若だんなは、前世でどんな人だった? 若に会いたい、とつぶやく玉の付喪神。見覚えがあるという貧乏神の金次は、合戦の時代に出会った“若長"のことを語り始める。鈴彦姫は、縁のある神社の宮司が、一太郎に生まれ変わったのでは、と推理する。さらに、三百年前に前世の若だんなに惚れていたという麗しい鬼女まで現れ――。輪廻転生をめぐる5話を収録、人と妖との絆が胸に沁みる第17弾。
今回のテーマは輪廻転生。若だんなの前世でどんな人だったのか。貧乏神の金次の過去のエピソードが意外でした。過去にあった人の方に懐かしさを感じるなんて不思議。でもなんだか温かい気持ちになりました。お金持ちの長崎屋にずっと居座っている貧乏神の謎が解けましたね。昔助けてくれた恩があるから傍にいたいと無意識に思っているのかもしれない。こっちの前世は良かったですけど、若旦那が死んで生まれかわったと言ってやってくる3人には呆れましたね。なんて失礼な。
若だんなが死ぬのは怖くないけどみんなと離れるのが怖いと言っているのが切なかったですね。外伝で現代の若旦那が出てきたことがあったのを思い出しました。若だんながいなくなっても、みんなはずっと探し続けるから大丈夫だよ。なんて思いながら読み終えました。
<新潮社 2018.7、2020.11>2024.3.14読了