夜と霧 新版
ヴィクトール・E・フランクル
みすず書房
2014-11-07


〈わたしたちは、おそらくこれまでのどの時代の人間も知らなかった「人間」を知った。では、この人間とはなにものか。人間とは、人間とはなにかをつねに決定する存在だ。人間とは、ガス室を発明した存在だ。しかし同時に、ガス室に入っても毅然として祈りのことばを口にする存在でもあるのだ〉
「言語を絶する感動」と評され、人間の偉大と悲惨をあますところなく描いた本書は、日本をはじめ世界的なロングセラーとして600万を超える読者に読みつがれ、現在にいたっている。
原著の初版は1947年、日本語版の初版は1956年。その後著者は、1977年に新たに手を加えた改訂版を出版した。
世代を超えて読みつがれたいとの願いから生まれたこの新版は、原著1977年版にもとづき、新しく翻訳したものである。
私とは、私たちの住む社会とは、歴史とは、そして人間とは何か。
20世紀を代表する作品を、ここに新たにお送りする。

ずっと気になっていましたが、今まで読んだことはありませんでした。
ユダヤ人である著者が実際に経験した収容所での記録はとても貴重だと思います。
未だに世界のどこかで戦争が起きてしまっている今、読んでよかったと思いました。
いつ死が訪れるか分からず、また過酷な労働に悲惨な生活。そんな中でも著者は心理的に分析し、そして生きる希望を失っていませんでした。気を狂わすことなく、よくぞ生き延びられたと思います。
後世まで語り継がなければならない作品だと思いますし、それと同時に争いごとが起こらないでほしいと切に願います。

<みすず書房 2002.11>2024.10.8読了