街角ファンタジア
村山 早紀
実業之日本社
2024-10-31


世界は「優しい奇跡」に満ちている――。
癒やしと幻想の名手・村山早紀が描く5つの物語。
本屋大賞ノミネート作家の最高傑作!
失恋したての青年、亡き祖父を想う少女、行き詰まったイヤミス作家、不器用な本好きの少年、未来が不安な女性ライター……
昭和から令和まで時代を越え、街の片隅で暮らす人々のそれぞれの心の傷が、優しい魔法で癒やされていく。
ささやかな出会いと別れの中、心に寄り添い、そっと明かりを灯す奇跡たち。
荒涼とした時代に、あなたの心へ、今、いちばん届けたい希望の物語。
これは、村山早紀史上、最愛の祈り――
誰かのための真摯な祈りが「優しい奇跡」を連れてくる。
愛に包まれた全5話、珠玉の短編集!

村山さんの新刊を読みました。村山さんの作品を読むと、こんな私でも生きていて良いんだなと少し前向きな気持ちになれます。今回の作品も、温かくて優しくて、いつの間にか微笑んでいるようなそんな作品でした。
「星降る街で」失恋してしまった青年が見つけたメッセージとやせ細った猫。青年が何事も前向きで優しい言葉をかけてくれるから猫も猫の飼い主も救われて、優しい気持ちになれたんだろうなと思いました。ふんわり淡い恋が始まりそうな感じがとても好きでした。
「時を駆けるチイコ」大好きだったお祖父さんが叶えることが出来なかった2つのうちの1つの夢。それを変えられるかもしれないと奔走するチイコ。やっぱり千世子は千代子の生まれ変わりだったのかな。
「閏年の橋」清花が過去に背負ってしまった傷はとても大きくて辛いかもしれないけど、相手がこことは違う世界線で幸せに生きているかもしれないと思ったら、こちらも頑張って生きていけるかもしれないと思えました。ラストが切ないけど優しくて温かかったです。
「その夏の風と光」幼い頃に出逢った幽霊の男の子。きっと同じ時代に生きていたのなら唯一無二の親友になれたんじゃないかなあなんて思いました。幽霊と人間の時間軸は違うから、きっとそうなるんじゃないかなと思っていたけど、2人とも再会して幸せそうで良かったです。
「一番星の双子」小学生の頃に仲が良かった美雪と美月。それでも、学校が変わったり住んでいるところが遠くなったりすると疎遠になるのが子供の頃なんですよね。でも、いい思い出ばかりだったら忘れることなんてきっとなくて。時間がかかったけど、2人はまた良い友情をはぐくめるんじゃないかなと思いました。でも、膝に顔が浮き出てくるって想像するのはいくら美人だったり可愛かったりしてもちょっと怖いなと思いました(笑)

<実業之日本社 2024.10>2024.11.25読了