。今度読もう。

<小学館 2022.9>2022.10.6読了

よろず占い処 陰陽屋桜舞う 天野頌子5



沢崎瞬太、高校3年の冬、補習を受けに学校に向かう途中に眠り込んでしまい、とうとう卒業が絶望的に。高坂が先生に全力でかけあうが……。
また、祥明や春記たちは、恒晴をおびき出して、瞬太の実の父親である燐太郎の死の真相を聞きだす作戦を立て、実行。はたしてうまくいくか。
ずっとあたためていた三井の恋は実るのか。
瞬太や陰陽屋の今後、みんなの進路は?
読みどころ満載すぎる、人気シリーズ感動の完結巻!

終わっちゃいましたねー。読み始めたときはまさか14巻も出るとは思いませんでしたよね!最初は瞬太は中学生でしたが最終巻は高校卒業ですよ…3年しか経ってない!(そこ?)実際は15〜6年ですかね。
最終巻まで瞬太は皆と一緒に高校を卒業できるのかハラハラしっぱなしでしたねー。キツネだから寝ちゃうのはしょうがないって言ってもそれは通用しないわけですし^m^中退ならそれで仕方がないって諦めモードになってるのはちょっとイラっとしましたけども←まあみんな何とかなって良かったです。瞬太の父親の真相も明らかになりましたね。ちょっと切ない。
終盤は完全に完結モードで登場人物が勢ぞろいみたいな感じになって、14巻でこんなに登場人物が増えたんだなーってしみじみしちゃいましたよね。
瞬太も未来のことをちゃんと考えるようになってなにより。
読んでいるこちらも楽しかったです。お疲れさまでした。

<ポプラ社 2022.4>2022.9.25読了

猫弁と幽霊屋敷 大山淳子5

猫弁と幽霊屋敷
大山 淳子
講談社
2022-05-25


累計40万部突破、大人気「猫弁」シリーズ!
冴えない容貌、天才的な頭脳……自分のことは後回しで人の幸せを第一に考える稀代のお人好し弁護士、百瀬太郎。婚約者である大福亜子ととうとう同居を開始したものの、忙しさからすれ違いに拍車がかかって……。
相続した家を持て余す男性恐怖症の千住澄世、その代理人として奔走する百瀬は毎日目の回るような忙しさ。そんな中、亜子がホテルのラウンジで別の男性とお見合い……!?
そして世にも珍しい「ペットホテル立てこもり事件」まで勃発!
悲しい過去がある人も、今までうまくいかなかった人も、新しいことにチャレンジしている人も……登場人物それぞれが幸せの扉を開けて未来への一歩を踏み出す物語。

このシリーズを読むと、人に優しくしよう…って思うんですよね…。人と自分を大切にしようと思うんです。その割に出来ていないんですけど^^;
今回もいろんな出来事やわんさかやってきますけど、一つに繋がっていくし猫弁先生や亜子の人の良さからいい方向へ向かうんですよね。
澄世さんも面倒くさい人なのかなと思ったのだけど(すみません)勇気のある素敵な女性でした。まさかあの男性と関わりがあるとは!すべてを悪気があったわけではないで片付けるのはいけないことだと思うけど、でも、この2人はこれからいい思い出を作っていってほしいな…と思いました。
あぁ…いいお話を読めた…といつも読んだ後に心が温かくなります。

<講談社 2022.5>2022.8.23読了

求めよ、さらば 奥田亜希子5

求めよ、さらば (角川書店単行本)
奥田 亜希子
KADOKAWA
2021-12-24


翻訳家として働く辻原志織は、三十四歳。五年の交際を経て、結婚をした夫の誠太は、友人から「理想の旦那」と言われ、夫婦生活は安定した温かさに満ちていた。ただひとつ、二人の間に子どもがいないことをのぞいては。あるとき、志織は誠太のSNSに送られた衝撃的な投稿を見つける。
自分の人生に奥さんを利用しているんですね。こんなのは本当の愛じゃないです。
二週間後、夫は失踪した。残された手紙には「自分は志織にひどいことをした、裏切り者だ」と書かれていて――。

図書館で借りたので帯を見ていなかったのですが「私を、愛してはいなかった」なんて書かれていたんですか?え?なんで?読んでいて誠太が志織を愛していないと思ったこと1度もなかったですけど…
始めが志織の視点、次が誠太、お互いに相手をどう思っているのか読み進めるうちにどんどん分かって行って読んでいて切なくなりました。1度離れたことで自分を見つめなおすことと、相手を考える時間が出来て、2人の絆がさらに深まった気がしました。自分のことをこんなにも好きになってくれる人がいるなんて、凄く凄く幸せなことです。羨ましいです^^良い物語でした。

