「辻村さんは大人なのに、どうして子どもの気持ちがわかるのですか?」
あの時、のみこんだひと言。いま感じている気持ち。その言葉はいつか必ず、あなたを助けてくれる。これから大人になる人たちへ、辻村深月が一緒に考える。
学校生活、出会いと別れ、読むこと、書くこと――自らの体験を元にまっすぐに語りかけるエッセイ集。
子ども新聞に毎月連載されているものを収録したエッセイです。
職場で毎日新聞の準備をしている時に、辻村さんよく書かれているなとは思っていたのですが、連載だったんですね←
子ども新聞に書かれているエッセイなので、辻村さんがとても分かりやすい文章で子供に分かるように説明してることが伝わってきます。でも決して上から目線ではなく、同じ目線で、対人と関わることを大切に書かれているような気がしました。
冒頭の子どもからの質問。それは一読者も思っていたことで(笑)辻村さんは子どもの頃からの思い出を大切にしている人なんだろうなと思いました。私は小さい頃を思い出そうと思ってもほとんど思い出せません。思い出しても恥ずかしいことだったり嫌な事だったり、嬉しいとか楽しいという思い出がパッと出てこなくて、いろんなことを覚えている人は羨ましいなと思います。
そして多感な時期に辻村作品に出逢えた人たちは、とても幸せだなと思いました。将来小説家になって辻村さんに逢いたいといった中学生や、学生の時に涙ながらに手紙を書き、10年後に夢だった編集者になって辻村さんと再会した人は、辻村さんに逢えたからこそ生きる希望の一つを見いだせたわけで、それは本当に凄いことだなと思います。
私はすっかり大人だけど、今考えていること、想っていること、感じたことを大切に日々生きていきたいなと思えた作品でした。
<毎日新聞出版 2024.4>2024.4.16読了