夫と死別、勤務先も倒産し喪失感に悩まされている美紀・48歳。
最後の旅のつもりで訪れた鎌倉の山中で道に迷うが、台湾茶カフェ 「鎌倉茶藝館」の美しき老マダムに助けられ、そのまま働き始める。
お茶。着物。古都鎌倉の日常。心潤す文化と人々に触れ、元気を取り戻していく美紀。
そんな彼女に、年齢も性格もばらばらな二人の男性が、同時に好意を持ち始めた――。
今の私に必要なのは、安らぎ? それとも、灼けるような想い?
――苦みを知るから、決められない。
名手が描く、大人の女性の戸惑いと決断。
あらすじを読んで最初から美紀に同情するような感じで読み進めて、始めはそうだったんですけど、2人の男性が美紀に好意を持ち始めてるところから読んでいてちょっと辛くなってしまいました^^;人としては死んだ夫の姪である玲奈のことは大嫌いなんですけど、美紀に対して言ってることは同意できてしまったんですよね…。不幸や悲劇を背負ってひとりで生きていくって見せておいて男に寄ってこさせるように仕向けるみたいな…。もちろん恋愛に年齢は関係ないと思っていて、どんな恋愛をしてもいいとは思ってます。でも、美紀の恋愛の仕方というかなんというか…好きになれませんでした。そもそも17年ほぼ恋愛から遠ざかった人がそんな急にモテるの?って言ったら炎上するだろうか^^;私は包容力の塊みたいな紫釉さんの方が好きだった…。直也に関しては幻影を見てるとしか思えなかったな…じゃないと好きになる理由がわからない…ごめん…。そしてそんなに似てるなら途中で気づくような気がするけど…。ただ、直也には同情しますよ。母親キモいし(直球)自分が生まれなかったら父親は…って思う気持ちは分かるし。両親の呪縛から解き放たれて生きていけると良いねと何だか姉のような気持ちで読み終えました(笑)お茶や着物のお話や鎌倉という空間はとても素敵だったから、ちょっと残念でした…。
紫釉さんは普段着物で整った顔をしていて侍みたいだって言われたくだりを読んで、もしかして軍人か侍か殺し屋の役しかやってないけど実はキュンキュンした恋愛ものをやりたいと思っている例のあの人(笑)が出来る恋愛ものかもしれないと思ったりしました。メンタルには筋トレが良いらしいって言ってたから筋肉ついてる人みたいだし←という、ささやかな妄想もありましたけど、読んでいくうちに恋愛の展開がそっち?となり、難しいなとも思いました(笑)
<光文社 2025.8>2025.11.3読了


