ケイコ 目を澄ませて [Blu-ray]
岸井ゆきの,三浦誠己,松浦慎一郎,佐藤緋美
Happinet
2023-10-04


生まれつきの聴覚障害で両耳とも聞こえないケイコは、再開発が進む下町の小さなボクシングジムで鍛錬を重ね、プロボクサーとしてリングに立ち続ける。嘘がつけず愛想笑いも苦手な彼女には悩みが尽きず、言葉にできない思いが心の中に溜まっていく。ジムの会長宛てに休会を願う手紙を綴るも、出すことができない。そんなある日、ケイコはジムが閉鎖されることを知る。

ずっと気になっていた作品をようやく見ることができました。
素晴らしかったなぁ…ボクシングの臨場感がとても伝わってきました。16ミリフィルムで撮ったのは大正解でしたよね。主人公が耳が聞こえないから無音になる場面が多くて。でもケイコのいろんな葛藤や戸惑いがとても伝わってきました。ちょうどコロナ禍を描いているからマスクをしている時が多くて、当時もろう者の方は表情も手話に含まれるから困るって話題になっていましたよね。警察官がマスクをしたまま大声で話している姿は滑稽に映りました。時期的にマスクを外しちゃいけないという正義感が入っているのかもしれないけど。
ボクシングジムの会長やトレーナーの方とは手話ではなく口話だったけど、それだけではない意思の疎通を感じました。皆さん凄い。
そして何より岸井さんが素晴らしかったです。最初の鏡越しに見えた背筋が凄くて、鍛えられたんだなぁって所にまず驚きました。W座からの招待状で見たので小山さんと信濃さんのコメントもありましたけど、ケイコにしか見えなかったです。好きだったシーンはあまり感情を表に出さないケイコが、泣きはらした顔をして戻ってきたトレーナーさんに笑顔で迎えたシーンと、会長と二人で鑑越しにシャドーをしているシーンです。信頼関係が垣間見える良いシーンでした。お2人がおっしゃったように、最後は試合に負けて、ジムも閉鎖になったのにどこか前向きで爽やかで、良いラストでした。最後に顔を腫らした対戦相手が話しかけるシーンも良かったなぁ。いい映画でした。