マリエ (文春e-book)
千早 茜
文藝春秋
2023-08-25


「離婚って失敗なの?」「恋愛と結婚って別物?」
新直木賞作家が描く、おとなの女性の結婚と幸福をめぐる物語。
桐原まりえは40歳を手前に離婚した。夫の森崎に「恋愛がしたい」と切り出され、2年近い話し合いの時期を経て、7年半の結婚生活に終止符を打ったのだ。理由にはいまも納得がいかないまりえだったが、自分はもう誰にも属していない、そう思うと心は軽やかだった。離婚届を提出する朝、寂しさよりも、手放して一人になることの清々しさをこそ感じたのだ。
「あんたもこれから恋愛できるわね」、行きつけのワインバーでよく遭う年かさのかっこいいマキさんはそう言うが、まりえにはその気はない。駆け引きも探り合いも億劫だし、今のからだを見せる羞恥が性欲を上回る。なにより、すべて自分の自由にできる生活が一番大事でそれを危うくする欲望に呑み込まれたくはないのだ。でも、なにか不安で、なにか取りこぼしている気がする……。
ひょんなことで懐いてきた由井君が粉料理を教わりに訪ねてくるのを好ましくは思うが、物事の受け止め方に7つの歳の差を感じるばかりだ。そんな折、些細なきっかけと少しの興味から、まりえは結婚相談所に登録をした。そこで見聞きする世界は、思いもよらないものだった。マリッジコンサルタントに、紹介された男たちに、婚活仲間に、切実な「現実」や結婚に対する価値観を次々と突きつけられ、まりえは考え続ける。自分が人生に求める幸せとは何なのか。
若い頃のように無邪気に恋愛に飛び込んでいけなくなった眼にだからこそ捉えられる、おとなの女の幸せをめぐる長篇。

私はまりえとほぼ同い年で、結婚の経験はないけど、願望もないからか、まりえの行動は良く分からなかったです。というか、この問題に正解なんてあるんでしょうか…。
まりえは「恋愛がしたい」という夫と別れ、結婚相談所に登録する。でもそのあとに年下の由井という男性と一応恋人になる。それなのに結婚相談所の登録は止めないんだ…と思ったし、2回目に会った人とも何となく良い感じに見えたけどお互いに結婚は無いなと思ってさよならするし、そもそもまりえ自身結婚したいようにも子供が欲しいようにも思えない。でも、由井には結婚についてをやんわりと伝えていたり、結局どうしたいのかな…と思ってしまいました。香織の言うように、まりえは恵まれているんですよね。ちゃんと収入があって一人でも生きていけるから、ある意味選択肢がある。だからこそどうしてまた結婚に結びつけようとするのかな…と思ったり…。わかりません!^^;私も一応一人で生きていけてるから恵まれてるっていう事なのかな。だからそんなに躍起になっていないのかも。大きな展開は無いけど考えさせられるし、余韻の残る作品でした。まりえのことをやたら否定的に書いているけど作品自体は面白かったです。否定的な事ばかり書いてると言うことは私は結婚したくないんだろうなとも思いました(笑)

<文芸春秋 2023.8>2023.11.8読了