<KADOKAWA 2021.12>2022.7.13読了

ミュゲ書房 伊藤調5

ミュゲ書房
伊藤 調
KADOKAWA
2021-03-17


小説編集の仕事をビジネスと割り切れない、若手編集者の宮本章は、新人作家・広川蒼汰の作品を書籍化できず、責任を感じ退職する。ちょうどその頃、北海道で書店を経営していた祖父が亡くなり、章はその大正時代の洋館を改装した書店・ミュゲ書房をなりゆきで継ぐことに……。
失意の章は、本に関する膨大な知識を持つ高校生・永瀬桃ら、ミュゲ書房に集まる人々との出会いの中で、さらに彼のもとに持ち込まれた二つの書籍編集の仕事の中で、次第に本づくりの情熱を取り戻していく。そして彼が潰してしまった作家・広川蒼汰は――。

タイトルが気になって読んでみました。
章は大手に勤めるには心が優しすぎたのかもしれませんね。
ミュゲ書房のように自分で自由に動ける方が向いているのかもしれません。おじいちゃんから素敵なものを託されて良かったなぁと思いました。
章が大手出版社を辞めるきっかけとなった広川蒼汰に関してはすぐに予想が付いてしまったのですが、そんなことは関係なく面白くて引き込まれていきました。
章たちが大事に大事に作り上げた1冊の本を、かつての上司が大手の都合をフルに使ってゆすって←来るところとか読んでいて本当にイライラしたんですけど。
ミュゲ書房に関わる全ての人が優しくて温かくて、章自身がまっすぐだったから皆なんとかしなければと思ったんだろうなと読んでいて感じました。
本を好きな人皆さんに読んでほしいです。

<KADOKAWA 2021.3>2022.4.26読了

余命10年 小坂流加5

余命10年 (文芸社文庫NEO)
小坂 流加
文芸社
2019-03-22


死ぬ前って、もっとワガママできると思ってた。
二十歳の茉莉は、数万人に一人という不治の病にかかり、余命が10年であることを知る。
笑顔でいなければ周りが追いつめられる。
何かをはじめても志半ばで諦めなくてはならない。
未来に対する諦めから死への恐怖は薄れ、淡々とした日々を過ごしていく。
そして、何となくはじめた趣味に情熱を注ぎ、恋はしないと心に決める茉莉だったが……。
衝撃の結末、涙よりせつないラブストーリー。

以前から気になっていたのですが、映画化されるとのことでこれを機会に読んでみました。
主人公は20歳の時に余命10年だと告げられます。
余命を知りながら生きていくのは、一体どんな気持ちなのでしょうか。私には想像もつきません。
でも主人公は必死に一生懸命、楽しんで生きていたと思います。
自分が余命を知った後に同じ病気で亡くなった女性と関わり、配偶者が嘆き悲しんでいる姿を見て、恋はしないと決めていた。それでも恋をした。お互いが相手を必要とする、素敵な恋だったと思います。ドラマや映画は最後まで一緒に添い遂げるものが多いですが、こちらは少し違いましたね。どちらが正しいとは言えないけど…。
終盤うるうるしながら読んでいました。
映画も気になります。

<文芸社 2017.5>2022.2.18読了

わたしの幸せな結婚 五 顎木あくみ4



旦那さまを想う、この気持ちは――。
清霞への想いに気がついた美世。帝都では異能心教の侵出が進み、美世たちは皇太子、堯人の提案で宮城に身を寄せる。過去の記憶から変化を怖れ、想いが告げられない美世は、ある夜、清霞から思わぬ本心を告げられる。

最後が衝撃的な終わり方で驚きました。えぇ!?そんな展開?!ここで引っ張るの?!っていう^^;
もどかしい想いは最初はきゅんとしましたけど、5までくるとじれったくなってくるから人間とは我が儘な生き物ですね(笑)
終わりが近づいてきているのでしょうか…。ちゃんと2人が幸せになれることを祈って次巻を待ちます。

