苗坊の徒然日記

読書とV6をこよなく愛する苗坊が気ままに書いてます。 お気軽にどうぞ。

男性作家(さ・た行)

みぞれ 重松清4

みぞれ (角川文庫 し 29-6)

あなたに似た人が、ここにいる—。
幼なじみの少女が自殺未遂、戸惑いながら「死」と向き合う高校1年生の少年。
結婚7年目、セッカチな夫に最近うんざりしてきた妻。
子供がいないとつい言えなくて、一芝居うつ羽目に陥った夫婦。
どちらかがリストラされる岐路に立たされた40歳の同期社員。
晩年を迎えた父に、複雑な思いを抱く43歳の息子…。
ひたむきな人生を、暖かなまなざしでとらえた11の物語。
文庫オリジナル短編集。

重松さんの短編集。
学生が主人公でも40代の方が主人公でも、リアルなんですよね。
大きな展開があるわけでもなく、人々が現実を受け止めてちょっと前向きに生きていく。
今のままで生きていっていいのかな。って、ちょっと思うとき、この作品を読んだら、今のままでいいんだ。
小さな幸せをかみしめることができればいいんだなって、思わせてくれます。
自分の40代はまだ想像が出来ないけど、結婚して子どもがいて、バタバタと大変だけど、幸せに感じる事もある。
そんな日々が、送れたら、いいなと思う。
…20代のうちからそんなんでいいのかなとも思うけど^^;
もっと大きな夢を持っていたほうがいいかな?

〈角川書店 2008.6〉H20.10.1読了

ブルーベリー 重松清4

ブルーベリー

僕はあの頃より少しは幸せになったんだろうか。
東京に対する憧れと怯えを抱えて上京した18歳の僕。
いろんな場所で、いろんな人たちと出会い、時を過ごした。
でも、いつの間にか、会わなくなってしまった人たちがいる。
——彼らはいま、何をしているのだろう?
ちょっと寂しくて、とびきりひたむきな人たちとの、別れと出会いの物語。

重松さんの短編集。
小説家となった「私」が大学時代を過ごした80年代を振り返る。
その時代に出会った同級生や、バイト仲間、バイトでであった子ども達。
今、彼らはどのようにすごしているのだろうか。
って、40代になったら考えるようになるのかな。
結婚して、子どもを産んだりしたら物思いにふけるようになるのかな。
80年代って、いい時代だったのかなぁ。
男女雇用機会均等法って、社会で習ったなぁ。
やっぱり女性は苦労していたんだな。
ディズニーランドって、25年経ってるんだよね。
四半世紀経っているのに未だに人気が衰えていないって凄いです。
80年代って、楽しい時代だったんだろうな〜。

〈光文社 2008.4〉H20.9.25読了

ツバメ記念日 季節風*春 重松清5

ツバメ記念日―季節風*春

オススメ!
「めぐりびな」夫の両親が、娘のみゆきのために大きな雛人形を贈ってきた。そのため、古い自分の雛人形は「めぐりびな」として供養される。
しかし、この雛人形は母との大切な思い出が詰まっているのだ。
「球春」僕らの町のヒーローが、日本のヒーローになり損ねて帰ってきた。名前は野口隆也、プロ野球に3年しか在籍していなかった選手。今は家に引きこもっているのだという。野口の母校で野球をしている僕は、彼にコーチになって欲しいと思っている。
「拝復、ポンカンにて」30年前、大学進学のため上京する事になっていたカズユキ。新幹線ではなく、夜行列車で行く事にしていた。それは、少しでも両親と一緒にいたかったため。いつもと変わらぬ両親の態度に、カズユキは拍子抜けした。
「島小僧」ヒロシは4月で生まれ育った島を出て行く。大学卒業後、戻ってくるかは分からない。島に本土を結ぶ橋が出来て以来、島の様子は変わってしまった。
「よもぎ苦いか、しょっぱいか」一軒家を建てたとき、庭をつくり、休みの日は土いじりを楽しんでいる。土の匂いは、かつて自分を女で一つで育ててくれた母の匂いだった。
「ジーコロ」若手社員と営業先へ向かう途中、若いときに住んでいた場所にたどり着いた。25年前とはかなり町並みが変わっていたが、電話ボックスだけは変わらず同じ場所に佇んでいた。
「さくら地蔵」さくらに囲まれている地蔵がいる。子どものいるトラックの長距離運転手が、日本各地から桜の花びらを集め、地蔵に備えると事故を起こさないという言い伝えがある。何故、この地蔵が建立されたのかは誰も知らない。
「せいくらべ」かつては社長だった父が苦境に立たされ、今は一軒家を二等分したテラスハウスに住んでいる。隣から苦情が来てから、弟のヒロの面倒を見、一緒に留守番をしている。
「霧を往け」泥酔していた中年の男がJRのホームから転落し、それを助けようとした青年共々亡くなったと言う事故が起きた。私は青年よりも、同い年の中年の男の方が気になり、彼の実家を訪れようとしていた。
「お兄ちゃんの帰郷」東京の大学に進学し、一人暮らしをしていた兄が帰ってくる。東京にはなじめなかったらしい。かつて家庭の事情から一人暮らし、進学を断念した父は、兄に多大な期待を抱いていた。
「目には青葉」和生は6年間、成り行きで付き合い、今でも曖昧な関係を続けている翠という女性がいる。翠が今日、自宅にやってくる。今日こそは思いを伝えようと緊張していた。
「ツバメ記念日」娘の由紀へ、父が由紀が生まれたことの家族の話を書面で告白する。

またまた重松さんです。重松さんの作品は本当にあったかいです。
家族が決していつも円満で幸せな事だけじゃない。でも、やっぱり一緒にいることで、大切さやありがたみを感じるんだって言う事を、改めて教えてくれます。
テーマが春だったので、「別れ」の作品が多かったように思います。
どの作品も素敵。大好きです^^
どれが良いって、決められないくらい素敵な作品でした。
だけど、当たり前ですが、一緒にいることが当然というわけではないという事も重松作品からは伝わってきます。
だから、一緒にいる今を、大切にしようとも思います。
「夏」は書店で見ました。「秋」も「冬」もきっとあるんでしょうね。
楽しみです。

