全盲の天才学者が感じたのは、絶望か希望か。俊英の新境地にして大本命!
江戸時代の全盲の国学者・塙保己一。幼少期に失明するも、学問を志し、やがて国内最大の叢書『群書類従』の編纂という、前代未聞の大事業に取り掛かる。類稀なる記憶力で、学者として輝かしい経歴を築いていく保己一だったが、その傍らに常にあったのは、晴眼者――妻、学者仲間、弟子らとの、すれ違いだった。
“天才・塙保己一”の胸中にあったのは、絶望か希望か、それとも――。
タイトルを見て塙保己一先生の話だ!と思い手に取りました。初読み作家さんです。
私は歴史上の人物の中で1番好きで尊敬しているのが塙保己一先生なので、主人公として物語が生まれるのがとても嬉しいです。史実に沿った物語が展開されていきますが、失明した幼少期や盲で国学者になるという例を見ない茨の道を目指す決意、そして晩年が丁寧に書かれています。当時は盲の人はあん摩か鍼を生業にするしかないなか、新たな道を切り開く姿が素晴らしいと思いますし、何よりも人柄ですよね。この人を支えたい。この人の目になりたいと思う人の多いこと。崇拝レベルの人も多くて若干心配になりました^^;
そんな偉大な検校様になってもなお、保己一先生は絶望と隣り合わせのまま日々を生きていたのかな…と読んでいて感じました。目の見える人に自分の気持なんか分からない。子供のようにまくしたてた輝明への言葉がすべてだったのだと思います。勝手に自分を崇めるけど目は見えない。心の目なんかない。それはそうだって思いましたよ。読んでいてこちらがはっとさせられました。
でも、保己一先生も理解できないような感じでしたけど、目の見える人だってすべてが見えているわけではない。自分の都合のいいものしか見なかったりするんです。分かり合えないのは仕方がない。それでももがいて生きてかなきゃいけないんですよ。目が見える人も、見えない人も。きっと。
なんて偉そうに思いました。
輝明は情けなくて哀しい男ですね。一人の男に縛られ翻弄され、それでも最後に助けられたのだと思います。
1番最後のセリフが粋すぎました。そっちか!って(笑)
ちょうど読んでいるときに、こちらの作品が山本周五郎賞を受賞されたと聞きました。
タイムリーな時に読めて本当に良かったです。
目黒区にある資料館には行ったことがあるんですけど、本庄市の方には行ったことがないんです。いつか行くのが夢だったんですが、出来るだけ早く叶えたいと思いました。
<KADOKAWA 2026.3>2026.5.15読了