<KADOKAWA 2021.7>2021.12.24読了

わたしの幸せな結婚 四 顎木あくみ4



清霞の両親の暮らす別邸に赴いた帰り、待ち伏せていた敵方の首魁、甘水に“我が娘”と呼ばれ、迎えにいくと告げられた美世。甘水から身を守るため、美世は清霞の職場である屯所内で日中を過ごすことになる。そこで護衛として紹介された女性軍人、薫子は清霞の元婚約者候補だった。清霞と薫子の仲の良い様子に少しモヤモヤする美世だけれど、次第に薫子と友人同士の関係になっていく。だが、その裏では美世を狙う影が確実に彼女へと迫っていた―。これは、少女があいされて幸せになるまでの物語。

せっかく帰ってきたと思ったらまた新たな問題が浮上してきましたね。
甘水の狙いが美世であるため一人ではいさせられないと美世は清霞の仕事場で過ごすことに。異能の力を持つ上に甘水の娘かも知れないという疑惑のために清霞の同僚からは白い目で見られます。
美世の護衛に着いたのは薫子という女性軍人。清霞の元婚約者候補であったためにもやもやした気持ちもありつつ友情も芽生えていきます。そして薫子が女性であるがゆえに差別を受けていることも知りやるせない気持ちにもなります。美世は1度薫子を庇うような言葉を言い放ちます。今までの美世なら考えられないことですよね。成長したなぁ…なんて読んでいて思いました^m^
今回も面白く読みましたけど、冒頭で物語の展開が少し読めちゃいましたよね…あれは必要だったのだろうか…ない方がよくないかなぁ?なんて思ってしまいましたけども。
次巻も楽しみです。

<KADOKAWA 2020.9>2021.12.7読了

わたしの幸せな結婚 三 顎木あくみ4



婚約者の清霞と向き合うと決め、前を向いて歩きだした美世。そんな折、清霞の父から義両親の住む屋敷に招待される。そこではじめて顔を合わせた清霞の母は、美世を絶対に認めないという構えだった。義母に認められたくて、罵声を浴びせられても美世は自分から歩みよっていく。そんな美世を清霞は見守り、日常から離れた場所で二人の仲も深まっていく。同時に村では鬼が出るという噂が立ち、清霞は調査に赴く。それは新たな事件の幕開けだった―。これは、少女があいされて幸せになるまでの物語。

3巻目にしてようやく婚約者のご両親とご挨拶。何で登場しないんだろうと思っていましたけど、そういえば隠居していたんですもんね。義母は最初から最後まで私はダメだったんですけど^^;厳しいとは違うよなー…人格否定する人はダメです…。でも、人格否定されまくって生きてきた美世だから頑張れたんでしょうか。いや、頑張んなくていいよって思いながら読んでいましたけども←
そんなことよりも初めてにおわせというか続く感じで終わりましたね。何だこれは!気になるじゃないか!
続きも気になりますが、ほんの少しだけ距離の近づいた美世と清霞の展開も気になるところです。

<KADOKAWA 2020.2>2021.11.9読了

わたしの幸せな結婚 二 顎木あくみ5



継母に虐げられて育った美世は、冷酷な軍人と噂の清霞と婚約をした。誰もが不幸な結末を予測したが、いつしか清霞と美世はお互いの優しさに惹かれ合う。美しく強い清霞に少しでも追いつきたくて、勉強を始めた美世。二か月後のパーティでの社交デビューを目標に頑張るのは楽しいことだった。そんな中、なぜか夜ごと悪夢に苛まれ、誰も頼れず美世は体調を崩してしまう。さらに美世を狙う者が現れ、美世と清霞の気持ちはすれ違い―。これは、少女があいされて幸せになるまでの物語。

前作で謎だったことが少し解明された回でしたね。
齊森家のゴタゴタが一応解決して、美世は清霞にふさわしい妻となれるよう勉強をし始める。
その先生が清霞の姉葉月なのですが、素敵なお姉さんですねー…
読んでいてこんなお姉さんがいたらいいなぁと思ってしまいましたよ。
美世の頑張りたいという想いとは裏腹に毎日悪夢を見て衰弱していく美世。
根源は美世の母親の家系である薄刃家にありました。
展開が乱暴な感じもしましたけど、最後はニヤニヤする展開で上手いこと言って良かったです←
今回は登場人物が一気に増えましたね。これからの展開も楽しみです。