〈文芸春秋 2008.3〉H20.7.4読了

ブランケット・キャッツ 重松清4

ブランケット・キャッツ

馴染んだ毛布とともにレンタルされる猫たち。「いま」を生きる人の孤独と猫のしなやかさ。
直木賞作家が贈る7つの心温まる物語。
「花粉症のブランケット・キャット」
紀夫と有希枝には子どもがいない。互いに約束事を決め、不自由のない生活を送っていた。そこへ動物を飼おうかと2泊3日で猫を飼うことになる。
「助手席に座るブランケット・キャット」
たえ子は1年に4回、レンタル猫と一緒に旅に出る。
今回はきっと最後になるだろうと予感していた。ペットショップの店長の計らいで、すでに引退した黒猫を預けてもいいという。
「尻尾のないブランケット・キャット」
コウジは尻尾のないマンクスという種類の猫を借りる。
父親はコウジがいじめられていないかといつも問いかけ、いじめに関する資料を読み漁っていた。
「身代わりのブランケット・キャット」
認知症で、目もよく見えないおばあちゃんが数日だけ家に来る事になった。
お祖母ちゃんを喜ばせるため、かつて飼っていたロンロンの身代わりを探す。
「嫌われ者のブランケット・キャット」
ペットを内緒で飼う事とゴミの分別に関してとても厳しい大家のいるマンションで暮らす俺。
彼女のエツコが捨て猫を拾ってきた。何とかして飼う為に、大家が利用しているブランケット・キャットを手懐ける計画を立てる。
「旅に出たブランケット・キャット」
タビーは自分には何か使命があると思っていた。
今回のだらしのない飼い主から逃げ出し、旅に出る。そこへ、2人の幼い兄妹に出会った。
「我が家の夢のブランケット・キャット」
隆平はリストラされ、休職中。ローンを払えなくなり、売りに出す事に。
子ども達の夢を少しでもかなえたいと思い、猫を借りる事になった。

ブランケット・キャット。初めて知りました。
動物に関してはかなり疎い私。そういえば家で猫を飼っていた事があったと思い出しました。
もう16年位前^^;全然覚えていません。
どの作品も好きだけど特に好きなのは「旅に出たブランケット・キャット」かな。
この作品だけ猫目線。面白かったです。
何だか、人間を見下している感が面白い。
また人間の兄妹のお話もとっても可愛かったです。きっとこれから素敵な家族になれるよって、思いました^^
他の作品もとっても可愛いです。
こういうあったかい作品、重松さんは上手いですね。

〈朝日新聞社 2008.2〉H20.7.1読了

最愛 真保裕一4

最愛

小児科医の押村悟郎の携帯電話が鳴った。警視庁の刑事からだった。
18年間会っていない姉が、意識不明で救急病院に搬送されたという。
重傷の火傷、頭部にうけた銃創。
しかもそれは、伊吹という男と婚姻届を出した翌日の出来事だった。
姉のアパートで見つけた不審な預金通帳、姿を現さない新婚の夫。
噛み合わない事実、逃げる男と追う男。
「姉さん、あなたはいったい何をしていたんだ…」愛のかたちがここにある―。

切なかった…。本当に切ない。
両親の死亡により、引き裂かれてしまった姉弟。
その引き取られた先で大人に翻弄され、2人の人生が大きく変わってしまった。
もしも2人が一緒に暮らせていたら、違う人生だっただろうと思うと切なくてならない。
姉の千賀子がどう生きてきたのか弟である悟郎は調べていくんだけど、長い間はなれていても、人柄は変わっていなかった。
お姉さんである千賀子は正義感あふれる凄い人だった。
弱いものを助け、強い奴でも立ち向かう。
そして、恋愛は辛い恋を選ぶ。
読んでいて本当に警察に腹が立ったなぁ。
きれいごとばっかりだし、自分の事はかわいいから、警察の内部に関しては甘いし。
悟郎だって、お姉さんと同じように打たれ強くて凄い奴だと思いました。
お姉さんの過去にも、警察に対しても伊吹に対しても、ちゃんと向き合っていたし。
最後は綺麗でした。

〈新潮社 2007.1〉H20.4.27読了

世紀末の隣人 重松清3

世紀末の隣人 (講談社文庫)

池袋の通り魔、音羽の幼女殺人、少女監禁、カレー事件、リストラ、田舎移住、ニュータウンの三十年…。
世紀末の一年の事件は、二十一世紀のいまも「現役」。
遠くて近い隣人たちのドラマに寄り道しつつ迫ってみると、そこにはあなたとよく似た顔が―。
直木賞作家による異色ルポルタージュ。

今の世の中、奇怪な事件が相次いでいてどんどん過去の事件を忘れていってしまっている気がする。
池袋の通り魔も、春菜ちゃん殺人事件も、カレー毒物混入事件も、新潟の監禁事件も、かなり世間を騒がせたのに、今は微塵もテレビに登場しない。
未だに傷を抱えている人たちがいるのに。
それを見せ付けられる作品だったかな。
犯人の人物像について書かれていたり、事件についてもかかれていたりしました。
この中に書かれている事件ではないけど、私は光市母子殺人事件がずっと気になっています。
23日だったかな。判決が下されるんですよね、差し戻し判の。
旦那さんをいい加減解放してほしいなと思ってるんです。
途中で変な弁護団とか登場しちゃって、事件から真実が遠ざかってしまったような気がするから。

〈講談社 2003.12〉H20.4.17読了

眉山 さだまさし3

眉山 (幻冬舎文庫 さ 8-4)

東京の旅行代理店で働く咲子は、故郷の徳島で一人で暮らす母・龍子が末期癌であと数ヶ月の命と知らされる。
ちゃきちゃきの江戸っ子で、気風のいい母は、「神田のお龍」として、沢山の人々から慕われてきた。
徳島に滞在し、母を看取ろうと決心した矢先、咲子は、母が自分に言わずに「献体」を申し込んでいたことを知る。
それはなぜなのか?
やがて咲子は、母が残した箱から、まだ会ったことのない父のことと、母の想いを知っていく―。

今更ながら読みました。
さださんの作品は、風景も人間模様も綺麗ですよね。
綺麗すぎるくらい綺麗です。
なので、嫌な感じはしません。
最初から最後まで清々しいです。
誰の力も借りず、咲子と共に生きてきた気丈な母。
お母さんの生き方は、かっこいいけど真似できない。咲子の気持ちが分かります。
最後の最後が素晴らしいですね。
これは絵になるわ。
映画も、見たいなぁ。

〈幻冬舎 2004.12〉H20.3.17読了

青い鳥 重松清5

青い鳥

村内先生は中学の非常勤講師。
国語教師なのに吃音を持つ先生の、一番大切な仕事は、ただ「そばにいること」。
「ひとりぼっちじゃない」と伝えること。
いじめ、自殺、学級崩壊、児童虐待……
子どもたちの孤独にそっと寄り添い、だからこそ伝えたい思いを描く感動作。

