花咲家の旅 (徳間文庫)
村山早紀
徳間書店
2016-01-29


つかの間千草苑を離れ、亡き妻との思い出のある地へと旅立つ祖父の木太郎。黄昏時、波打ち際に佇む彼に囁きかけるものは(「浜辺にて」)。若さ故の迷いから、将来を見失ったりら子が、古い楠の群れに守られた山で、奇妙な運命を辿った親戚と出会う(「鎮守の森」)。ひとと花。緑たちの思いが交錯する物語。花咲家のひとびとが存在するとき、そこに優しい奇跡が起きる。

花咲家シリーズ第3弾です。今回は旅がテーマ。
木太郎がかつて亡き妻と旅した北九州へ向かったお話。小雪がトラックに乗ってしまい長い帰路の間助けられたおばあさんと猫丸子のお話。草太郎がかつて冒険をしたときのお話。りら子が数奇な運命をたどることになった親戚と出会うお話。花咲家がよく行くレストランに勤めるゆすらさんのお話。桂が空港で出会った先生とのお話。どれも優しくて温かい素敵な物語でした。どれも好きだったけど、私は桂と先生のお話が好きでした。桂は中学生になったんですね。少し大人になったけど心が優しいのは変わらぬままで。年の離れた友情のようなものを感じて好きなお話でした。こちらのシリーズは次が最後かな。寂しいけど早く読みたい気持ちもあります。困ります(笑)

<徳間書店 2015.8>2024.1.23読了