<KADOKAWA 2019.7>2021.10.15読了

わたしの幸せな結婚 顎木あくみ4

わたしの幸せな結婚 (富士見L文庫)
顎木 あくみ
KADOKAWA
2019-01-15


名家に生まれた美世は、実母が早くに儚くなり、継母と義母妹に虐げられて育った。嫁入りを命じられたと思えば、相手は冷酷無慈悲と噂の若き軍人、清霞。大勢の婚約者候補たちが三日と持たずに逃げ出したという悪評の主だった。斬り捨てられることを覚悟して久堂家の門を叩いた美世の前に現れたのは、色素の薄い美貌の男。初対面で辛く当たられた美世だけれど、実家に帰ることもできず日々料理を作るうちに、少しずつ清霞と心を通わせていく―。これは、少女があいされて幸せになるまでの物語。

試し読みで漫画を読んで続きが気になったので小説版を読みました。
美世の父親は恋人がいたにもかかわらず親が決めた婚約者と結婚し美世が生まれて、美世の母親は早くに亡くなったため父親はかつての恋人と結婚し子供も生まれる。そのため幼いころから使用人のように育てられた美世。漫画の方もなかなかひどかったですが文章でもひどいですね。
そして婚約者が決まったからと家を追いだされた美世。ほかに帰る場所がないと冷酷無慈悲と言われている婚約者のもとへ向かいます。
清霞は清霞で自分の容姿のせいで女性に対して嫌悪感を抱いており、美世もその女性たちと同じだろうと初めは冷たくあしらいます。
そんな愛情に飢えて生きてきた2人だからかお互いに相手を大事に想うようになります。
美世の扱いは最後までひどかったけど、この作品で美世の家族の問題は丸く収まりましたよね。良かった良かった。
でも美世はまだちょっと自信なさげですし、美世の能力も分からないままだし、清霞の家のこともよくわからないですよね。5巻まで出ているようですしそれが明かされていくのでしょうか。2も楽しみです。

<KADOKAWA 2019.1>2021.9.26読了

武士とジェントルマン 榎田ユウリ5

武士とジェントルマン
榎田 ユウリ
KADOKAWA
2021-04-14


日本の大学で講師として教えるため来日した英国人・アンソニー。
居候先をイギリスの恩師が手配してくれたが、空港に迎えに来た青年に出会ってびっくり。彼はキモノにカタナ、チョンマゲの武士だった!
現代日本に武士がいたのか……!?
その彼・隼人が言うには、「伝統文化の保持ならびに地域防犯への奉仕を目的とする新しい武士制度」として現代の武士は存在するらしい。
英国紳士と青年武士の不思議な同居生活が始まった!
地域で愛され活躍している彼だが、実は悲しい過去も抱えていて……。
著者デビュー20周年記念作品!
肩書や属性と「個」、「自分らしい生き方」を考える普遍的かつ現代的なテーマは、今の時代だからこそ届けたい作品です。
装画は、漫画家・萩尾望都による描き下ろし!

著者さん、デビュー20周年なんですね。まだ長編は2冊目なのでこれからどんどん読んでいきたいです。
今回は武士と英国紳士のお話。この作品の世界では武士がまだ存在しています。と言っても思いっきり武士なわけではなくて武士の精神が残っているというか…なんか表現が難しいですけど。
物語は武士の家に英国紳士が居候して異文化交流をして友情が深まっていく…みたいな感じかな。なんか私が表現すると薄っぺらいですね^^;
物語はとても面白かったです。大きく3つくらいお話のテーマがあるけど区切らずに続いていっている感じ。隼人が教える剣道教室で生徒が大きな痣を付けていることに気づいたお話と、隼人の叔父との話と、北海道からやってきた小さな武士とのお話。
どのお話も良かったけど根底には隼人とアンソニーの境遇というか生き様もあって、読んでいて切なくなるところもたくさんありましたけど、読んで良かった…
特に最後のルリちゃんとのお話が良かったなー…まさかの展開に驚きましたけど…
そして隼人とアンソニーの関係もとてもいいです。2人の暮らしをもっと読んでいたいくらいでした。