短編集で、主人公の中学生は皆違いますが、どの作品にも村内先生という吃音を持つ先生が登場します。
主人公の子達は、心に何らかの傷を抱えています。
それは自分が原因だったり、家族だったり友達だったりするんだけど。
その心に抱えているものを、村内先生は誰よりも理解し、側にいてくれるんです。
無理強いをするわけでもなく、同情するわけでもない。
それが、尚更心にきます。
先生は、その生徒達に「間に合ってよかったなぁ。」といいます。
何らかの事件を起こしたり、自殺をする前に・・・という意味ではなくて、
「自分を嫌いになる前に」。
先生は素晴らしい人だと思います。こういう先生がいたら、学校も変わると思います。
でも、それだけ生徒の事に気付くと言う事は、先生も過去に辛い思いを強いられてきたからなのだと言う事も感じさせられます。
重松さんの書く学校の問題は読んでいて辛い部分もたくさんあるんですが、学校という隔離された場所の現状を知ることが出来ますし、考えさせられるので、もっと読みたいって、思うんですよね。

〈新潮社 2007.7〉H20.3.9読了

永遠を旅する者 ロストオデッセイ 千年の旅 重松清4

永遠を旅する者 ロストオデッセイ 千年の夢

彼は老いず、ただ去りゆくのみ。彼は死なず、ただ別れるのみ。
その寂しさ――あんたにわかるかい?
書き下ろし、700枚! 壮大なスケールで描く命の賛歌。
「主人公は、カイム。永遠の生を生きる――すなわち、死ねない男。物語の舞台はすべて、一千年の旅をしてきたカイムが訪れた「いつか、どこか」の町である。」(本文より)
――『流星ワゴン』重松清、『バガボンド』井上雄彦、『ファイナルファンタジー』坂口博信 3人の絆が生んだ重松文学の新たな試み。

ストーリーをあまり知らず、重松さんの新刊だと思って図書館で予約したのですが、借りて表紙を見てビックリ。
井上雄彦さんの挿絵ではないですか!
そして本の中身はゲームの主人公という・・・。なんとも異色な本だったのですね。
それを知って最初に思ったのは宮部みゆきさんの「ICO 霧の城」見たいな感じなのかな〜と思っていたのですが、それともちょっと違う感じなのかな。
ゲームのストーリーには基づいていなくって、主人公カイムが折々で見る、夢の話。
長く生きるときの中で出会った人々の記憶について書かれている。らしい。
最初に書かれていた前書きを読んだ時はピンと来なかったのだけど、本を読み進めているうちに製作総指揮の坂口さんの言葉を、重松さんは素晴らしい形で書き上げたんだなぁと思った。(ちょっと偉そうですが)
「一千年を生きることの哀しみが感じられるようなものにしてほしい」
私達は限りある命だから、毎日何かに追われながら生きてる。
少しでも充実で幸せな人生を送りたいから、一人ひとり、自分なりに幸せを見つけようとする。
でも、命に限りがなかったらどうかな。
きっと退屈で、人生に絶望を感じてしまうんじゃないかなと思う。
人よりも多くの死を見てきたカイムの辛さは計り知れないよね。
読んでいて、ひしひしと伝わってきました。さすが重松さんですよね。
でも一つ一つの物語が、どんな形であれ少し報われている形なのがまた、いいなと思う。
たまにはこういう作品もいいな、と思いました。

〈講談社 2007.11〉H20.3.2読了

くちぶえ番長 重松清4

くちぶえ番長 (新潮文庫 し 43-10)

小学四年生のツヨシのクラスに、一輪車とくちぶえの上手な女の子、マコトがやってきた。
転校早々「わたし、この学校の番長になる!」と宣言したマコトに、みんなはびっくり。
でも、小さい頃にお父さんを亡くしたマコトは、誰よりも強く、優しく、友だち思いで、頼りになるやつだったんだ―。
サイコーの相棒になったマコトとツヨシが駆けぬけた一年間の、決して忘れられない友情物語。

またまた重松さんです。
子どもの目線で話が進んでいくのですんなりと読めました。
面白かったですね〜^^
マコトちゃんがとってもかわいくて、強くて、カッコイイです。
女の子とか男の子とか、関係ないですね。
マコトちゃんのような子が、正義の味方って言うんだろうな〜
弱いものいじめは嫌いで、自分の事を顧みず人を救う。
まさに番長だね^^
こんな子がたくさんいたら、陰湿ないじめは減るんじゃないかなぁと思う。
終わり方が重松さんらしいなぁと思ったけど、嫌いではないです。

〈新潮社 2007.7〉H19.11.20読了

カシオペアの丘で 重松清4

カシオペアの丘で(上)
カシオペアの丘で(下)

オススメ!
北海道北都市。ここでトシ、ミッチョ、ユウちゃん、シュンは出会い仲のいい友達になった。
打ち上げられたボイジャーを見るため、夜遅くにカシオペアの丘へ行き、夜空を見上げる。
そこで4人は、将来この地に遊園地を創ろうと約束する。

肺の腫瘍は、やはり悪性だった―。
40歳を目前にして人生の「終わり」を突きつけられたその日、俊介はテレビ画面に、いまは遊園地になったふるさとの丘を見つける。
封印していた記憶が突然甦る。
僕は何かに導かれているのだろうか…。
限られた生の時間のなかで、家族へのこす言葉を探すために、俊介はふるさとへ帰ってきた。
幼なじみとの再会を果たし、過去の痛みを受けとめた俊介は、「王」と呼ばれた祖父とともに最後の旅に出る。
未来を見つめ、過去と向き合う。
人生の締めくくりに俊介が伝えたものは―。

久しぶりに上下巻の作品を読みました。
あっという間に読んでしまいました。
重松さんの作品は、泣かせますね〜。
私は涙をこぼすくらい泣いたのって、この作品が初めてでした。
1回目は哲生が父親の告白を聞き、泣き崩れた場面。
2回目は哲生が父親の前でわんわん泣いた場面。
3回目は倉田千太郎が北都観音の前で号泣した場面。
「罪」をずっと抱えて生きていくのは、どれだけ辛い事なのか。
想像を絶するものなんでしょうね。
たくさんの人の感情が入り混じっていて、読み終えた時、すっきりとした気持ちになった反面、頭の中にずしっと入ってくる作品でした。
予想はしていましたが、重かったですね。
小さな街の存続問題であったり、病気の問題であったり。
ガンと向き合う家族の姿は本当にリアルで、恐怖を覚えました。
哲生は強い子だな〜と思いましたね。
ミウさんは、最初は今時のギャルっぽい子なのかしらと思っていたら、読んでいくにつれ全然違うんだと気付きました。ごめんなさいね^^;
シュンと恵理の夫婦も素敵でしたけど、トシとミッチョの夫婦も良かったです。
いろんな愛の形があるんですよね。
北斗市って、モデルは芦別なのかな〜と勝手に想像しちゃいました。
観音様あるし、旭川や札幌の距離的にも合ってる気がしますし。
市のキャッチコピーも「星の降る里」だしね。
何度か行った事はあるけど、夜はないな〜。
そこがちょっと気になりました。

