友人の兄ジェイミーが失踪し、高校生のピップは調査を依頼される。警察は事件性がないとして取り合ってくれず、ピップは仕方なく関係者にインタビューをはじめる。SNSのメッセージや写真などを追っていくことで明らかになっていく、失踪当日のジェイミーの行動。ピップの類い稀な推理で、単純に思えた事件の恐るべき真相が明らかに……。

まず初めに驚いたのが前作の「自由研究には向かない殺人」のネタバレから物語が始まることです。前回の事件は前回では終わっておらず、今作は前作の事件の公判も続いています。このような形の物語は珍しい気がしました。前回ピップは2つの殺人事件を解決しましたが大事な家族のバーニーを失い、自身も命の危険にさらされた。もう危険なことはしないと決めていたのに、友人コニーの兄ジェイミーが失踪し、調査を依頼される。自分が出来ることは警察に依頼することだと伝えたが、警察は非協力的で結局自分が引き受けることに。ピップが嫌だと言っているのに半ば無理矢理依頼して、兄のことを心配しているのは分かるけどピップに対しての言動がどうも好きじゃなかったんですけども^^;
前作とは違い、そもそも事件なのかどうかというところから始まるので、ぐいぐい読み進むという感じではありませんでしたが、前作で名前を知られ有名になったことでたくさんの情報を集める。ピップだからこそ出来た情報収集の方法だと思いました。前回の事件によりピップと関わり合いになりたくないという人たちもいて、更に書き込みにはあることないことを書かれ始める。ピップは次第に追い詰められいくのだけど、どうしてこんな思いをしなければならないのだろうとこちらも憤りを感じながら読んでいました。
ジェイミーがとある女性と関わっていることが分かり、その女性がもうすぐ30歳になる29歳の男性ばかりと関わっていることを知ります。そしてそれと当時に浮かび上がる過去の事件。
前作でも登場したとある人物の正体に驚き、そしてその末路にも衝撃を受けました。
とにかくピップが無事でよかった。そしてピップの相棒はやはりラヴィではないとだめですね。
ピップを絶望させた公判は、次作でも続くのでしょうか。そこは本当に何とかして欲しいです…
今作も面白かったです。

<東京創元社 2022.7>2024.5.13読了