博陸侯雪斎が独裁を敷く〈山内〉で、〈登殿の儀〉を経て皇后を選んだ金烏代・凪彦。
しかし二人の間に子が生まれる気配はない。
一方、谷間出身者たちの叛乱を生き延びた少年・トビは北家の朝宅で博陸侯の母と出会い――。
博陸侯の治世を揺るがす「亡霊」の影。
終幕に向けて、時間が進み始める。
あぁ…辛い…辛いー!前作から凪彦と蛍が少しずつ、山内を変えていこうとしているのを感じて、凪彦と長束が動きだした展開におぉ!ついに!と思ってワクワクして読んでいたのに。やっぱり雪斎の動きが盤石すぎて、やっぱりダメか、振り出しか…と思ったらまさかの斜め上の展開に驚きました。これをネタバレなしで書くと全く意味が分からないですけど^^;
先に書きますけど、あせびは相変わらずだな。年を取っても相変わらず。凪彦が最愛の人と引き離された時のあせびの発言はこちらも呆気にとられましたよ。本当にもう出てこないでほしい←
凪彦も蛍も頑張っているのにな…。と思っていたらのまさかの展開に驚きました。最後の最後にこんな残虐な展開ある?いや、このシリーズはあるんだった…。最後に雪哉の名前で出てきましたけど、父親にあんなことを言われて、そして自ら自分もそう思うと言ってしまうなんて、なんて辛く哀しいことだろう。ずっと私は雪哉を信じて読んでいて、でも、やっぱり変わってしまったのだと諦めて、それでもこんなシーンを読んでしまうと、若かりし頃の雪哉の不遇さを想うと哀しくてならない。
そして最後の澄生の所信表明演説(笑)どこで話しているのだろう。自分の正体を明かしていたけど…。なんだかジャンヌ・ダルクみたいになってきたな…と思いつつ、これから凪彦や蛍、そして澄生はどうなっていくのか、気になります。
<文藝春秋 2025.3>2025.6.10読了