<KADOKAWA 2021.4>2021.9.22読了

猫弁と鉄の女 大山淳子5

猫弁と鉄の女
大山 淳子
講談社
2021-07-28


累計40万部突破、大人気「猫弁」シリーズ!
冴えない容貌、天才的な頭脳……自分のことは後回しで人の幸せを第一に考える稀代のお人好し弁護士、百瀬太郎。
婚約者である大福亜子との間にとうとう進展が……!?
今日も変わらず奇妙な事件を引き寄せる百瀬。
迷子のサモエドを追いかけて依頼人からの預かりもの(カメレオン)を喫茶店に忘れ(出入り禁止となる)、サモエドを一時的に預かることになった老婦人の庭からは埋蔵金が……!
今回の物語で、もうひとりの主人公とも言えるのが、二世議員の宇野勝子――通称「鉄の女」。
東京の花粉一掃を公約に、もえぎ村の杉林伐採を掲げるが、その行方は……。
宇野勝子、その対抗馬の桃川いずみ、サモエドを預かることになった小高トモエ、そしていよいよ出産する春美、百瀬顔負けの真っすぐさで仕事に取り組む亜子……彼女たちからは「人生いろいろ」という当たり前のことを教えられ、ぽかぽかとした勇気をもらえます。
今まで「猫弁」を読んだことがない人でも大丈夫!
今作からでもお楽しみいただける、そんな優しくあたたかい作品です。

こちらのシリーズを読むと、人にやさしくなろうって思うんですよね…今回もそうでした。
人にやさしくなろう。仕事を一生懸命やろう。百瀬や亜子のまじめさ、まっすぐさを目の当たりにするといつもそう思います。人間が出来てるんですよねー…
今回は議員さんの話と百瀬がかかわるトモエさんの話と最初は2つが順番に進んでいっていつつながるんだろうと思っていたのですが、繋がり方が面白かったですね^^まさかそう繋がるとは。
そして展開が面白すぎて読む手が止まりませんでした。そうきたかー!
本当に、心から百瀬と亜子には幸せになってもらいたいです。
そして宇野カツさんも。まさに鉄の女でした。かっこいい女性でした。敵をも最終的には味方にしてしまうんだから凄いです。
このシリーズに出てくる人たちは皆素敵で、私もこうありたいと思わせてくれます。胸がいっぱいになります。素敵なお話をありがとうございました。

<講談社 2021.7>2021.9.9読了

死神と弟子とかなり残念な小説家。 榎田ユウリ5



名前も帰る場所もない。では、弟子入り決定です! 少年は、突然現れた黒ずくめの死神から、何故か見習いに採用された。ナナと名付けられ、「あの世」へ向かう契約書にサインをもらうため、死者(クライアント)の許へ──家族を待つ元音楽教師の老女や、バレリーナを夢見てレッスンに励む13歳の少女に胸打たれる。だが、過去の栄光に縋る中年小説家にはさすがに呆れ……。死を前にしても希望を抱く彼らに接したナナは、死神の任務を全うできるのか。

この作品、シリーズで数冊出ているんですね。読んだ後に知りました^^;
でも単体で読んでも十分楽しめました。
最初に死神見習いのナナの登場がなかなか面白かったですね。言動から80年代くらいに生きた人なのか…?とは思いましたが、適応能力が凄すぎて笑いました^^若いって素晴らしい!死んでるけど。
ナナが任されたのはおばあさんに13歳の少女に中年小説家。年齢も性別もバラバラだけど、みんなわりかし死を受け入れるのが早かったですね。女の子は特に結末も含めて切なかったな…
そして小説家のくだりでまさかの展開に驚きました…そう来たか。そして小説家の機転が素晴らしすぎましたね。ラストがまさかの大団円でびっくり!私はこういうラストが好きなので本当に良かったです。

<新潮社 2021.4>2021.9.5読了

片をつける 越智月子5

片をつける
越智 月子
ポプラ社
2021-03-17


独身の阿紗は、ひょんなことから、隣に住む謎の老婆・八重の部屋の片づけを手伝うことになる。
過去の経験から得た掃除テクニックを八重に教えながら片づけを進める中で、明らかになる八重の過去。そして阿紗も、母子家庭で荒れ果てた部屋に閉じ込められていた幼少期の記憶が蘇ってきてーー。

あらすじが少し気になって手に取った作品。オススメです。とても素敵な作品でした。
第一印象が最悪だった八重。それでも八重の部屋を片付けて関わっていくうちに阿紗にとって八重は特別な存在になっていきます。
阿紗は愛情に飢えていたんだろうなと思います。そして愛に怯えてもいて信用もしていなくて。
変に気を遣うわけでもなく、いても不快を感じなくなっていた2人は相性が良かったのかもしれないですね。八重は八重でなんだかんだ言いながら部屋を片付けてくれる阿紗のことをだんだん気に掛けるようになっていって。最後のあれはずるいですよ。ずるいずるい←泣かされました。
この作品に出会えてよかったです。なんだか無性に部屋の片づけをしたくなりました(笑)

<ポプラ社 2021.3>2021.8.31読了

黒鳥の湖 宇佐美まこと5

黒鳥の湖
宇佐美まこと
祥伝社
2019-12-11


拉致した女性の体の一部を家族に送り付け楽しむ、醜悪な殺人者。突然、様子のおかしくなった高校生のひとり娘。全ては自らが過去に犯した罪の報いなのか―!?推理作家協会賞受賞作家が、人間の悪を描き切った驚愕のミステリー!

