7回結婚した彼女が真実に愛する人は?
ハリウッド黄金期に活躍した大女優が人生の最期に明かした秘密と贖罪の物語
雑誌『ヴィヴァン』の新人記者モニークは、隠遁生活を送る往年の大女優エヴリン・ヒューゴの独占記事を任される。
エヴリン自身がモニークを指名してきたというのだ。なぜ自分が選ばれたのか困惑しながらも、モニークは女優が住むマンハッタンの高級アパートメントに向かった。現在79歳のエヴリンはグラマーで優雅な女優として一時代を築き、七度に及ぶ結婚生活を送り、その波乱に満ちた伝記を執筆し死後出版するよう提案してきた。怪しみながらも同意したモニークは、悲痛の事実を知らされることに…
YouTubeチャンネルで、有名人に本屋さんで1万円渡したら何を買う?という企画があるのですが、私はそれを見るのが好きでよく見ています。こちらでゲストの方が手に取った作品を読んだこともあります。こちらの作品はゲストに出られていた宇垣さんが最近読んで面白かった本に挙げられていたものです。タイトルに引き込まれて図書館で予約をしました。届いてびっくり。めちゃくちゃ分厚い(笑)700ページを超える作品でしたが面白くて後半は一気読みでした。
自分の容貌と容姿を利用して女優として戦い抜いてきたエヴリン。7人の夫も利害関係が一致して結ばれた人もいました。7人ってどういうこと?と思いましたが、1人1人出会いから結婚生活、破局まで丁寧に描かれていました。そして愛するシーリアとの出会い。クィアに向けられる目が今以上に厳しかった時代、ただお互いに愛していて一緒にいたいだけなのにそれが出来ない辛さ。やっぱりエヴリンとハリーが結婚していた時代が4人とも(コナーも入れれば5人)幸せだったのではないかと思う。
愛していた人たちが自分を置いて亡くなり、自らも年を重ねたからか伝記の執筆依頼をしてきたエヴリン。しかも無名で駆け出しであるモニークを名指しで。なぜなのか分からぬまま、モニークは受け入れ取材を続けます。そしてエブリンが全てを語り終えた後、モニークはなぜエヴリンが自分を指名してきたのか理解します。まさかそんなところで繋がっているとは思わなかった…。途中で殺したいほど憎むようになると予告されていたのでなおのこと。
全てが明らかになったことの衝撃と、ラストの衝撃と。700ページ強を最後まで飽きることなく読むことが出来ました。面白かったです。
<二見書房 2023.4>2024.11.13読了