築9年、3LDK、家具家電付き――なのに家賃8万円!?
大手電気機器メーカー「シンバル」に勤務する西尾晋作は、海釣りが大好き。
コロナ禍でテレワークが当たり前になったことを機に、海に近い田舎に移住を考え始めると、宮城県に家具家電付きの神物件を発見する。家賃の安さに惹かれ、「お試し移住」を始め、夢のような山海の幸に大満足。地域民とのいざこざを経験し、晋作はこの楽園で、ある新事業を思いつく――。
映画化されるということで読んでみました。初読み作家さんです。
コロナ禍が書かれている小説はよりリアルに感じてしまって読むのがあまり…と思っていたのですが、こちらの作品はそれを逆手にとって前向きな生活を送っていてぐいぐい引き込まれました。
2週間の隔離生活とか懐かしいな…と思いながら読んでいましたが^^;コロナ禍というよりは東日本大震災のことの方が根強さを感じました。それはそうですよね。何度も見た津波の映像。津波に巻き込まれた人がどれだけいたのか、そして家族を喪った人がどれだけいるのか。何となく予想はしていましたが、それにしても百香の境遇が切なくて苦しくて。そして小さな町だから噂が広まるのも速くてちょっと怖いなとも思いました^^;途中で怒涛の展開を迎えて、気になって一気読みでした。やっぱりハッピーエンドが好きです。映画ではどのように描かれるのか、今から楽しみです。
<講談社 2022.1>2024.11.3読了