初読み作家さんです。一気読みでした。続きが気になって気になって、読む手が止まらなかったです。
いやー…何から話せばいいんだろう^^;いろんなことがありすぎて、どこから話していいのかわからない。
主人公である財前彰太の過去。18年前に施したある”細工”。財前は現在世間を騒がせている事件をテレビで見て、自分が過去に犯した罪に対して罪悪感を抱え、最愛の一人娘がその被害に遭ってしまうのではないかと恐怖にさらされます。そこで18年前に起きた事件について調べ始めます。
この作品の中で登場する「自因自果」という言葉。まさにそれがこの作品のすべてだったと思います。
彰太、由布子、大黒様、若院、そして彰太の周りの人たちみんなが。
彰太が専務を信用しまくっていて、娘の美華のことが気がかりで仕事が手につかなくなった時、頼りすぎてて大丈夫かなぁと思っていたんですよねー。やはりそうでしたか。
そこは予想がついたんですけど、それ以外の怒涛の展開はなんかこちらも色々思考が追いついていきませんでしたよ。目まぐるしすぎる…!
娘の美華に関してはもうよく生きることを投げ出さないでくれた。としか言えない。純粋だからこそ悩んで悩んで反抗することしかできなかった。純粋で頭がいいからこそ色々考えてしまったのかな。いい友達に巡り合えてよかったです。
そして若院と大黒様ですよ。新興宗教なのかと思ったけどそういうわけではなかったんですね。割と早めにもしかしたら…と思っていたんですよ…いやーマジですか。いやそんな気はしてたんですよ。いやーそうですか←
大黒様の正義、若院が求めた愛情。本当に「正しいものと邪悪なものは背中合わせで存在する」のだなと思いました。2人は歪みすぎてこじらせてる感じでしたけど^^;
彰太は社長には向いていなかったのかもしれないですね。由布子と美華と家族で良いことも悪いことも分かち合いながら仲睦まじく生きていってほしいなと思いました。もう一つの家族とも。
にしても健君は若院を演じるんですね。確かにこれまでになかった姿を見ることが出来るのかなと思います。とてもとても楽しみです。

<祥伝社 2019.12>2021.5.7読了

そこに工場があるかぎり 小川洋子5

そこに工場があるかぎり
小川 洋子
集英社
2021-01-26


作家小川洋子氏による、おとなの工場見学エッセイ。
あのベストセラー『科学の扉をノックする』の工場版ともいえる本です。
幼いころから変わらぬ小川さんの好奇心と工場愛がじわじわ心にしみて、今、日本のものづくりに携わる人々と、繊細で正確な数々の製品のこと、あなたもきっと、とても愛おしく思うようになるでしょう!
<目次>
細穴の奥は深い (エストロラボ<細穴屋>)
お菓子と秘密。その魅惑的な世界 (グリコピア神戸)
丘の上でボートを作る (桑野造船)
手の体温を伝える (五十畑工業)
瞬間の想像力 (山口硝子製作所)
身を削り奉仕する (北星鉛筆)

小川さんが見学された工場はどれも興味深いものばかりでした。
特に1番最初が簡単に言うと穴をあける仕事!穴を開けるとは?と興味をそそられました。
一言で穴を開けると言っても大きさも形も深さも色んなパターンがあって色んな技法があるんですよね。特にこちらの会社は女性の社長さんで、女性が働きやすい環境を作ることが目的だったそうです。素晴らしいです。
保育園の子供たちが大きな籠のようなものに何人も乗ってお散歩している光景は私も何度か見たことがあります。あれはサンポカーって言うんですね。知りませんでした。
鉛筆の作り方も知らなかったからビックリしました。
この作品を読んで、工場見学に行ってみたくなりました。でも、このご時世難しそうですね…。取材されたのはコロナ禍の前。現在はどうされているのか読みながら気になっていましたが、あとがきで書かれていました。やはり皆さん大きく売り上げが落ち込んだようですが、だからと言って気落ちせずに今の時代に合った商品を考えたり、売り方を考えたり、とても前向きでそれもとても素敵だと思いました。
何気なく使っているものが一人一人の考えによって、手によって生まれている。そう考えると何もかもが愛おしく感じます。物を大事にしようと思いますよね。読んで良かったです。
そして現状の諸々が収束したら、外に出て色んな世界を知りたいと思いました。