〈講談社 2007.5〉H19.11.24読了

包帯クラブ 天童荒太4

包帯クラブ The Bandage Club (ちくまプリマー新書)

ワラこと笑美子は病院の屋上で、ディノと名乗る不思議な少年に出会う。
それがきっかけとなり「包帯クラブ」を立ち上げた。
心の傷口から流れる血を止めるために、傷ついた場所へ、包帯を巻く。
それだけなのに、心が満たされる想いがする。
仲間は“ワラ”の中学からの親友“シオ”
そして二人のバイト先の友達“ギモ”
それは公園のブランコだったり、デパートの屋上、学校の教室…。
そして、今も傷ついてる人達のために、彼らは立ち上がる。

映画化されまして、気になり手に取った作品です。
天童さんの作品って、リアルで怖そうなイメージがあって読めないでいました^^;
でも、この作品は読んで良かったです。
すらっと読めましたね。
学生に読んでほしい作品だなぁと思いました。
傷つく言葉とか出来事って、人によって様々なんだよね。
私もそうだったんだから・・・みたいな言葉は何の慰めにもならないんだなぁって改めて思わされたり。
ディノは不思議な奴ですけど、心には重たい傷を抱えていて、それが1番癒さなければならない傷なんだと思いました。
若者の心の痛みを直球で伝えている作品ですよね。
包帯を巻くのは、過去の自分と訣別するって言う事なんですね、きっと。
心が少し癒される作品でした。
サイドストーリー?のメンバーの報告も好きです。

〈ちくまプリマー新書 2006.2〉H19.10.28読了

その日のまえに 重松清5

その日のまえに

オススメ!
「ひこうき雲」
勉は、30年前に住んでいた場所へ来ていた。
小学生の頃、男の子からも女の子からも嫌われていた、ガンリュウという女子生徒がいた。
彼女は、途中から学校へ来なくなり、入院しているのだと聞いた。
「朝日のあたる家」
ぷくさんは高校の教師をしており、娘と2人暮らしだ。
夫は、8年前に亡くなっていた。
「潮騒」
俊治は、今日、余命宣告を受けた。
ふらりと立ち寄ったのは、2年間だけ住んでいた海辺の町。
余命宣告を受けていなければ、決して行く事のなかった場所だった。
「ヒア・カムズ・ザ・サン」
トシは母親と2人暮らし。
最近母ちゃんが、カオルくんというストリートミュージシャンにはまり、毎日その話をしている。
「その日の前に」
妻の和美は、ガンに冒され余命宣告されている。
2人は新婚時代に過ごしていた町を歩いていた。
「その日」
和美が死んでしまう時の事を、二人は「その日」と言っていた。
そして、「その日」が訪れた。
「その日のあとで」
妻がいなくなり、父と息子2人の生活になった。
その生活に、次第になれていった頃、看護師に妻の書いた手紙を渡される。

皆さんがオススメしていた作品だったので、気になっていました。
ようやく読めました。本当に、読んで良かった。
全ての作品に「死」がからんできるのに、何故か読んだあとにあったかい気持ちになります。
死を迎える人の覚悟ができている事、また家族が病気とちゃんと向き合っているからなのかなと、私は思います。
日常で当たり前に行っている事が、当たり前に出来る事の大切さを、教えてもらったような気がします。
どの作品も好きだけど「ヒア・カムズ・ザ・サン」のトシ君が結構好きです^^
私はまだ子供はいないけど、高校生くらいの男の子って、こんな感じなんだろうなぁと思って。
素直じゃないなぁと思いつつ^^読んでました。
まだまだワガママで甘えん坊のトシ君だけど、きっとリッパな大人になるだろうな〜と思います。
何だかとってもリアルですよね。
実際に死と向き合う時は、ドラマのような感じではないんだろうな〜と思う。
まさに、この物語のようなんじゃないかなと感じました。

〈文芸春秋 2005.8〉H19.2.12読了

墨攻 酒見賢一3

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兼愛・反戦を説き墨子が築いた墨家であるが、三代目巨子・田襄子の代となり徐々にその体質を変え腐敗し、権力と結びつく道をとろうとしていた。
そんな中、祖の意志を貫こうとする墨者の革離は、趙軍に攻められている燕国の梁城城主・梁溪からの依頼により、田巨子の命に背き単身梁城に乗り込み、趙の大軍を相手に梁城を守ることとなる。
墨家の協力が得られないまま、革離はたった一人で梁城の民をまとめあげ、巷淹中将軍率いる趙軍を相手に奮戦する。

映画化されているということで、読んでみました。
酒見さんの作品も読んでみたいと思っていたので。
う〜ん・・・。ムズカシイ!!
話の流れは分かったんですけどね〜・・・。
中国の名前も国も難しいからね。
でも、大体は分かったので、良かったです^^
200ページくらいで短めだったのも良かったのかも。
革離は素晴らしい人だったのかもしれないけど、やっぱり人の気持ちを捨てていたのが問題だったのかもね。
だから、勝ち進んでいけたのかもしれないけど・・・。
漫画の方が有名みたいですね。
外見は見たことがありました。

〈新潮社 1991.3〉H19.2.9読了

クローズド・ノート 雫井脩介4

クローズド・ノート

香恵は大学2年生。文具店でアルバイトをしている。
バイト先での万年筆フェアの時に出会った飛石隆作という男性の事が、気になるようになっていた。
彼と再会してから、香恵は彼に近づこうと努力するようになる。
前向きになれるようになったのは、香恵の住む部屋から見つけた、前の住人の忘れ物らしいノートを発見したからだった。
持ち主は真野伊吹という小学生の教師らしい。
読み進めていくうちに、伊吹という女性がどれほど素晴らしい人だったのかを知る。

雫井さん初読です。
私、勝手にこの作品はミステリだと思ってたんですが、全然違いましたね^^;勝手な思い込みでした。
いきなり万年筆の薀蓄が出てきて、なんじゃ?なんじゃ?って最初思いましたし^^;
全体的にはとても美しい作品でしたね〜。私、こういう作品好きです^^
結構リアルな感じがしたけど、筆者のお姉さんの事が書かれていたのね。
実際にあった手紙を引用しているらしいし・・・。
筆者にとっては、お姉さん=伊吹だったのかも。
きっととても素敵な方だったんだろうなぁ。
好きな作品なので、5つ星にしたいところなんですが、伊吹さんが今どうしているかや、石飛のことが途中で先が読めてしまったので、4つで^^;
あと気になったのは、今の女子大生、「案山子」なんて知らんでしょ。
歌って盛り上がるかなぁ・・・。あ、しんみりか。
私は、母がさださん好きだから知ってるけど・・・。

