350年の時を刻む老舗デパート『三越』
楽しいときも、悲しいときも、いつでも、むかえてくれる場所
物語の名手たちが奏でる6つのデパートアンソロジー
文庫オリジナル!
制服の採寸に訪れて感じたある予感。ライオンに跨る必勝祈願の言い伝えを試して見えたもの。老いた継母の買い物に付き合ってはぐれてしまった娘。命を宿した物たちが始めた会話。友達とプレゼントを買いに訪れて繋がった時間。亡くなった男が最後に買った土産。歴史あるデパートを舞台に、人気作家6人が紡ぐ心揺さぶる物語。
三越がテーマの文庫オリジナルということで楽しみに読みました。そしてなんて豪華な作家さんのラインナップ!読まないのはもったいないですよね!三越についての小ネタも色々入っていて面白かったです。三越の包装紙のデザインをしたのはやなせたかしさんだと知っていたので、そのお話が来た時はニヤニヤしながら読んでいました^m^
「思い出エレベーター」辻村深月
高校に合格し、制服を買いに母と三越へ。7階の食堂に行った時、5歳の時に経験した不思議な体験を思い出す。お話の展開は予想がついてしまったけど、こういうファンタジーがあっても良いんじゃないかなとほっこりしました。優しいお話でした。
「Have a nice day!」伊坂幸太郎
伊坂さんらしいぶっ飛んだ内容でした^^そして何気ないお喋りの中にも伏線があったりして本当に大好き。女子中学生2人と担任の先生が経験した事、そして10年後の繫がりが見事でした。
「雨あがりに」阿川佐和子
何を買うにも三越に行くとか本当にお嬢様なんだろうかと思いましたけど、三越で働いていたということに誇りを持っていたのかなと思いました。継母とはぐれて呼び出してもらおうとしてからの返り討ち(笑)には笑ってしまいました。お母さんかっこいいです。
「アニバーサリー」恩田陸
一体何にみんなそわそわしているのだろうと思ったら意外なことでした。そっち?っていう(笑)
「七階から愛をこめて」柚木麻子
現代と100年前の世界が交差し、それぞれに生きる人たちが前向きになれたのが良かったです。世界情勢が絡むと思わず驚きました。
「重命(かさな)る」東野圭吾
まさかのガリレオシリーズが来て驚きました。そしてなかなか三越が登場しない(笑)でも、大きなカギになっていました。短いお話でしたが展開はさすが過ぎました。
<文藝春秋 2024.2>2024.9.6読了