「ワぁ、ゴッホになるッ!」
1924年、画家への憧れを胸に裸一貫で青森から上京した棟方志功。
しかし、絵を教えてくれる師もおらず、画材を買うお金もなく、弱視のせいでモデルの身体の線を捉えられない棟方は、展覧会に出品するも落選し続ける日々。
そんな彼が辿り着いたのが木版画だった。彼の「板画」は革命の引き金となり、世界を変えていくーー。
墨を磨り支え続けた妻チヤの目線から、日本が誇るアーティスト棟方志功を描く。
感涙のアート小説。

棟方志功の作品は、生では見たことがありませんがテレビなどで拝見したことがあります。
荒々しい中にも表情に柔らかさを感じるような作品が多く、唯一無二の芸術家という印象がありました。
こちらの作品は妻のチヤ目線で書かれている作品です。
フィクションの部分もあると思いますが、きっと馴れ初めのところは史実なんですよね…
本当に、結婚も人生も含めて棟方志功は持っている人だったのかなと思います。もちろん才能もあると思いますが。
日本民藝館は行ったことがあります。ありますが…休館日で中に入ったことはありません^^;その時は柚木沙弥郎先生の作品を観たいと思って行ったのですが…悔しい。この作品を読んでますます行きたくなりました。
チヤ目線だからこそ棟方志功がどう上り詰めたのか、そしてどれほどの家族愛に溢れているのか、それが伝わってきました。最後はうるうるしてしまいました。この作品を読んで棟方志功という芸術家を知ることが出来て良かったです。

<幻冬舎 2024.3>2024.5.21読了