〈角川書店 2006.1〉H19.1.9読了

野ブタ。をプロデュース 白岩玄3

野ブタ。をプロデュース

高校2年生の桐谷修二はいつも人気者。
しかし、それは全て計算している事で、周りの友達を心の中では見下していた。
11月、小谷信太という冴えない男が転校してきた。
たちまちいじめの標的となり、みんなからは相手にされない。
修二はそんな信太を人気者へとプロデュースする事にした。

読んでいて最初に思ったのは・・・彰がいない。でした^^;
あれはテレビのオリジナルだったのね。
ドラマは私はみていなかったのですが、ストーリーは結構違いそうですよね。
修二に言いたい。
素直に生きろ。プライドを捨てろ。
修二は誰よりもかっこ悪かったよ。
人をそうやってバカにしちゃいけないよ。
人はちゃんと気付いてるんだから。
修二の気持ちも、分かるんだけどね・・・
だから修二というキャラが私は嫌いにはなれないのかなぁとも思う。
修二も分かってたのかなぁ。だからああいうラストになっちゃったのかな。
後味悪かったなぁ・・・。
ストーリーは面白かったです。話の進め方が上手いですね。
ですが、どうも会話の口調とか、語りの口調がダメで^^;
なじめませんでした。
今の高校生を描くんなら、リアルなのかもしれないけど。
筆者、1個しか違わないよ・・・。良くかけるなぁ・・・。

〈河出書房新社 2004.11〉H19.1.6読了

都市伝説セピア 朱川湊人4

都市伝説セピア

「アイスマン」
カズキは病気療養のため、田舎にある親戚の家に居候していた。
その地域のお祭りで、「カッパの氷漬けをみせてあげる。」と言うノンコに出会う。
「昨日公園」
遠藤は息子の翔一とバトミントンをしていた。
翔一が羽根を買いに公園を出ると、遠藤はかつて自分が見捨てた友人の事を思い出した。
「フクロウ男」
「僕」は自ら都市伝説を作り出し、徐々に世間へ広めていった。
より完璧な伝説とするため、僕は別人に成りすまし、コンビニでバイトをしていた。
全ては完璧なはずだった。ただ1つ「君」と友人になった事だけが失敗だった。
「死者恋」
フリーライターが、めったにメディアに顔を出さない女流画家・鼎凛子のアトリエへやってきた。
凛子は自分が画家になった経緯を話し出す。
それは、自殺した画学生の朔田公彦のことを知り、好きになったことからだった。
「月の石」
藤田は出勤途中で自分が会社を辞めさせてしまった本村を、マンションの一室で見つける。
幽霊なのか、本人なのか。
藤田が見ると、いつも彼はそこに暗い顔をして佇んでいた。

秋の「世にも奇妙な物語」スペシャルで、キンキの光一くんが「昨日公園」っていうドラマに出てたんです。
エンドロールをみて、朱川さんの作品が原作だと言う事を知って読んでみました。
短編集だったんですね。
どの作品も面白かったです。素晴らしいです。
どれも都市伝説になぞらえていて、内容がちょっと怖いけど、引き込まれるんです。
私が好きなのは「昨日公園」と「死者恋」ですね。
「昨日公園」は光一くんをイメージしてたんですけど、回想前はパパで、出来事は小学生の時の話だったんですね。
年齢設定が違ったので、結構別物な感じで読みました。
ドラマも原作も別々に素晴らしいと思います。
「死者恋」は怖いというか、凄い話ですよね。背筋が凍ります。
こんな歪んだ恋は、できればしたくないです。
ラストが意外だったのは「フクロウ男」ですね。ラストがぜんっぜん気付かなかったので、驚きました。
初読だったのですが、朱川さん、気になる作家さんですね。
解説の石田衣良さんのコメントも興味深かったです。

〈文芸春秋 2003.9〉H18.12.10読了

日曜日の夕刊 重松清4

日曜日の夕刊

オススメ!
日曜日、お父さんがいてお母さんがいて「僕」がいて、お兄ちゃんとお姉ちゃんは恋人がいて―。
ある町の春夏秋冬、日常の些細な出来事を12の短編小説でラッピング。
忘れかけていた感情が鮮やかに蘇る。夜空のもとで父と息子は顔を見合わせて微笑み、桜の花の下、若い男女はそっと腕を組み…。
昨日と同じ今日なのに、何故だか少し違って見える。そんな気になる、小さな小さなおとぎ話。
(esbookより引用)

重松さんには珍しく(失礼)微笑ましい作品。
いろいろな家族の形が見えました。
12作の中で、ヘタレなのにプライドの高い父ちゃんっていうのが結構多かったけど^^;
12作品の中で、私は「チマ男とガサ子」「カーネーション」「卒業ホームラン」が好きです。
「チマ男とガサ子」はチマチマした男と、とってもガサツな女の子の恋愛物語。正直、私はこんな男と付き合いたくありません^^;
でも、2人はとても微笑ましくて、可愛かったです。ラストも好き。
「カーネーション」は電車の網の上にカーネーションがずっと置かれている。
そのカーネーションが気になっている3人の物語。
このラストもとってもいいのです。凄く感動です。オススメ。
「卒業ホームラン」は少年野球の監督である父と、チームに所属する息子の物語。
父親としては、息子を試合に出させたい。しかし、監督という立場から考えると、息子の実力では試合には出せない。
誰よりも努力しているのに、報われない。なのにどうして頑張る意味がある?娘に言われ、言い返せない父。
でも、その答えを、息子は簡単に教えてくれた。
息子がとっても素直でまっすぐで、可愛いんです。
いつの日か、その努力が報われてくれればいいなぁと思いました。
不思議な話も多いけど、心温まる話です。

〈毎日新聞社 1999.11〉H18.10.26読了

きみの友だち 重松清5

きみの友だち

オススメ!
―――恵美は、小学生の時に交通事故に遭い、一生松葉杖を使わなければ歩けない身体になってしまった。
それがきっかけとなり、小学校では浮いた存在になってしまい、独りになった。
しかし、クラスの大縄跳び大会のとき、共に縄を回す側になった由香と出会った事で、友達になった。
―――ブンこと、文彦は勉強、スポーツ、何をしてもクラス一の優等生。
しかし、モトが転校生としてやってきた事で、立場が変わろうとしていた。
モトは何をさせてもブンよりも少し能力が上だった。
それがブンには、面白くない。
恵美とブン。またその周りを取り巻く友達を描いた連作短編集。

