男女逆転モノが少女漫画に多いのはなぜか。なぜ大人数のアイドルが流行ったのか。小説や漫画、ドラマ、映画、アイドルに描かれる「ヒロイン」を読み解き、今の世の中を考察する。文春オンラインほか掲載を加筆し書籍化。
第1部 女性キャラクターの謎を解く―ヒロイン論(ヒロイン像も時代とともに変わっているの?―ヒロイン像の変遷
人のケアにまわるキャラって、主人公になっているの?―ケアするヒロイン
なんで姉妹キャラクターは姉が落ち着いてて妹が元気なことが多いの?―姉妹ヒロインの比喩 ほか)
第2部 少女漫画の謎を解く―作品論(なぜジブリには女の子が主人公の物語が多いの?―『トーマの心臓』論
なぜ少女漫画でしばしば男女逆転の物語が登場するの?―『大奥』論
なぜ「平成の少女漫画」のヒーローは弱いの?―平成少女漫画論)
第3部 女性の物語の謎を解く―テーマ論(なぜ2010年代になって大人数のアイドルが流行ったの?―2010年代アイドル論
なぜ「娘の結婚」はホームドラマの題材になるの?―長女の結婚と日本の家庭
最近よく見る女性ふたりの主人公が活躍する物語って、何?―シスターフッドの変遷 ほか)
文芸評論家の三宅さんが書く女性の物語のあれこれです。
三宅さんが書かれる作品はいつも視点が面白いですね。今回は女性が主人公の物語についていろんな視点で考察されています。
作品の時代ごとの女性像が書かれているところがありましたが、1980年代と2010年代だったら全然違うよなーと思いながら読んでいました。結婚して家庭に入るのが当たり前だった時代から社会進出を経てヒーローよりも強いヒロインが生まれたり大人数のアイドルが人気になったり…ってひとくくりで書こうとするとなんだかよく分からない感じになりますが^^;
私が小さい頃に夢中になったセーラームーンの話が出てきて嬉しかったですね。セーラームーンたちは強い。でも確かにタキシード仮面様は強くはない(笑)確かに助けに来てくれるけど、バリバリ戦うわけではないんだよな…という今更な気付き…。
あと「娘の結婚」がホームドラマの題材にされるのはなぜか?息子じゃダメなのか?というくだりも確かに…と思いました。そして三宅さんがおっしゃるように私、長女で結婚してません^^;
よしながふみさんの「大奥」の考察が面白かったです。本当に、連載開始時に令和の時代の女性陣を見据えていたのだろうかって思うくらいな結末だったらしくて鳥肌。
三宅さんならではの批評がとても面白かったです。
<笠間書院 2021.11>2025.4.29読了