弁護士の永遠子は33歳。結婚3年目の夫と問題のない関係性を保ちながら、18歳年上の実の叔父・遼一としばしば逢瀬を重ねている。
しかし信じていた夫が浮気相手を妊娠させ離婚し、その後、惰性で付き合った若い恋人とも別れてしまう。
子供の頃から抱く自らの叔父への歪な欲望に向き合った永遠子が気付いた唯一無二の愛とは。
あらすじを読んでやはり身構えてしまったことは否めないのだけど、読み始めたら一気読みでした。最近、自分が年を重ねてきたせいか島本さんの作品に限らず恋愛小説は何だか自分に合わない気がしてきていて、今回も最初は少し斜に構えたような気持で(笑)読み始めたのですが、今回はそうなりませんでした。始めは永遠子の気持ちが全然わかりませんでした。好きな人がいるのにどうして結婚したり彼氏を作ったりするんだろうって。特に元夫の言動はどれも気持ちが悪くてイライラして、どうして一緒にいるんだろうと不思議でした。まあ、彼氏の方もそうだな。気持ちが悪かった←でも友人の萌が言った「たしなみ」という言葉が凄く腑に落ちた気がしました。恋愛については共感できるところはなかったんですけど、それ以外の部分では共感できるところがいくつもあって、だからのめり込むように読んでしまったのかなと思います。
永遠子が弁護士になった理由がとても共感出来て。って私はそんな大層な仕事はしてませんが、最初の職場でひどいパワハラに遭い、男の人が怖くて憎くなって、それから私は男性に頼らず、たくさんの武器を持って、自分の力で生きていこうと決めています。だから私は多分周りから強く見られているかもしれないし、実際に強いと思うけど、でも、永遠子が言った常識の外側で優先的に1番にしてほしいって思う気持ちがあると言ったところにすごく共感出来て、私もそうだったんだなって思えたりしました。
帯でハッピーエンドと書かれていて、本当にこの状況でハッピーエンドになるの?と思いながら読みましたけど、確かにハッピーエンドでした。私はそう思いました。9歳の女の子に父親がしたこと、母親が言ったことの方が恐怖で、2人が永遠子に言っている言葉の方が気持ち悪かったです。そんな親と離れられて、好きな人と一緒にいられるならそれはハッピーエンドじゃないかなと思います。最後の萌との会話もとても良かった。
読み終えた後もしばらく余韻が残ってぼーっとしてしまいました。こちらの作品を読むことが出来て良かったです。
<新潮社 2025.1>2025.2.24読了