名家の少年・ルチアーノは屋敷を何者かに襲撃され、レーエンデ東部の村にたどり着く。そこで怪力無双の少女・テッサと出会った。
藁葺き屋根の村景や活気あふれる炭鉱、色とりどりの収穫祭に触れ、ルチアーノは身分を捨てて、ここで生きることを決める。
しかし、その生活は長く続かなかった。村の危機を救うため、テッサは戦場に出ることを決める。ルチアーノと結婚の約束を残して――。
封鎖された古代樹の森、孤島城に住む法皇、変わりゆく世界。あの日の決断が国の運命を変えたことを、二人はまだ知らない。
レーエンデ国物語2冊目です。小説というよりはレーエンデ国についての歴史書を読んでいるような気持ちになります。あまりにも壮大で、そして国を動かす戦乱の渦中の物語だから本当に読んでいて辛かったです。でも、続きが気になって読む手が止まりませんでした。
レーエンデに自由をもたらすために、自分の怪力の能力を生かして戦い続けたテッサ・ダールの物語。なんて強い女性なのだろう。強くて強くてだからこそ幼い頃に夢見ていた幸せな結婚もしてほしかった。何となくラストは予想が付きましたが想像以上の過酷さで辛かった…。生きざまが凄すぎました…。ジャンヌダルクのような…。
登場人物は皆が個性的でそして愛情深くて魅力的な人ばかりでした。テッサは強い女性だったけど、周りの人達にもとても恵まれていたのだと思います。もちろん、テッサの人柄があったからこそなのだろうけど。
ルーチェのその後も辛すぎました。何もかもを失ってしまったから、人ではなく鬼になってしまったのでしょうか…。それとも何か意図があったのでしょうか。分かりません。ルーチェは海に還れたのでしょうか、種族が違うけどそれでもテッサと再会して結ばれてほしいと願ってしまいました。
<講談社 2023.8>2024.3.23読了