法務局に勤める野宮薫子は、溺愛していた弟が急死して悲嘆にくれていた。弟が遺した遺言書から弟の元恋人・小野寺せつなに会い、やがて彼女が勤める家事代行サービス会社「カフネ」の活動を手伝うことに。弟を亡くした薫子と弟の元恋人せつな。食べることを通じて、二人の距離は次第に縮まっていく。
「あの本、読みました?」で第1回大賞を獲った作品です。とマニアックな賞を言ってみましたが^^こちらの番組でずっと大絶賛されていた作品。ようやく読めました。
主人公の野宮薫子という人物は同世代だったのですが、何事にもものすごく真面目に真面目に取り組む感じが凄いと思う反面苦手で、きっと近くにいたら仲良くなれないだろうなぁと思いました^^;それはせつなに対しても同じでこちらの方がもっと無理かもしれない。でもその姿は自分を守るために纏った鎧だったんだろうなぁと思うと、薫子と同様にその鎧を取って笑顔を見たいという気持ちにもなりました。せつなが薫子に弱さを見せるシーンではこちらも泣きながら読みました。
春彦が亡くなった真相についてはミステリのような展開にはならないだろうとは思いましたけど、同僚で仲の良かった子のことに関しては最初から違和感があったんですよね。ん?合鍵?って。だから後々語られる真実にやっぱりなと思いました。春彦は本当に優しい子で、だからこそみんなを悲しませたくないと自分を押し殺して生きてきて、きっと辛かっただろうなと思います。でも、伝えていないことはあっただろうけど、お姉さんの存在はきっと心の支えだったんだろうなとも思います。だからこそ、春彦のこの先の未来が見えないのが哀しい。
薫子は薫子でちゃんと幸せになってほしい。元夫とちゃんと話して理解が出来て良かった。だれ一人取り残さない作品だったのも良かったです。
「カフネ」はポルトガル語で「愛する人の髪にそっと指を通す仕草」だそう。なんて素敵な言葉。このタイトルが最後のシーンと重なってとても良かった。2人がどんな形であれ幸せになれますように。
<講談社 2024.4>2025.2.27読了