そこはどこにでもありそうな小さな田舎町。誰もが顔見知りで、夕方には町内放送が響きわたるのどかなところ。当然ここでも小さな共同体ならではのならわしがいくつも存在した。その一つが少年たちの髪型。彼らの髪型は町に一軒しかない床屋“バーバー吉野”のおばちゃんによって、前髪をきれいに切り揃えたヘンテコなおかっぱ頭に統一されていたのだ。それを特別疑問に感じることのなかった少年たち。ところが、東京からやって来た転校生が髪を茶色に染め、見るからにおしゃれな髪型をしていたのを見た瞬間、彼らは何かに気づいてしまうのだった・・・。
荻上監督作品が大好きなので楽しみにしていました。
最初は皆おかっぱ頭で可愛いなぁと思っていたのだけど、それが当たり前だと思って生きてきた子たちがどうしてそうしなければならないのかという問題に直面した時、目が覚めるのは分かる気がします。言い方があれですけど、一種の宗教みたいなものですよね。
そういうものなんだからと言われて納得している会話までなら良かったんですけど、執拗に髪を切るように迫ったり、校門の前に立って髪をチェックし始めているシーンが出てきてからはなんだか怖くなってきました。そして嫌だと言っているのに無理やりあの髪型にさせられて、泣いているのを見て完全に引いてしまって^^;
一気に吉野のおばちゃんを敵対視してしまった気がします。
子どもたちが一念発起して一揆をして町と闘う姿はかっこよかったです。
慶太君がなかなか言い始めないのはどうしてかと思ったら、同じ髪型は嫌だという思いと、それを言う事でお母さんが敵になってしまうのが嫌だという思いからだったんですね。優しい子でした。
最後は皆が違う髪型になって、慶太の家に遊びに来て、気軽におばちゃんにお菓子をねだる、そんな関係に戻って良かったなぁと思いました。
慶太のお父さんも、ケケおじさんも、ちょっとしか出てこないけどなかなか核心を突いた発言が多くて見逃せませんでした^^
男子って…って思いながら見たところもありましたが(笑)ラストが良くてよかったです。