ルミニエル座の俳優アーロウには双子の兄がいた。
天才として名高い兄・リーアンに、特権階級の演出家から戯曲執筆依頼が届く。
選んだ題材は、隠されたレーエンデの英雄。
彼の真実を知るため、二人は旅に出る。
果てまで延びる鉄道、焼きはらわれた森林、差別に慣れた人々。
母に捨てられた双子が愛を見つけるとき、世界は動く。
シリーズの第三弾。今まではユリアとテッサがメインで女性目線が多かったですが今回は初めて男性が主役でしたね。ユリアもテッサもレーエンデのために闘ってきましたが、今回は闘い方が異なっていたのが面白かったです。ユリアやテッサがレーエンデのために闘ってきたことは決して無駄では無かった。帝国側が栄光をもみ消しても、歴史はちゃんと伝わっていく。アーロンとリーアンの関係は良くないものだと思って始めは見ていましたけど、お互いにお互いを想ってこじれた結果だったんですね(笑)とにかくアーロウが鈍くて!なんて鈍いんだ!何度マレナに同情したか分かりませんよ。本当に最後は良かったねと思いましたけど。惚れた弱みなんでしょうか←私はずっと2番目で良いとか健気すぎる…!そしてこのシリーズは登場人物誰もが印象的で1番インパクトがあったのはミラベル夫人でしょうか。いろんな意味で尊すぎる…!凄い!そしてここまでして旦那さんにバレたりしないのだろうかと思ったけど、終章を読んで納得。政略結婚だったのでしょうか。ある意味いい関係を築いてお互いを高めていったのかもしれないですね。凄い。
リーアンが生まれた時の天命はその通りになってしまったのかもしれないけど、マーロウが何年経っても諦めずに遺志を継ぎ、テッサたちが残した軌跡を未来へつなげていく事が出来て本当に良かったです。今まで終わり方が哀しいことが多かったので、いや今回も哀しいことはあったのだけど、それでもまだハッピーエンドと言える終わり方で良かったです。これからレーエンデ国がどう変わっていくのか楽しみでなりません。
<講談社 2023.10>2024.3.25読了