イギリスの小さな町に住むピップは、大学受験の勉強と並行して“自由研究で得られる資格(EPQ)"に取り組んでいた。題材は5年前の少女失踪事件。交際相手の少年が遺体で発見され、警察は彼が少女を殺害して自殺したと発表した。少年と親交があったピップは彼の無実を証明するため、自由研究を隠れ蓑に真相を探る。調査と推理で次々に判明する新事実、二転三転する展開、そして驚きの結末。ひたむきな主人公の姿が胸を打つ、イギリスで大ベストセラーとなった謎解き青春ミステリ!
様々なミステリのランキングで上位にあがっていたこの作品。私の勤める図書館でも展示されており、気になったので読んでみました。海外作品だし、とても分厚いので読めるかなぁと不安だったのですが^^;面白くて読む手が止まりませんでした。
ピップはEPQの題材を5年前に起きた少女失踪事件に決めた。それは犯人であり自殺したと思われているサル・シンという人物が人を殺すとは思えなかったから。ピップは独自で真相を突き止めるため奔走していきますが、新たなる事実は身近な人物から判明していき、更に容疑者も身近な人物の可能性が浮上する。サルの弟であるラヴィと共に、事件を追っていくのですが、正義感が強いピップはラヴィが危ないと言っても突っ込んでいくので本当に読んでいてもヒヤヒヤドキドキしていました。ドラッグの売人の住処に乗り込むとか怖すぎるんだけど!最後なんていやそれ絶対に何か入れられてるでしょって読んでいても思うのに飲み物飲んじゃうし←
ピップは独自に調べていくうちに悲劇の美少女アンディの裏の顔を知ることになります。そこで見えてきた数々の新事実。公平な目が真実へ導くというのは本当だなと思います。アンディによって追い詰められた同級生の兄は警察官という肩書を武器に人種差別によりろくに調べもせずにサルを犯人だと決めつけてるのは虫唾が走りましたし、ずっと自分の父親のように接していた人が疑われるときも下手に庇うことなく公平に対応したり、ピップの公平さと正義感に胸打たれました。
事件の真相まで二転三転して、本当に最後までドキドキでした。ピップとラヴィのバディも良かったです。シリーズとして続編も出ているのでそちらも楽しみです。
<東京創元社 2021.8>2024.5.9読了