面白かったです。さすがですね〜^^重松さん。
重松さんの作品は、リアルすぎて恐い感じがするのもあるけど、これは納得することばかりだった。
小中学生の事を、良くわかってらっしゃる。
私も、過去の事だけれど。
恵美が独りになってしまった事は自業自得な部分もあるけれど、友だちって何なんだろうな〜
私も友達は多い方じゃない。
でも、深く付き合えている・・・とは思う。どうだろ^^;
どの主人公も、いるいる!って言う感じだったな〜。
中学の時から思っていたけど、どうして女子ってグループでまとまろうとするんだろう。
謎。一人浮いた人が出てくると、どうして避けようとするんだろうな〜
私はどのグループにも属してなかったな。
といっても、仲間はずれってワケじゃなかったと思う・・・けど。
私はどうしても、堀田ちゃんのような人は好きになれなかった。
仲間はずれになって当然だとも思った。
誰にでもいい顔して、別に興味もないのに話に入り込んでくる。
話に盛り上がっている所に「なになに?」って入ってくるのは正直ウザイし、迷惑だし、一気にテンション下がるんだよね。
・・・な〜んて事を考えて読んでいました^^
最後が素敵だったな〜
感動的です。
中でも好きだったのは、ブンとモトかな。
お互いがライバルで、尊敬しあえる相手って、そうそういないよ。
二人とも、かっこよかった^^

〈新潮社 2005.10〉H18.9.29読了

トライアル 真保裕一3

トライアル

「逆風」
12年間全く連絡を絶っていた、歳の離れた兄が突然直人の所へやってきた。
直人は競輪の選手である。
将来を嘱望された人物であるため、マスコミにも取り上げられていた。
それで、居場所を知ったのだろう。
しかし、何のためにやってきたのか。
相変わらず自分勝手な兄を見て、疑問に思う。
「午後の引き波」
映子は競艇の選手であり、念願のA1が見えている期待の選手だ。
夫、一隆も同じく競艇の選手で、映子を始め新人にとって憧れの存在。”仏のカズ”とも呼ばれていた。
その夫が三十七針も縫う大怪我を負ってから、調子が上がらない。
雲の上の存在だった夫の成績を、妻である映子が越していた。
最近、夫のカバンの中から見たこともない金属の板を見つけ、不審な行動をとっていることに気づく。
「最終確定」
頑固者の父親の元を離れてから12年。
明博はオートレースの選手だった。
最近、ひどい嫌がらせを受けている。
明博はお世辞にも注目を浴びるような選手ではない。
父親がガンに冒され、手術をしていたことですら、犯人は明博の内部事情を知っていた。
「流れ星の夢」
父を知らず、幼い頃に母を失った高志は、調教師の祖父に育てられた。
そのせいか馬と触れ合う事が多く、今では新人騎手として修行を積んでいる。
馬の故障を次々と癒し、周囲を驚かせる正体不明の厩務員、塩田の過去に、疑問を持ち始める。

真保さんの本は5冊目ですが、「ホワイトアウト」「ストロボ」のように、職業やそのものの特性などを、細かく調べているなぁって言うのを凄く感じる。
専門用語が多すぎて、理解できない時も結構あるんだけど、それほど勉強しているってことなんだろうな〜。
4作の中では「流れ星の夢」が1番好きかな。
あとは卑劣だったり卑怯だったり、ハラハラしちゃって^^;
マスコミやら周りの人に腹が立ってました。
ただ、1番好きな作品も、大事な所が私は理解できませんでした。私だけ?
結局どうだったの?と最後に思ってしまったことが残念でした。

〈文芸春秋 1998.7〉H18.9.19読了

冷静と情熱のあいだ Blu 辻仁成4

冷静と情熱のあいだ―Blu

阿部順正は、イタリアで修復士として働いている。
彼女の芽実もいる。
何も問題の無い毎日を送っていたが、一つだけ順正には忘れられない思い出がある。
大学時代に付き合ってた、あおいという女性のことである。
18歳まで祖国の日本を訪れた事はなく、日本での大学生活は辛いものだった。
あおいは、そんな順正の事をちゃんと受け止めてくれていた。
しかし、2人はあることをきっかけに別れる事になる。
それからずっと、順正は忘れることが出来ない。
過去に、2人はある約束を交わしていた。
あおいの30歳の誕生日、2000年5月25日に、フィレンツェのドゥオモのクーポラで会いましょう。
もうすぐ、その日がやってくる。

昨日に引き続き、青版です。
私はこっちの方が好きです。何でだろう。。。なんとなく^^;
赤はね、あおいの気持ちに共感が出来なかったのかも。
私は、私のことを本当に愛してくれている人と、一緒にいたいと思ってしまうのよ。
妥協?いや、それは違うか。
でも、失敗したんだよ〜><
青から読んじゃったんだよ〜。
赤を読み終わった後に激しく後悔しました。
あ、だから青の方が好きなのかな?^^;

〈角川書店 1999.9〉H13.10.4読了

ストロボ 真保裕一4

ストロボ

オススメ!
喜多川光司は名の知れた50歳のカメラマンである。時代の波に追われて仕事は全盛期よりは減り、今は依頼された仕事には応えている。
スタジオに、1本の電話が入った。写真を撮ってほしいという、若い女性の声。
その女性は、母の遺影を撮ってほしいといった。母が、昔喜多川に写真を撮ってもらった事があるといっていたようだ。しかし、喜多川は、思い出せなかった。
彼女を撮っていく事で、自分のカメラマンとしての生活を考え直すようになる。
愛し合った女性カメラマンを失った40代。
先輩たちと腕を競っていた30代。
病床の少女に出会い、撮影をしたことで成長を遂げた20代。
そして、学生時代。友人と別れ、自分の道を見つめるようになった時代。
夢を追いかけた季節が、甦る。

久しぶりの真保さんでした。
とっても素敵でした。
最初は凄く読み方に困ったのですが^^;
だって、5章から始まるんだもん。年齢も若くなっていくし。回想なのかな?と思った。
でも、ちょっと違うかも。そんな簡単な言葉では言い表せない感じ。
そして、筆者が考えた数々のカラクリもあります。
なので、是非、あとがきも最後に読んでください。更に、この作品の面白さが増すと思います。
同じ人物が主人公で、年齢が若くなっていくんだけど、それぞれ別の話というか、一つ一つの作品として、とても楽しめる。
面白かったです。
でも、あとがきを読んで、やられた〜と思った。気づかなかった〜。
奥さんのこと、気づいた人はいるのかなぁ・・・。

〈新潮社 2000.4〉H18.6.10読了

ホワイトアウト 真保裕一4

ホワイトアウト

11月、奥遠和で2人の遭難者を発見した富樫輝男と吉岡和志はたった2人で救出に向かった。
2人の遭難者を発見する事は出来たが、吉岡は片足を骨折し動けなくなる。
そして富樫は1人で救助を求める事になった。
しかし、途中で道を誤り、動けなくなる。
次の日に救助を求め、遭難者は救出できたが、吉岡は突風にあおられ転落死してしまった。
3ヵ月後、吉岡の婚約者だった平川千晶は奥遠和へ来た。
そのとき、ダムが「赤い月」によって占拠され、千晶も人質となってしまう。
富樫は紙一重のところで死なずにすんだ。
人質と10人と、吉岡の婚約者を救うため、敵と戦う事を決意する。