<集英社 2021.1>2020.3.1読了

猫弁と星の王子 大山淳子5

猫弁と星の王子
大山 淳子
講談社
2020-09-16


婚約したものの、事情により、まだ結婚には至っていない百瀬と亜子。二人が喫茶店にいるとき、「ちょっと見ててもらえますか」と、百瀬の腕に渡されたのは、赤ん坊だった…!一方、上京してきた正水直は、入学金詐欺に遭い、途方に暮れていた。しかし人を助けたことがきっかけで春美と出会い、百瀬のもとへたどり着く。さらに、「死なない猫」の相談まで舞い込み、百瀬は今日も奔走中、事務所は一層賑やかに!果たして、百瀬と亜子の関係はどうなる―!?

前回で終わりだと思っていたので、また逢えて嬉しかったです。
6年振りなんですね。でもこの作品の中では多分時間は進んでいない?
今回は赤ん坊を手渡されたり、入学金詐欺に遭った女の子を引き取ったり、死なない猫の真相を請け負うことになったり何だかいろんなことがありましたね。赤ん坊の事はさておき、色んな出来事が繋がっていくのが面白くて、読む手が止まらなかったです。
百瀬は本当にどんなことがあっても怒らないですね。誰にでも手を差し伸べる。それで今回もたくさんの人が救われたと思います。
2人で甘い雰囲気にはなかなかなれないけど、百瀬と亜子の関係がとても素敵で理想的でした。
また2人に会えたら良いなと思います。

<講談社 2020.9>2020.10.20読了

推し、燃ゆ 宇佐美りん5

推し、燃ゆ
宇佐見りん
河出書房新社
2020-09-10


推しが炎上した。ままならない人生を引きずり、祈るように推しを推す。そんなある日、推しがファンを殴った。

巷で噂になっていた^m^本作を読みました。
あー…痛い痛い。胸が痛いよー。心が抉られました。
主人公のあかりはアイドル上野真幸を”解釈”することに心血を注いでいる。アルバイト代を全て推しにつぎ込み、生活の全てを捧げている。でもだからと言ってお近づきになりたいとか恋人になりたいとかとは違う。推しはあくまで推し。あーわかるー。
帯に書かれていた「病める時も健やかなる時も推しを推す」って言葉が名言過ぎるなと思いました。
私も超絶具合が悪かったけどオーラス行ったことがあるわ…10年以上前なので許して←マスクしてたから。もうしないから…。
推しの一挙手一投足を見逃さず、トークを一字一句聞き逃さず、メモを取り、ブログに起こす。
分かる。分かるよ…。推しは私の背骨…分かる。分かるよ…。
人生の全てを捧げているわけではないけど(いや、捧げてるか?)、でも推しがいるから頑張れるって言うのは凄くあります。自分が辛い時、苦しい時、何よりも救われたのは推しの存在だったから。推しのいない生活なんて考えられない。生きる糧がなくなっちゃう。
長くオタクをしていると「推しは健康で幸せなら良い」と思うようになっていました。でも、この主人公のような状況に陥ったらどこかで幸せであればいいと素直に思えるだろうか…と考えてしまいました。
推しがいなくなった後は余生とあかりは言っていました。私もそう思うけど、でもたぶんあかりとは重みが違うと思います。はっきりとは書いていないけど、あかりは発達障害があって両親はそれに向き合っていません。あかりなりに一生懸命生きているのだと思うけど、周りが当たり前にできることが出来ないもどかしさ、悔しさ、それを分かってくれる人が身近にいないから、少し遠くにいる推しにすべてを捧げてしまう心情も分かる気がします。
最後はあかりの今後が気になって終わってしまったけど、推しを心に抱きながら、自分の人生を生きていってほしいなと思いました。
読んで思ったのは、私の推しには25年以上アイドルを続けてくれてありがとうと言いたいです。私の余生はまだまだ先になりそうです。私は幸せです。
とりあえず私の推しのメンカラが青じゃなくて良かったです^^;青だったらもっと心をえぐられていたと思います…。

<河出書房新社 2020.9>2020.10.5読了

よろず占い処 陰陽屋百ものがたり 天野頌子4



安倍家は男子が育ちにくく、祥明の父も祖父も、その蔵書に目がくらんで婿入りした貧乏学者である。初めて叔母のいる国立の安倍家を訪れた山科春記も、妖怪学を研究する身から、書庫が羨ましくて仕方がない。そして、初めて会った叔母の息子、中学生の祥明少年が書庫で読みふけっていたのは、稀少な『諸国百物語』の原本で…。くせもの揃いの登場人物たちが次から次にあらわれる、今昔のお蔵出しエピソード満載!

