イタリアの風光明媚な丘陵地帯を見下ろす丘の上の小さな古書店。店主リベロは、ある日、店の外で本を眺める移民の少年エシエンに声を掛け、好奇心旺盛なエシエンを気に入ってコミックから長編大作まで次々と店の本を貸し与えていく。リベロが語る読書の素晴らしさに熱心に耳を傾けるエシエン。感想を語り合ううちに、いつしか2人は友情で結ばれていく…。
大きな展開がある作品ではなく、リベロが営む古書店に訪れるお客様たちと隣のお店で働く友人のニコラとの会話が繰り広げられる物語です。
お客様との会話は面白いものも多かったです。イタリア語?スペイン語?で「図書館員」の単語を並べ替えると「両手に本」になるとか^^
そんなリベロのお店に、エシエンという少年が興味深そうに本を眺めており、リベロはエシエンに本を貸します。2人は本を通じて友達になり、本について意見を交わし合います。本の内容に触れているので、ちゃんと読んで一緒に意見を言い合えるようになりたいとも思いました。リベロがエシエンに言った「本は食べ物と同じ。食べてみなければ、好きか嫌いかはわからない」という言葉は私も大事にしていきたいと思いました。食わず嫌いが確かにある…。
終盤、何となくそんな予感がしていましたが、哀しかったです。その場面がさらりと書かれていたのが良かったのかもしれません。
リベロが貸すのではなく贈ると言った本。エシエンがこれからぶつかるであろう大きな壁を見越しての人生のエールだと思ったら涙が出ます。最後のエシエンの眼差しが眩しかったです。