大学三年生の吉乃は夏休みのある日、伯父が営む古書店を訪れた。「何か、私に合う一冊を」吉乃のリクエストに伯父は、愛と人生を描いた長編海外小説を薦める。あまりの分厚さに気乗りしない吉乃だったが、試しに読み始めると、抱えている「悩み」に通じるものを感じ、ページをめくる手が止まらず、寝食も忘れて物語に没頭する。そして読了後、「誰かにこの想いを語りたい」と、古書店で深夜に開かれた、不思議な読書会に参加するのだった……。
あらすじが気になって手に取りました。初読み作家さんです。
連作短編集になっていて、大学生の吉乃から始まり、読書会に参加する人達に主人公が移り変わっていきます。深夜に行われる読書会の課題図書は小説だけでなく、詩集や楽譜もあります。集まった6人の男女は年齢も境遇も様々で、それぞれ共感できるところがありました。特に年齢が近かった安井さんは感情移入して読んでしまった。新卒から非正規雇用で図書館司書として働き続けている安井さんの生き方は、悩んでばかりでありながらも芯が強くて揺るぎないものを感じていて素敵だなと思いました。國分さんの境遇が1番意外で驚いた。でも茂さんが無理矢理心をこじ開けたお陰で前に進めたような気がして良かったです。
最終章はあまりに衝撃で驚いたけど、不器用なところも感じてらしさも感じました。
読み終えた後じわじわ余韻に浸ることが出来る物語でした。吉乃が夢中で読んだ「真昼の子」読んでみたいと思って検索したら実在していなくて驚きました。
他の作品も読んでみたいです。
<幻冬舎 2024.10>2024.12.1読了
私もこれ読みました。
岩井作品はお初でしたが、とても読みやすかったです。
>吉乃が夢中で読んだ「真昼の子」読んでみたいと思って検索したら実在していなくて驚きました
私も同じ事していました!
30分位探しちゃって、存在しない本だったとは。