首都・東京を襲った大地震から一年後、経済特区・湾岸カジノに街を象徴する少女サーカスが誕生。その開発の際、『正徳会』グループの建設現場で責任者が自殺した。それは父子家庭で育ったマリナの父で、天涯孤独になった彼女はその自殺の真相を探るうち、少女サーカスの団員募集を知る。やがて空中ブランコ乗りを目指す中で、彩湖と杏音というかけがえのない仲間と、カジノ特区で多大な権力を持ちながらサーカスに反対する男――『生徳会』代表・鷲塚と出会う。底の見えないこの男が握る真実とは……。
カジノ反対派のデモ、裏で動く莫大な金、そしてサーカスへの喝采と観客(ファン)からの熱烈なファンレター……この熱狂の渦に立ち向かう“嘘”にまみれた少女に熱い涙が溢れる、少女たちの青春ミステリ!

発売日あたりに購入していたのに大事にしていたらすっかり月日が流れてしまいました。
あらすじを知らずにいたのですが、まさか以前刊行されていた「ブランコ乗りのサン=テグジュペリ」を再編成した作品だとは知りませんでした…!光と影とどちらを先に読んだらいいのだろうとネットで検索して知りました(笑)酷い^^;「ブランコ乗りのサン=テグジュペリ」は8代目ブランコ乗りのお話でこちらは少女サーカス創成期のお話。演目のトップには称号が与えられる理由や、初代の少女たちの話、団長シェイクスピアの話。以前読んだ作品とのつながりを感じて嬉しかったです。結構忘れてしまっていたけど^^;読んだのが8年前と知り驚愕している…。
最後まで読んで涙が出て、私の大好きな紅玉さんの物語だと感じました。少し痛くて強くて優しくて温かい。人は強さも必要だけど、弱さも、そして信頼と縋る相手も必要なのだと思わせてくれます。
様々な大人の思惑から生まれた少女サーカス。大人たちに利用されながら、それでも屈せずに純粋に時には利用してサーカスを存続させ続ける少女たち。若い少女たちが抱えるには重すぎる重圧を受けながら、少女たちはショーを続けていきます。サーカスに反対だった鷲塚という男、初めから威圧的でマリナたちにも酷いことを言ってはいたけど、私はそこまでの不快感を感じていなくて。最後にそれが分かりました。マリナ達を傷つけたいわけではないのだということが、文章から伝わってきたのかなと思います。そして途中から登場した江藤というマネージャー。なんとなく、私は途中で正体に気づいたのですが、それでも最後まで読んでもらい泣きしてしまいました。この物語に登場する少女たちが、みんな幸せでありますように。そう願いながら読み終えました。光の方も読むのが楽しみです。

<ポプラ社 2023.9>2024.6.8読了