大学で創作ゼミを受け持つ作家・時任晶子が死んだ。卒業後、恩師の死をきっかけに 再び「書くこと」に向き合う教え子5人。一方、時任の最後の作品のラストにはある疑惑が…。
タイトルの通り、小説家であり大学の先生だった時任先生が亡くなり、それがきっかけで集まった教え子たちの物語です。時任先生は創作ゼミを受け持っており、創作したものが卒論となります。なので、小説を書くこと、読み手、書き手、ひとりひとりが小説に向き合った姿が描かれていると思います。
特に私が印象に残ったのは浅野の回でした。この章で二次創作についてが書かれています。私も昔から二次創作をしていて、最近はnoteにも載せたりしているので、罪悪感を感じながら読んでいました。そんな思いがないわけではありません。本業の作家さんが創り上げた世界を踏みにじっているのではないかという想いもありつつ、こんな世界があったら良いなと思いながら書いている節があります。その気持ちを忘れてはいけないと思いました。
時任先生の最後の作品のラストに対する疑惑。ラストが意外だった、亡くなった時期を考えると本当にご自身が執筆出来たのだろうか。そんな疑惑が出てきますが、長い年月をかけて、教え子たちは自分たちの答えを見つけます。そして真実を知ることにもなります。
小説家としての苦悩なども書かれていましたが、これは著者さんの実体験なのかなぁ…と思ったりもしました。読んでいる側は好き勝手に読んで感想を言えるけど、書いている方は命を削って書いているんですよね。それを読んでいる側も忘れてはいけないと思いました。
<中央公論新社 2026.4>2026.5.26読了