映画化もされた作品です。今更ですが^^;
原作を先に見たかな。確か。
富樫がかっこいいわ〜。ヒーローみたい。
吉岡への罪をずっと背負って、生活してたんだよね。
敵と向かっていく姿は凄みを感じました。
専門用語が多くって、分からないところも多くあったけど、でも、面白かったね。
止まらなかった。
確か、テスト前だったのに、読んじゃってた気がするなぁ・・・。
だめだねぇ^^;
エピローグは何度も読み返すくらいよかった。
感動しました。

〈新潮社 1995.9〉H13.3.6読了

バトル・ロワイアル 高見広春4

バトル・ロワイアル

全国の中学校の中から1クラスが選ばれる、クラス内での殺し合い。
城岩中学3年B組が、今年は選ばれた。
クラス40人が1人になるまで殺し合いを続けなければならない。
七原秋也は、親友の慶時を目の前で殺され、仇を討つため生き残りゲームで闘い始める。

もの凄く話題になったよねぇ。
懐かしい。。。
映画も問題になったし。
ヒットした2年後くらいに見ました^^;だって恐かったんだもん。
何回、目をつぶった事か。
秋也が素直で優しい少年だなぁって感じたけど、その理性を保っている事は難しいだろうなぁって思う。
この作品の後に読んだ恩田陸の「ロミオとロミオは永遠に」もちょっと似た感じが会ったように思うんだけど、目の前で人が死んで正気な人って、いないよね。
人形のように人が死んでいく姿。
考えるだけで恐ろしい。
こんな世界にならないことを望むわ^^;

〈太田出版 1999.4〉H14.1.7読了

奇跡の人 真保裕一2

奇跡の人

相馬克己は交通事故で一時植物人間になりかけるまでに至った。
しかし、奇跡的に危機を脱し、命をとりとめた。
病院内で彼は“奇跡の人”と呼ばれる。
克己は回復していくが、事故以前の記憶が一切なかった。
8年の入院生活を終え、事故以前の記憶を思い出そうとするが・・・

最初は良かったんだよね。。。
でも、克己が異常に過去にこだわっているのが、見ていて嫌だったなぁ。
凄く言葉遣いが丁寧で、更生されて、怪我も回復したんだから、前を向いて生きて欲しかったなぁ。
ラストも、私は納得がいかなかった。
なんであんなに避けていた彼女が今更になって側にいようとするのか。
この作品は、賛否両論あるらしく。
私は否の方でした^^;
すみません・・・。

〈新潮社 1997.5〉H13.12.29読了

人間失格 太宰治3

人間失格

人間に対する不安や恐れを持っている葉蔵。
それでも、家が裕福だったため、不自由の無い生活を送っていた。
しかし、彼女と情死を図った事で、人生は狂い始める。。。

太宰治の作品ですよ。
学校の授業以外で始めて読みました。
読めたけど・・・暗かったですね。
う〜ん。。。
これって、本人の事も入っているのかな。
彼もそうだよね。
彼女と自殺しようとして、2回くらい相手だけが死んじゃって。
3回目は彼女共々亡くなったんじゃなかったかなぁ。
小説家って、心の奥底に何かを秘めていそうだよね。
偏見かな。

〈新潮文庫 1985.1〉H14.9.21読了

溺れる魚 戸梶圭太1



溺れる魚

罪を犯した謹慎中の秋吉、白州が罪のもみ消しと引き換えに、公安の石巻刑事の内偵を命じられた。
石巻刑事はある企業の脅迫事件の犯人を追っていた。
しかし、彼は毎晩バーに顔を出し、正体を隠して常連客と話をしている。
その真意について調べる。
そしてそれは思わぬ方向へと変化していく。

ダメです・・・私はついていけません。
映画化されていて、見てはいないんだけどどんな内容か知りたかったので読んだんだけど。
こんなないようだったのね・・・。
怪しげだし、ポンポン人は無残に死んでいくし、文章もイヤ。
何とか最後まで読んだという感じでした。

〈新潮社 1999.11〉H16.5.6読了

朽ちた樹々の枝の下で 真保裕一3



朽ちた樹々の枝の下で

森林作業員として働いている尾高健夫は、妻を事故で亡くし、周りの同情や慰めから逃れるために札幌から上富良野へ移り住んだ人間である。
林の中を歩いていたら、一人の若い女性が倒れていた。
彼女を診療所へ連れて行ったが、彼女は次の日には姿を消していた。
彼女は何故林の中へいたのか。そして、何故逃げ出したのか。
健夫は彼女の行方を捜す。

これは、自衛隊が絡んできていてなんとも堅い言葉が出てきますねぇ。
主人公がここまで彼女の事を考えているのが、奥さんに対する思いとリンクさせているのかなぁって思ったんだけど、彼女がどうしてそこまでして真相を知ろうとしているのかがあんまり伝わってこなかったな。
それが、ちょっと残念かも。
にしても、警察とか自衛隊とかがテーマになるものってどうしてこう腹が立つのかしら。
不条理さを出さないと話にならないのかもしれないけど、凄く憤りを感じる。
個人的には診療所の栗原医師が好きです^^1番人情的で、ステキだねぇ。安心する感じだわ。

〈角川書店 1996.3〉H15.11.23読了

流星ワゴン 重松清4



流星ワゴン

一人の男が電車を待っていた。
生きようという気力をなくした和樹。
妻の美代子がテレクラを頻繁に利用しており、息子の広樹はいじめに遭った事でひきこもり、家庭内暴力をしている状態。
そして本人は、リストラにあった失業者。
もう死んでもいいかな。と思っていると、ワイン色のオデュッセイに乗った父子に会う。
その車に乗り込み、和樹は「大切な日」を訪れる。
人生の歯車が変化したきっかけとなった日々。
そこで、自分と同い年となっている父親、チュウさんに出会う。

ずっといろんな方がオススメされていたので、読んだ作品。
今の時代背景を再認識させられる感じがします。
こういうバラバラな家庭だって、多分少なくないと思うし。
和樹が幸せだった頃に戻りたい気持ちがあって、その岐路に直面しているのに変われないもどかしさは強く伝わってきました。
ラストはもの凄く変化したわけではないけど、それがふさわしいのだと思う。
この家族が、幸せになってくれる事を願います。

〈講談社 2002.2〉H15.10.17読了

四十回のまばたき 重松清4

四十回のまばたき

売れない翻訳家の圭は、妻の玲子と2人暮らし。
しかし、夏の終わりになると、玲子の妹耀子が”冬眠”しにやってくる。
毎年の事だったが、今年はいつもと違っていた。
玲子が交通事故でなくなったり、圭の翻訳した本がベストセラーになったり。
耀子が妊娠。圭の翻訳した本の原作者との出会い。
感情を表に出す事の苦手な圭は、この沢山の出来事から何かをつかみ出そうとする。

