未曾有の大地震が首都・東京を襲った後、復興の名目で湾岸エリアに大人の街――カジノ特区がオープンしてから長い時間が経った。今宵も、街を象徴し、盛り上げるために置かれた少女サーカスでは、古き文学者の名を冠する精鋭たちが舞台へと踊り出る。が、あるとき花形の空中ブランコ乗り・片岡涙海が練習中に落下。身代わりとして容姿がそっくりの双子の妹・愛涙が舞台に立つことになる。やがて、その命が狙われて……?
熱狂とその舞台裏、大人たちの黒い思惑を巻き込みながら、嘘を背負って生きるふたりが見つけた結末は――。
一瞬に命をかける少女たちの輝きを閉じ込めた「少女文学」紅玉いづき、異色の青春ミステリ!

影の幕を読んですぐにこちらを読みました。
「ブランコ乗りのサン=テグジュペリ」を読んでいましたが変わっている部分もあるかと思ったので読みなおしました。最後は覚えていたのですが、カフカやアンデルセンのことはあまり覚えていなかったので新鮮な気持ちで読めました^m^
涙海が練習中に落下し入院することになり、代わりに愛涙が舞台に立つことになる。自分は涙海にはなれない。あの歓声は私のものではない。そう思いながら演じていたら観客にも伝わるのは分かる気がします。なので、全てを吹っ切った後の演技は読んでいても変わったんだろうなということが分かりました。それでもこの舞台上は涙海のもので自分のものではない。そう思った愛涙の決断も、どんな形になっても舞台に立ち続けたいと決断した涙海も、応援し続けたいと思いました。
そして、影の幕と繋がっていくんですね。どちらも読み返しながら読みました。素敵な物語をありがとうございました。

<ポプラ社 2023.9>2024.6.8読了