謎に彩られた日々の中で、あなたは私の一番になった
『ななつのこ』から始まる〈駒子〉シリーズ、20年ぶりの最新作!
大学生の玲奈は、全てを忘れて打ち込めるようなことも、抜きんでて得意なことも、友達さえも持っていないことを寂しく思っていた。そんな折、仔犬を飼い始めたことで憂鬱な日常が一変する。ゼロと名付けた仔犬を溺愛するあまり、ゼロを主人公にした短編を小説投稿サイトにアップしたところ、読者から感想コメントが届く。玲奈はその読者とDMでやり取りするようになるが、同じ頃、玲奈の周りに不審人物が現れるようになり……。短大生の駒子が童話集『ななつのこ』と出会い、その作家との手紙のやり取りから始まった、謎に彩られた日々。作家と読者の繋がりから生まれた物語は、愛らしくも頼もしい犬が加わることで新たなステージを迎える。
駒子シリーズの新作!?とまず驚いた今作(笑)魔法飛行からスペースの間が9年。ななつのこものがたりから今作は19年が経過していて驚きました。えぇ…そんな経つ?魔法飛行とななつのこが出たのが30年以上前なので、読んだ当時(20年前)ですら少し前の時代のお話だなぁなんて思いながら読んでいた記憶があります。色々懐かしすぎる…。
珍しくこの作品は物語が始まる前に著者のまえがきがあります。
ななつのこシリーズだけどストレートな続きじゃないよと丁寧に解説をしてくださっていました。
いやいや!?私にとってはストレートだけど!?物語のその後の幸せな世界を読んでいるけど!?私!今!と思いながら読んでいました(落ち着け)
始めのゼロの章の時に思ったんですよ。主人公の玲奈の名前は出てくるけどお兄ちゃんの名前も、家族の苗字も言っていないなって。この作品を読む前に約20年前に読んだ「ななつのこものがたり」の感想を読み返していたんです。なので、ワンを迎えた時のお兄ちゃんの自己紹介を読んで鳥肌が立ったんですよね。そしてなぜかわからないけど泣きそうになりました。あぁ…また会えたと思いました。駒子も瀬尾さんも(どうしてもこう呼んでしまう)本当に幸せそうで良かった。お互いに相手の1番のままでよかった。玲奈のことで家族全員が過保護になっていたのは「あやめ」ちゃんのこともあったからなのだろうなと最後まで読んでいくうちに分かって。でも、それもまたこの家族の良さだなと思いました。
また逢えてよかったです。こちらもとても幸せな気持ちになれました。
「ななつのこ」と「魔法飛行」を読み返したくなりました。
<東京創元社 2024.1>2024.2.14読了