万作・おたま夫婦が継いだ千吉親分の文庫屋が、放火により火事になった――。
下手人は、台所女中のお染だというが、親分の家でお染に世話になった北一は信じられず、その疑いを晴らすべく奔走する。
さらに、焼け出された人たちが過ごす仮住まいでも事件が起きていた……。
そんななか迎えた新しい年。北一は、ある事をきっかけに、三十年近く前に起きた、貸本屋・村田屋治兵衛の妻殺害事件の真相を明らかにしようと決意する。もちろん、湯屋の釜焚きをしている相棒・喜多次の協力は欠かせない。二人は、この難事件を解決することができるのか。
「ぼんくら」シリーズ(講談社文庫)の人気キャラクター「おでこ」も、二人を助けてくれる存在として登場。
シリーズ第三弾です。
中編が2編でしたが、どちらも切ないお話でした。
始めの火事の下手人の話。北一も知っているお染が疑われて行方知れず。そんなことをする人だとは思えない北一は奔走します。そして真実も、お染の行方も分かった時は本当に辛くて切なくて…。北一も被害に遭った万作・おたま夫妻がここまでひどい人達だとは思わなかった。まあ、ほぼおたまだけど。おかみさんはおたまのことを嫌ってはいなかったけど、私は大嫌いだ。お染のことは期待を持たせたおたまが全ての元凶じゃないか。腹ただしい。どうして北一は許せたんだろうっていつまでも子どものように怒っています。私が(笑)
2編目も辛いお話でしたね…。何も悪くないのにどうしてそんな殺され方をされなければならないのか…。千吉親分も気にかけていた事件、北一が頑張って調べていましたね。結末は納得がいくものではなかったかもしれないけど、それでも前には進むことがきっとできたはず。北一の頑張る姿をもっと見ていたいです。
<PHP研究所 2024.10>2025.1.11読了
真剣に怒っている苗坊さんが好きー(告白)
どちらも切ない事件でしたが人間の闇を容赦なく描いているところが宮部さんらしいのかなと思いました。だって意地の悪い人って、反省も改心もしないのが現実です(暴言)
北一くんのひたむきさに救われますね。
こないだ「桜ほうさら」を読んで治兵衛さんの悲しみを思いやるせなくなっちゃいました涙