名探偵の有害性
桜庭 一樹
東京創元社
2024-08-30


かつて、名探偵の時代があった。ひとたび難事件が発生すれば、どこからともなく現れて、警察やマスコミの影響を受けることなく、論理的に謎を解いて去っていく正義の人、名探偵。そんな彼らは脚光を浴び、黄金時代を築き上げるに至ったが、平成中期以降は急速に忘れられていった。
……それから20年あまりの時が過ぎ、令和の世になった今、YouTubeの人気キャンネルで突如、名探偵の弾劾が開始された。その槍玉に挙げられたのは、名探偵四天王の一人、五狐焚風だ。「名探偵に人生を奪われた。私は五狐焚風を絶対に許さない」と語る謎の告発者は誰なのか? かつて名探偵の助手だった鳴宮夕暮——わたしは、かつての名探偵——風とともに、過去の推理を検証する旅に出る。

かつて有名だった名探偵たちの20年後。50歳になった2人が再び注目されることになり…。
何だか物語のその後を読んでいるような気持になりました。ミステリを読んでいてハッピーエンドになって、主人公たちの人生はその後は読者の想像だけで終わってしまうけど、この作品はその20年後。主人公が50歳というのがいいですね。過去を振り返って後悔したり前向きになったり。2人が関わってきた事件を振り返り20年経ったからこそ分かることもあって。私も若くはなくなってきたから分かる部分もあり^^;胸が痛くなりつつ面白く読みました(笑)始めは風を告発した人を探していたけど、終盤思わぬ展開になり読む手が止まらなくなりました。「生きてるから老けるんだー!」っていい言葉だなと思いました^^

<東京創元社 2024.8>2024.9.23読了