あえのがたり
講談社
2025-01-22


2024年元旦、能登半島を襲った大地震によって多くの人が傷つけられました。
残念ながら、小説を読むだけでは暖を取ることも、おなかを満たすこともできません。
ですが、いつか、魂を励まし、心に寄り添える力が物語には宿っていると信じています。
奥能登地域の農家では、古くから稲作を守る“田の神様”を祀り、感謝をささげる「あえのこと」という儀礼が行われてきました。
「あえ=おもてなし」、「こと=祭り」をあらわします。
物語によるおもてなし「あえのがたり」のために集まったのは、今、もっとも新作を待たれている10人の小説家。
加藤シゲアキ、 今村翔吾、 小川哲、 佐藤究、 朝井リョウ、 柚木麻子、 荒木あかね、 今村昌弘、 蝉谷めぐ実、 麻布競馬場、10人の作家による、1万字の物語によるおもてなしをご堪能下さいませ。

シゲ先生の名前があったから手に取ったのですが、能登半島応援チャリティ企画として出版された本だったんですね。しかもシゲ先生、今村さん、小川さんが発起人となって始まった企画。知らなくて本当に申し訳ないです。
「そこをみあげる 加藤シゲアキ」ダイレクトに能登半島の地震について描かれている作品で、とてもリアルで面白かったです。犯罪に手を染めた男が浄化されて行く様が良かった。ラストも感動的でした。
「うらあり 朝井リョウ」ただ旅を楽しんでいる男女4人のお話なのかと思ったらそれこそ裏があるような展開にドキドキしました。結局どういうことなのか分っているのかいないのか、どうなんだろう(笑)
「カレーパーティ  麻布競馬場」初読み作家さんでした。なぜか開催されるカレーパーティのオチが面白かったです。
「夢見の太郎 今村翔吾」ラストを飾ったこちらの作品。とても良かったです。最後にふさわしい幸せな気持ちになれる作品でした。そう言えば今村さんの小説は初読みでした。

<講談社 2025.1>2025.3.16読了