確か、重松さんを初めて読んだのがこの作品だったと思う。
大きな展開はないんだよね。
設定もちょっと面白くて、引き込まれた。
少し不思議な夫婦と、奇妙な病気?を持つ義妹。
人はいろんな悩みを抱えて生きてるんだなぁなんて、しみじみ感じました^^;

〈角川書店 1993.11〉H15.7.26読了

ピアニシモ 辻仁成2

ピアニシモ

透のそばにはいつもヒカルがいた。
しかし、ヒカルは透にしか見えない。
崩壊寸前の家庭、視線と敵意に満ちた教室。
孤独からヒカルを生み出した自分が、自立するために闘いをはじめ、成長しようともがいていく。

リアルなような、そうでないような・・・
やっぱりこれが現実なのかな。
信じられる人がいなくて、居場所がなくて。
それで、一人の分身を生み出す。
それは逃げなんだけど、透にとっては必要な時間だったのかなとも思う。

〈集英社文庫 1992.5〉H14.10.8読了

忘れ雪 新堂冬樹3



忘れ雪

少女と少年は小さな犬を抱えて約束した。
7年後の3月15日、このマリア公園で結婚をすると。
そして2人は離れ離れになった。
あれから7年。
桜木は獣医となっていた。
女性と付き合うことに自信を持てないでいる。
そんな時に、初老の犬を連れた1人の女性、深雪に出会う。
彼女といると、どこか懐かしさを感じ、徐々に惹かれていく。

ベストセラーになったよね。この作品。
でも、私は感動はできなかった。
ストーリー的には凄くよかったんだけど、
ちょっと突拍子もないことが多くて、納得できない部分が結構あった。
ラストも、何でこうなるの!!
って思って哀しくなっちゃった^^;
感動じゃなくて、私は悲しみを感じたな。

〈角川書店 2003.1〉H15.5.23読了

精霊流し さだまさし4

精霊流し

雅彦は一般家庭に生まれる。
しかし、雅彦は人には無い才能があった。
それは、バイオリン。
バイオリンをもっと勉強するために、若干13歳で一人上京する。
そこで、自分を含め、多くの人の人生を見つめることになる。

さだまさしさんの私小説。
なるほど、こんなことがあったのかぁ。と思った。
これ、NHKでドラマ化されてるんだよね。
さださん役が坂口憲二さん(字あってる?)従兄弟役に中村俊介さん。
かっこいい2ショットだったわ。
さださんの役が坂口さんって決まったとき、友人から何件も電話があったらしい。
「何でお前が坂口憲二なんだよ〜〜〜!!」って^^
面白いねぇ。
でも、感動したよ、これは。
おすすめです^^

〈幻冬舎 2001.9〉

富豪刑事 筒井康隆3

富豪刑事

キャデラックを乗り回し、1本8千5百円する葉巻を吸って事件に挑む富豪刑事、神戸大助。
強盗事件や密室殺人、誘拐など、富豪ならではの発想で
難事件に挑む。

あらすじ少ないなぁ。。。
ドラマ化されていたから、目に入って購入した作品。
でも。。。あれれ?男の人だ。
ドラマは色々変えてるんだね。
にしても、凄い発想な捜査だよねぇ・・・
確かにお金持ちじゃないと思い浮かばない。
お父さんが良い味出してるよね。いっつも窒息してしまってから良い案が思い浮かぶのが面白い。
私としては、早く大助と鈴江さんが結ばれてほしいと思う今日この頃^^;

〈新潮文庫 1984.1〉 H17.9.16読了

解夏 さだまさし4



解夏

「解夏」
東京で小学校の教師をしていた隆之は、ベーチェット病という病に冒された。
視力が徐々に失われ、完治するには失明するしかない病気。
失明をする前に、故郷の長崎を目に焼き付けておこうと、母の住む長崎へ帰郷した。
母親には病気のことは話していなかったが、息子の変化に気が付いているようだった。
東京に残してきた恋人の陽子が東京からやってきた。
別れるつもりだったが、うやむやにしていたままだった。
心の葛藤と戦いながら、解夏となる時を待つ。
「秋桜」
アレーナは日本に憧れてやってきた。
しかし、理想と現実は大きく違っていた。
日本で働いていくには、水商売をしていかなければ生活をしていけなかった。
決して身売りはしない。
そう心に誓っていたが、ある事がアレーナに深い傷を負わせ、2度と日本の男の人を好きにならないと決意した。
しかし、今は日本人の男性と結婚している。
夫の父親がアレーナにとって憧れの日本人のように見えたからだ。
その義父が亡くなり、姑にいびられる毎日を送っている。
なぜ今自分がここにいるのか、わからなくなっていた。
自分はここに居ていいのだろうか。受け入れられているのだろうか。
「水底の村」
今は水底にある村に純一と敦子は幼い頃住んでいた。
大学から上京した純一。そこへ、女優になるために上京してきた敦子。
2人は同居することになり、結ばれる。
敦子は妊娠した。夢を追いかけている今、気持ち的にも金銭的にも子どもを育てていくことは出来ない。
それ以来、2人の仲はギクシャクし始め別れることに。
あれから12年。
純一は偶然敦子の子どもに出会う。
会ってから、無性にすでにない故郷へ行きたくなった。
再び敦子への想いが甦る。
「サクラサク」
俊介は父と妻、子どもの大介と咲子の5人家族である。
しかし俊介は仕事ばかりで家族と接する時間が少なかった。
また、1度妻を裏切っている。
それから家庭が壊れていった。
そして、最も頼りとなった父が、時々呆けるようになった。
それから、俊介は自らを見つめなおすようになる。
学力でしかみていなかった子ども達の優しい心を知った。それは父のおかげだった。
父を助けるために、父の故郷敦賀へ向かう。

さださんの小説第2弾。
小説以外のエッセイとかだったらいっぱい出しているんだよね。
さださんの小説は好きだなぁ。
いい意味で、もの凄い展開があるわけではないんだよね。
こう・・・ゆっくりとした時間の流れを感じることが出来るの。
都会から離れた場所での生活が多いんだけど、それが好き。
どの作品も、家族が必ず出てくる。
みんな良い人たちなんだよね。
その関係が、素敵だって思った。
さださんの小説は好きだね^^

<幻冬舎 2002.12> H15.3.2読了
自己紹介
苗坊と申します。
読書とV6を愛してやまない道産子です。47都道府県を旅行して制覇するのが人生の夢。過去記事にもコメント大歓迎です。よろしくお願いいたします。
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