エゴイスト
2023-12-10


14 歳で母を失い、田舎町でゲイである自分を隠して鬱屈とした思春期を過ごした浩輔。今は東京の出版社でファッション誌の編集者として働き、仕事が終われば気の置けない友人たちと気ままな時間を過ごしている。そんな彼が出会ったのは、シングルマザーである母を支えながら暮らす、パーソナルトレーナーの龍太。
自分を守る鎧のようにハイブランドの服に身を包み、気ままながらもどこか虚勢を張って生きている浩輔と、最初は戸惑いながらも浩輔から差し伸べられた救いの手をとった、自分の美しさに無頓着で健気な龍太。惹かれ合った2人は、時に龍太の母も交えながら満ち足りた時間を重ねていく。亡き母への想いを抱えた浩輔にとって、母に寄り添う龍太をサポートし、愛し合う時間は幸せなものだった。しかし彼らの前に突然、思いもよらない運命が押し寄せる――。

WOWOWのW座からの招待状で放送されていたものを見ました。
冒頭のお2人の会話の中で、衝撃作と言っていたので、2人の展開に何となく予想がついた部分があってちょっとそこは恨めしいのですが(笑)美しい愛の物語でした。
お2人がドキュメンタリーを見ているようだったとおっしゃっていて、その理由が分かりました。
カメラが登場人物たちに近いんですよね。誰かの目線から物語を見ているような感覚で、とてもリアリティを感じました。龍太のことがあって、お母さんに想いがちゃんと伝わっていて哀しいけど前向きに生きていく浩輔の姿が映し出されて終わるなら映画的だったのかもしれないけど、そうではなかったから、なおのことドキュメンタリーのように感じたのかもしれません。
全てを見終えた後、タイトルが出てきて、どこがエゴイストだったのだろうと考えました。
愛は結局は自分のエゴなんだよなぁ…と思ったりして。浩輔が龍太を好きになることも、龍太が浩輔を好きになることもエゴだし、浩輔が龍太の母を本当の母のように接していたことだってエゴだし、龍太やお母さんにお金を渡していたこともエゴ。お母さんが病気のことを浩輔に伝えていなかったことだってエゴになるかも知れない。でもそんなそれぞれのエゴが自分や相手を救うことになったりする。お母さんが言ってくれた「受け取り手が愛と感じていたらそれでいい」が浩輔にとっては救いだったのではないかとも思いました。だからエゴイストで良いじゃないかって最後まで見て思いました。お母さんが浩輔に「まだ帰らないで」と言った台詞がこの上なく愛おしくて、浩輔もそう思っていることが伝わってきて、何だかたまらなかったです。「向こうでは浩輔さんのお母さんが龍太の面倒を見ているわね」っていうセリフもとても好きでした。
ちょっと…直視できないシーンもありましたけど(笑)鈴木さんも宮沢さんもとても美しくて素敵でした。阿川さんも柄本さんも良かったなぁ…。