くもをさがす
西 加奈子
河出書房新社
2023-04-18


『くもをさがす』は、2021年コロナ禍の最中、滞在先のカナダで浸潤性乳管がんを宣告された著者が、乳がん発覚から治療を終えるまでの約8 ヶ月間を克明に描いたノンフィクション作品。
カナダでの闘病中に抱いた病、治療への恐怖と絶望、家族や友人たちへの溢れる思いと、時折訪れる幸福と歓喜の瞬間――。
切なく、時に可笑しい、「あなた」に向けて綴られた、誰もが心を揺さぶられる傑作です。

先日、世界一受けたい授業の中で西さんが自分の闘病について語られていて、気になったのでこちらの本を手に取りました。
あなたは癌ですと申告されたら、自分はどう思うだろうかと何となく自分に置き換えて考えながら読んでいました。自分でも十分可能性があるし、やっぱり最初は「どうして私が」って思うのかな…と思ったり。
西さんはそれにプラスして海外で発覚して更にコロナ禍という状況で本当に大変だったと思います。大変という一言では片づけられないくらいに色んなことがあったのだと本を読んでいると分かります。改めて日本の医療って丁寧で親切なんだなと思いますね…。それでも西さんと関わった医療従事者の方々はとても楽観的で明るくて患者さんの立場から言ったらとても心強いと思いました。それってどうなの?と思うところもなくはなかったけど(笑)
そして周りの協力が素晴らしくて、それは西さんや旦那さんの人徳なんだろうなと思います。
自分の身体のボスは自分。なんだかハッとさせられました。自分のことを決めるのは自分。
それはどんなことでも言えますよね。自分がどうしたいか、自分はどう生きたいか。当たり前のことだけど、それを改めて教えていただいた気がします。
定期的に人間ドックもがん検診も受けているけど、それに加えて自分の身体を労わって愛してあげることが出来れば良いなと思いました。

<河出書房新社 2023.4>2023.11.2読了