江戸時代の後期に活躍した盲目の学者・塙保己一。その生涯を小学生からお年寄りまでを対象に、やさしい文章で綴る。視力の弱い人々にも読みやすいよう、大きな活字を用い、すべての漢字にルビを付す。

塙保己一の名前を1番最初に知ったのは数年前の「Qさま」でクイズで人物名を出題された時です。お名前が変わっていたし、初めて聞いたので気になっていました。それから更に数年が経ち「薮原検校」という舞台で健ちゃんが塙保己市という人物を演じるということで俄然気になるようになり(笑)色々と調べるようになりました。こちらの著作で何度かお名前が出てきた温故学会(塙保己一史料館)にも行ったことがあります。ずらりと並んだ群書類従の版木は圧巻でした。江戸時代に作られたものが現代にまで引き継がれているというのは感動してしまいます。この方がいらっしゃらなければ、昔から読み継がれてきた竹取物語や源氏物語なども落語も歌舞伎ももしかしたら現代に残っていなかったかもしれないと思ったら、いかに偉大な方なのかが分かります。
荻野吟子が女性の医師は前例がないと突っぱねられたとき、塙保己一が平安時代の書物を現代訳していたことからかつて女医が存在していたことが分かり、医師免許を取得できたお話は知っていましたが、温故学会の設立に渋沢栄一も携わっていたことは知りませんでした。埼玉三大偉人が揃っているじゃないですか(笑)ヘレン・ケラーが来日されたときのお話も、史料館で伺いました。当時のお写真も飾られています。沢山の日本人に知られてほしい人物だと思います。

<はる書房 2005.9>2024.6.19読了