「博雅よ、無垢は、時に罪だ……」
源博雅の笛・葉二の過去、蝉丸の若き日の恋。
そして、人の魂を召喚する秘事の正体とは。
「陰陽師」シリーズ第17巻!
源博雅の無垢さが鬼をもうろたえさせる「読人しらず」のほか、若き日の蝉丸の恋と、ある秘儀を描いた原稿用紙120枚の中篇「蘇莫者(そまくしゃ)」、そして、碧い眼の陰陽師が登場する「秘帖・陰陽師 赤死病の仮面」など、全8編を収録。
安倍晴明ブームの原点、祝・35周年!
今回は博雅のお話が多めでどれも博雅らしい純粋無垢な感じが存分に出ていてよかったです(笑)
博雅が鬼から譲り受けた葉二の謎が明らかになった「麩枕」が好きでした。博雅は1度聞いただけで笛を吹くことが出来るんですね…。鬼が弾いていた曲を作ったのが母だと名乗る女性。その曲が生まれて博雅に出会うまで長い年月がかかったことが分かりましたし、母親の願いが届けられて良かった…
そして「読人しらず」こちらも博雅が活躍。鬼が気に入った歌をもらい受け一つにまとめようとする。博雅はその鬼に感情のままに意見する。博雅の歌に対する想いが伝わってきて、なんだかじんわりしてしまいました。鬼にもその必死さと情熱が伝わったみたいで良かった。っていう顔にを説得させる博雅強い。
そしてそんな強さがありつつも無垢で鈍感な博雅は知らないところで敵を作り、あわや殺されるところであったという衝撃的な展開もありました。「蘇莫者」は中編でしたね。博雅のこともあり、蝉丸の過去も関わっていました。蝉丸がなぜ盲目となってしまったのかも明らかとなります。
そして清明も博雅も登場しない「秘帖・陰陽師 赤死病の仮面」これは新型コロナを彷彿とさせましたよね…
今回も面白かったです!
<文藝春秋 2021.8>2024.5.13読了