上流階級の令夫人であるコニーは、戦争で下半身不随となった夫の世話をしながら、生きる喜びのない日々を送っていた。そんなとき、屋敷の森番メラーズに心奪われ、逢瀬を重ねることになるが…。地位や立場を超えた愛に希望を見つけようとする男女を描いた至高の恋愛小説。
以前から気になっていた作品でした。
伊藤整のチャタレー事件もありますし、何かと話題になっていたことを聞いていたので。だからか勝手にチャタレー夫人はとっかえひっかえ男の人を愛人にして乱れに乱れた人なのかと思っていたのですが^^;
全然そんなことはありませんでした。解説の方もおっしゃっていましたが情事のシーンは今だととてもあっさりしているというか。さらっとしているというか…。なぜそんなに話題になったんだろうと思うくらいで…。
それよりも私は当時の階級についての方が気になりました。上流階級のクリフォード傲慢さが最初から最後まで嫌いで^^;なんで結婚したのかと思いましたけどそれはやっぱり身分が良いからということなんでしょうか…。子どもも性生活についても期待できずにただ夫の介護をして過ごす20代の妻…なんて、それはまあ他の男の人にいってしまっても仕方がない部分があるよな…とも思いましたよ。最初からコニーの父親はそう言っていましたし、クリフォードも子供を作れって言っていたんですから。階級社会が分からないから、コニーの家族がメラーズを最初から認めていない感じも私は理解できなかったのですが、これは時代と国が違うからなんでしょうね…。
ただ、クリフォードが読んでいて嫌いだったからと言ってメラーズが良い男だったかというとそれもなんだか難しい気もしますが^^;ただ、コニーを女性として扱ったのはメラーズだったんだろうなと思います。メラーズは色々明らかになった後、針の筵状態で、この人はそこまでしてコニーと一緒になりたいんだろうか…と思ったのですが、最後の手紙から真摯に向き合ってコニーを愛しているのだと分かったので良かったです。簡単に言えないですが、純粋な2人の恋愛小説でもあるのではないかなと思いました。
とても長編で読み終えることが出来るか自信がなかったのですが、無事に読めて良かったです^^光文社古典新訳文庫は以前から読んでいるのでもっと他の作品も読んでみたいと思いました。
<光文社 2014.9>2024.1.16読了