いとや手芸用品店を営む木綿子は、35歳になった今も恋人がいたことがない。台風の日に従業員募集の張り紙を見て、住み込みで働くことになった28歳の光は、母親が家を出て以来“普通の生活”をしたことがない。そんな男女2人がひとつ屋根の下で暮らし始めたから、周囲の人たちは当然付き合っていると思うが……。不器用な大人たちの“ままならなさ”を救う、ちいさな勇気と希望の物語。
母子家庭で、母親から育児放棄されて育ったひかりと、恋という感情を理解できないと苦しむ木綿子。
2人のこの距離感で育まれる愛情がとても愛おしかったです。2人の関係を言うのは難しい。でも、いろんな愛の形があっていいんですよね。お互いがお互いを思いやり、素直に喜んでいる2人を見ていると、こちらも幸せな気持ちになりました。
2人を見守る成瀬家の人々、ひかりの隣に住んでいたおじいちゃん、パートの聡子さん、常連客の司さん。本当にみんなが愛おしいです。
幸せな気持ちになって読み終えることが出来ました。温かい物語でした。
<中央公論新社 2023.9>2023.11.12読了