今回はスピンオフでいろんな登場人物の目線で沢山の物語が書かれていました。面白かったな。
最初は祥明が中学生だし、三井と倉橋が小学生の時の話もあったし、瞬太のお母さんの姪の馴れ初めも出てくるし。懐かしさもあり、新鮮味もありました。
これからまた話は展開していくのでしょうか。瞬太たちももう高校3年生だけど…。
本編も楽しみにしています。

<ポプラ社 2019.11>2020.7.27読了

川っぺりムコリッタ 荻上直子5

川っぺりムコリッタ
荻上 直子
講談社
2019-06-27


大ヒット映画「かもめ食堂」「彼らが本気で編むときは、」の監督が贈る、書き下ろし長編小説
「なんで生まれてきちゃったんだろうって、ずっと思っていました」
高校生の時に母親に捨てられ、知り合いの家や建設現場を転々とし、詐欺で入った刑務所で30歳を迎えた山田。出所後に海の近くの塩辛工場で働き始めた彼は、川べりに住みたいと願い、ムコリッタという妙な名前のアパートを紹介される。そこには図々しい隣人の島田、墓石を売り歩く溝口親子、シングルマザーの大家の南など、訳ありな人々が暮らしていた。
そんな山田に、役所から一本の電話がかかってきた。
幼い頃に別れたきり一度も会っていない父親が孤独死したので、遺骨を引き取ってほしいという――。
ずっと一人きりだった青年は、川沿いの古いアパートで、へんてこな仲間たちに出会う。
友達でも家族でもない、でも、孤独ではない。
“ひとり”が当たり前になった時代に、静かに寄り添って生き抜く人々の物語。

荻上さんの作品が大好きです。温かくて優しくてこちらも優しい気持ちになれます。
今回はとあるアパートが舞台。母親に捨てられ、いつの間にか詐欺に手を染め刑務所に入り、出所した山田。
川べりに住みたいと願い入居したのは「ムコリッタ」という不思議な名前のアパート。そこに暮らす人たちはどこか不思議でワケありな人たち。
山田も家庭環境が可哀想で、詐欺に手を染めてしまったけどどうか頑張ってほしいと思いながら読んでいました。根は真面目ないい子なんですよね。
アパートの住民のそれぞれの想いが分かってきて温かい気持ちになりました。
温かいご飯を食べられること、仕事が出来る事、生きていること。そのすべてを大事に丁寧に生きていきたいと思える作品でした。

<講談社 2019.6>2019.10.13読了

よろず占い処 陰陽屋秋の狐まつり 天野頌子4



王子の町に怪しいキツネ、あらわる!?
長い家出から戻った瞬太は、夏休みに受けるはずだった補習をほぼ欠席したために、いよいよ卒業の危機に陥る。追加補習を受けながら頑張ろうとするが、家に新生児がいて寝不足になり、居眠りが止まらない。一方、またも連絡がつかなくなった葛城をさがすために、祥明は月村颯子を陰陽屋へよぶが、化けギツネは化けギツネをよび、事態は思わぬ方向に──。
文化祭、年末の狐の行列など、いよいよ冬に向かって季節はめぐる、人気シリーズ第11弾!

11冊目…読み始めた頃はまさかこんなに長く続くシリーズになるとは思っていませんでした^^;
瞬太達ももう高校3年生なんですね。瞬太だけを考えたら小学生みたいですけど…。
高校3年生の年末、学生生活もあと3か月。瞬太はどうなるんですかね。成長がほぼ止まった瞬太と人間は一緒には暮らせない。どういう結末になるのか楽しみです。
というか、本筋がなかなか進まないから早く進んでほしいです(本音)

<ポプラ社 2018.11>2019.4.4読了
自己紹介
苗坊と申します。
読書とV6を愛してやまない道産子です。47都道府県を旅行して制覇するのが人生の夢。過去記事にもコメント大歓迎です。よろしくお願いいたします。
Categories
Archives
訪問者数
  • 今日:
  • 昨日:
  • 累計:

記事検索
Recent Comments
  • ライブドアブログ