いま美術界を揺るがす最大のミステリー! 藤牧は生きているのか死んだのか、彼の作品は誰が作ったのか? このところ急速に評価され始めた戦前の版画家の生き様を描くノンフィクション。
彼は生きているのか死んだのか?ミステリーとしても堪能できる美術界を揺るがす謎!
『芸術新潮』1月号でも注目される藤牧義夫。1935(昭和10)年、将来を嘱望された版画家・藤牧義夫が、隅田川河畔の下宿から忽然と消えた。その後、消息は今となっても杳として知れない。
しかし、藤牧の画業は昭和50年代から高い評価をうけ、現在、主要作品が国立近代美術館、東京都現代美術館などに収蔵されている。
そんな藤牧だが、現存する作品に多くの謎が含まれているという。戦後彼の作品を世に紹介したのは、藤牧の先輩にあたり版画家・版画史家として高名だった小野忠重で、彼の活動には大いなる疑問があると、故人となった美術評論家の洲之内徹や長年の追跡調査を行なった画廊主・大谷芳久は指摘する。
今年生誕百年を迎え、回顧展が予定されている。版画に人々が注目しだした昭和前期という時代と、現在、美術界を揺るがす謎を追う長編ノンフィクション。

昨年10月に山田五郎さんが自身のYouTubeチャンネルで藤牧義夫さんを特集しており、その際にこの本を紹介されていたので気になって拝読しました。
YouTubeチャンネルで話されたことがあまりにも現実離れしていて何かのドラマの話でも聞いているのだろうかと思ったのがきっかけです。
近くの図書館にあったので借りようと思ったら結構予約が入っていて。皆さん山田さんのYouTubeを見た人なのかなぁと思ったらなんだか嬉しかったです(笑)
正直今まで藤牧義夫さんと言う方を知りませんでした。ですが亡くなられたという経緯も含めてとても気になる方だなと思いました。
藤牧義夫さんを知っている方に知れ渡っている藤牧義夫像と実際校だったのではないかと思われる藤牧義夫像がこんなに違うことがあるのでしょうか…。そしてすべての元凶と言える小野忠重氏は一体何がしたかったのでしょう。故人のことをあまり知らないままとやかく言いたくはないですが、山田五郎さんは「話を盛る癖のある人」とマイルドな言い方をしていますが、もしすべてが本当だとしたらそんな可愛いものでは済まされませんし、大谷芳久さんだってはっきり言って被害者と言っていいことをされていると思います。藤巻さんのご家族に対しても。
世間が知らされた人物像があまりにもかけ離れているということ、さらに世に出回っている藤牧作品の7割以上が偽作だという真実。これは現実に起きていることなのでしょうか。一体小野氏は何がしたかったのでしょう。大谷さんが振り回されている時のことを読んでいるときはただただイライラしっぱなしでした。こちらの作品ももう10年以上前のものなので今更私が怒っても仕方がないのですが…。
関係者もその家族もほぼ全員が鬼籍に入ってしまっている今、真相を突き止めるというのは難しいことなのでしょうね…。なんだか悔しいです。でも今回山田さんが取り上げられたことで私のように気にかける人が増えて藤牧さんの真作がちゃんともっと評価されたら良いなと思います。
勉強になりました。
あぁ…やっぱりぶらぶら美術・博物館が終わってしまったのが寂しすぎる…

<講談社 2011.5>2024.3.2読了