哀しみの先には、何があるのだろう──。乙一作家生活25周年記念短編集!
心霊写真の合成が趣味の僕が撮影をしていると、一人の女性がカメラに映りこんできた。しかし撮影されたデータには無人の交差点が映っているだけだった。映りたがりの幽霊、悠川さんがこの世に残した未練とは……?(『悠川さんは写りたい』より)
ほか、乙一贈る恐ろしくて切ない出会と別れの短編集。
「そしてクマになる」1番リアリティがあって印象的だったかもしれません。会社をクビになって家族に内緒でアルバイトをして、それがクマの着ぐるみを着る仕事で。それでも家族のために頑張るお父さんに頑張れ…と思っていたのですが。途中の嫉妬の塊みたいな状態に「山月記」みたいな結末になるのかと思ってびくびくしましたよ…。違って良かった。終わり方もとても良かったです。
「なごみ探偵おそ松さん・リターンズ」唐突におそ松さんが出てきて驚いたのですが…何かの企画?リターンズってことは前にも書かれていたということなんでしょうか…。それともアニメが終わった後だからリターンズ?分からなくてすみません^^;調べたら6年前に発表していた作品みたいですね。カラ松が殺されてトド松とチョロ松が刑事になってて十四松が鑑識でおそ松が探偵…時期が時期なだけに実写版の方を想像して読んじゃいましたよね。実写観てないんですけど←っていうか実写はカラ松が1番死ななそー←
「家政婦」乙一さんらしいお話だった気がします。黒まで行かないですけど…。住み込みの家政婦として働き始めた秋穂。その屋敷は死者の通り道になっているらしくよく知らない人が現れる。ある日10代くらいの若い女性が現れ、秋穂はその女性についている痣を見てどこかで見たような気がして…。切ないお話だったなーと思ってからのラスト。怖。
「フィルム」このお話は星野源さんとの共作とかなのでしょうか…分からなくてすみません…。死んでしまった彼女。生きてしまった「私」切ないお話でした。
「悠川さんは写りたい」無色で心霊写真ばかり作っている烏丸が出会ってしまった悠川さんは交通事故で亡くなっていた。悠川さんには心残りがあり、烏丸は協力することに…
不慮の事故で21歳という若さで亡くなってしまった悠川さんだけど明るくていい子だということがひしひしと伝わってきて切なくなっちゃいましたね…。彼氏への復讐は烏丸よくやった!って思いましたけどオチどういうこと?怖いんですけど…いい話で終わったと思っていたのに…
<KADOKAWA 2022.4>2022.5.5読了